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じゃあおやすみなさい、おじいちゃん。
[ぺっこりと頭を下げる。
そのまま病室に戻ろうとしたが、ふと振り返り]
またゆきがふったら。
ゆきだるまつくるの、てつだってくれる?
[問いかけと微笑みを投げかけて。
その返事を聞く前に小さく手を振って、病室へと戻って行く]
医者が神を信じたがらない理由はこれだな
人事を尽くしても、何もできやしない
[小さく呟いた言葉。
それは心の中だったか、口から出たのだったか。
ご遺族への連絡等は済ませてあるようだ。
もうすぐ、やってくるのだろうか。
なんと説明しようか。
助けられなくてすみませんと、謝るのだろうか。
若者は、少し休むと言い残して屋上へ出た。
周りの人影は気にせずに、隅の方に座り。
タバコを咥えて、火をつけた。]
[あと何度、命を取りこぼしていくのだろう。
そう考える事自体が、医師として若いと言うことなのだろうか。
割り切れていたつもりであったのに。
この手で救えぬとなると、やはり苦しい。
頭が痛かったけれど、それを気にする余裕はなかった。]
神よ、貴方は人を愛するが故に
こんなにも早く、お呼びになるのですか
では何故に、人を地上に離されるのか
[吐いた言葉と、吐いた煙が。
空高く、登っていく。
ゆらり、ゆらりと登っていく。
風がそれを溶かして、天までは届かなくても。
毒づく権利くらい、あるのではなかろうか。]
[一生懸命話をしてくれる少女を
何時しか孫と重ねていた。
逢った事のない孫もきっと
こんな風に、人懐こい子達に違い無いと、思うのだ]
そうかァ、そうか…
げんきになったら、かんごしさんも
外で遊んでいいよ、って言ってくれるさね
うさぎさんと、……オリオンさんかい…?
[何処かで聞いたことのある単語だが、さて…
星に疎い男には、ピンと来なくて首を傾けた。
やがて、やって来た看護師に叱られる少女の姿を前に
「俺ちが引き止めちまったんで」と、看護師を嗜めた]
明日に、備えてか…、
おお、がんばれよ、明日な
[少女の小さな頭部をそっと、優しく撫でようとし]
[大人びた言い回しの裏に
本人や周囲の大人たちの苦労と痛みの痕が窺えた。
振り返りざまの言葉へ、暫し瞳を瞬かせたが]
おお、おお。いっしょにつくろうなァ
ゆきだるまと、ゆきうさぎさんなァ
おじいちゃんと一緒につくろうな、るりちゃん
[返答は、彼女の耳に届いただろうか。
まるでうさぎみたいに跳ねていってしまった小さな背へ
手を振り、見送った]
[ただ、そこに居るだけで周囲の空気を明るく変える、
そんな少女の存在が、昨日の光景を思い出す。
昨日、ここで話をした老女も
「子どもはいいね」と、そう言っていた。
彼等の先には、未来が続く。
まだ見えぬ道だからこそ、その先は明るく、心躍るのだろう。
老女の言葉を、思い出す。]
……そうさねェ、
かわいがってやりたいもんだがねェ…
[それは叶わぬ希望と知っているから、
過ぎ去っていった少女との約束を、守りたいと思っていた。]
あの婆さんも、誘ってみるかねェ
[今度会えたら。
逢えなくなる等と感じることなく、席を立った]
[医師であっても人間。
ただの人には、抗う事のできぬ範疇がある。
タバコの煙が、雲には届かぬように。
この声が、海までは響かぬように。
少し落ち着いた若者は、先ほど息を引き取った女性の最後の顔を思い浮かべた。
彼女は、幸せだったろうか。
いいや、幸せな人生であったかなどは考えていない。
息を引き取る間際、彼女は。
この世界を、愛して逝けただろうか。
若者の目には、彼女が笑って逝ったように見えた。
本当にそうなら、自分が彼女に出会った意味はあったのだろうか。
医師として、力になれずとも。
人として、力になれたろうか。]
医師として、力になりたかったけれど
屋上
[凍てつく外気を肌に感じた瞬間に
ぐわんと頭痛が響き、軽い眩暈を覚える中
煙草を吸う為に屋上の扉を開いた。
視線の先、昨日の若い医師の姿を見つけて歩み寄り]
よう先生。アンタさんも煙草――…、
[吸うのかい、そう続けようとした言葉は
彼の、余りの憔悴ぶりに先を失ってしまい。
理由は解らずも、その肩を励ますように叩こうと手を伸ばす]
[一瞬だけ、優しい風が頬を撫でて。
身を切る冷たい風に混ざったそれを、若者はとても不思議に思った。
見る目が変われば、世界は色を変える。
彼女の世界も、最後に少しでも変わっていればいい。
そんなことを思うのは、陶酔や逃げの類?]
