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―朝・アパートの自室―
…今日も、あっつい。
[朝…というには少し遅い時間に、暑さにぐったりしつつ目を覚ます。机の上には、仕事として頼まれた分厚い洋書がどっさり]
終わんないー締め切り、いつだっけ。
[カレンダーを見て悩んでいれば、チャイムの音が聞こえてきた]
[軽く身支度を整え玄関に向かう。玄関には、近くの交番の警官の姿]
どうしたんですか?
[お巡りさんが話し始める。昨日の朝行方不明になったアンに続き、今度は冬木夏彦という青年の姿が消えた事を]
フユキさん?
[喫茶店で会話した事のある男性と気がつき、顔色が変わる。
警官に昨日喫茶店で顔を見た事を話す。特に変わった様子もなかったと。
話しを聞き、防犯に気をつけるよう告げて帰っていく警官の後姿を見送れば、背筋がぶるっと*震えた*]
―昼―
[机の前で仕事をしていたけれど、中々やる気も出るわけもなく]
ああぁ、もう!喫茶店でも行って、気分転換してきた方がよさそうね。
[大量の本を尻目に、準備をして、いつものように喫茶店へ向かう事にした。
向かう途中の道端でも、アンちゃんとフユキさんの話が小耳に聞こえてくる。小さな村では珍しい大きな事件なので、みんな気になっているようだ。
程なくして喫茶店に着く。いつものようにドアを開けた。ベルの音が響く]
[相変わらず疲れた表情のオーナーの様子を見れば、アンちゃんが戻って来てないと明らかにわかり。
アンちゃんのことには触れずに、アイスコーヒーを注文した。
店を見渡せば、ポルテの姿が見える]
あ。ポルテ。おっはよー。
[手を振ってポルテの席に向かう。途中、開いた自由帳が目に入った]
…フユキさんの名前が滲んでる?アンちゃんの名前といい…
[小首をかしげながら、ポルテの座っているテーブル席に座る]
どうしたの?
[ゆっくりと目を細め、*笑顔を向けた*]
[しばらく考えていたが、封筒をテーブルにおいて、話しはじめる]
本当なの?って聞かれても…何で私がアンちゃんとか攫わなきゃいけないのよ。
…私より、このいたずらみたいな手紙の事、信じるの?
[じっと、ポルテを見つめ返す。
目の前の彼女には、瞳が―光の加減か―紅く光ったのが、見えたかもしれない]
怪に憑かれてるって…言われても…
私は、森下紅葉だよ。ほかの何者でもないよ。
[困ったような表情を作り、返事を返す]
確かにポルテ、昔から不思議な事とか、そういうの縁があったとか、聞いてるけどさ。
悪戯じゃなければ、なんなのよ。これ。
[笑いながら話続ける。口の端が軽く歪む]
もし、私が何かに取り憑かれてたら、ポルテにどうにかできるのかしら。
[そこまで話すと、一瞬だけ、表情が変わる。
口が動く。何か言葉を話すように。助けを求めるように]
[席を立ち上がるポルテに、軽く手を振る]
無駄でも何かやりたい…かぁ。ポルテならそういうと思った。
ポルテのそういうとこ、私は好きだよ。
[喫茶店を出て行くポルテの姿を、嬉しそうな顔で*見送った*]
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