ま、いいさ
[逃げだろうと、陶酔だろうと。
携帯灰皿で消したタバコを、片付ける。]
[そうしていると、男性の声が聞こえて。
振り向いた先には、昨日の男性がいた。
肩に伸びた手は、拒むこともなく。]
ええ、少し現実逃避に
[そう言って、笑ってみせた。]
そうか、そうか
先生だって人間だもんなァ
逃避したくなる時だって、あるよナァ…
[ポン、と軽く肩を叩いて
彼と同じように笑い飛ばした。
けれど、昨日の何処か楽しそうな思案振りと
現在の彼、明らかに異なる様子に――
煙草に火を点けながら、ぽつりぽつりと言葉を紡いで]
なァ、先生は… ヒトは死んだらどうなると思うかい?
俺はね、「死ぬ事は、生まれ変わる為のきっかけ」だと思うんさね
[医師という視点からすれば、笑い飛ばされてしまうような内容だろう。
けれど、男にはずっと常に心にある思いであり、
そうであると、信じて生きてきたのだ]
善行を詰めば、次はより幸福な人間に生まれ変わる…
そんなこたァどうでもいい
ひとつだけ確かな事はな、現世で出逢った人間とは
縁を引き寄せれば必ずや、来世でもまた出逢える、ってことだ
だから、もしもアンタさんが…
来世でも出会いたいと思う人と
死に別れる事があったら
その人の事を忘れずに、命日には花を手向けてサ…
そうしたらきっとまた、逢えるよ
[持論でしかないけれど。
肺を煙で満たし、ゆっくりと吐き出しながら
医師へ、微笑んだ]
まぁ、私も人間ですからね
人は死んだら、ですか?
[それはもちろん、骨になるさ。
そんな事は、わかっている。
でも、男性が言っているのはそういう事ではなくて。
科学に基づかない、信仰や思想のようなもの。
若者は、それを否定するつもりはない。]
そうですね
人の縁とは、不可思議なものです
生まれ変わる事が、たとえばできたとして
もし、その相手ともう一度出会えたとして
今度は、まともな関係が築けると良いですが
…―――
私は、生まれ変わってもこんなのでしょうし
気の利いたセリフ一つ、出てくる気がしませんよ
[命日に華を備えれて、冥福を祈るのは。
それは、来世での再会を祈る事なのか。
面白い事を言う人だと、思って。]
ふふ、お坊さんか何かですか?
[そう言って、首をかしげてみた。]
なァに、アンタさんは色男で頭がいい、
気の利いた台詞が浮かばなくても
相手が何を求めているのかを探ろうとする
そして、相手に答えたいという真摯な思いがある
[だから、心配するな、とばかりがははと笑い]
いやァ、俺ちはただの塗装工だァ
……明日辺り、仕事あればいいんだがなァ…
[詰まりは現状、無職にも同じだということ。
フィルターギリギリまで煙を味わい、灰皿へ吸殻を落とすと
「お先に」と声を掛け、屋上を後にした。
持論では、「生まれ変わる為の〜」そうは思っていても――
別れは、辛い。それは己とて、同じと*知りつつ*]
それは、過大な評価な気がしますけど
でも、ありがとうございます
[褒めてもらっているのだと理解している。
だから、若者は頷いて。
男性の仕事の話には、相槌を打つに止めた。]
はい、ありがとう御座います
お世話になりっぱなしで申し訳ない
[お先にと出て行く男性を、見送り。
若者は、今度何かお礼をしなければと思った。
相談に乗ってもらい、今日は励ましてもらった。
その行為にではなく、その心には。
心を返さねばならぬと思うからだ。]
次に会ったら、煙草でも奢ろう
[といって、できる事はこの程度であるけれど。]
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