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―特注貨車―
[撃ち抜いた無線機がバチバチと小さな火花を上げている]
さて最低限本部への義理も果たしたし、吾輩もラウリ君のひと暴れを見物に行くとするか。くっくっく。
[簡素な洋服を着替え、フロックコートにモノクルを装着し、シルクハットを被るとステッキ片手に颯爽と貨車を後にした]
さぁて、多分この列車の悪党どもは騒がしい所に集まる傾向にあるようだし
[ステッキをびしっと機関車の方に向けると]
あの辺りに行けば面白いものが見れるのではないかな?んっんーん?
[足取りも軽くステップをたまに踏みながら歩いて行くのであった]
[着いてみれば蒸気自動車が突っ込んできてるような、機関車の中では大立ち回りがありそうなような]
ほっほーう!なんとも楽しげな!
[少女が飛び乗ったか?煙でよく見えないが蒸気自動車に乗っているのは怪しい画商の男]
なんと、あの男少女愛好趣味か。いかんぞいかんぞ、やはり女性はこう、ぐっと色気の出る年齢からが…
[ステッキを脇に挟んで両手でナイスバディを空中に描き]
んっんーん!そうそう!あの機関室の中の女性のようなお色気が…
[全く物見遊山である]
[機関室内の会話が明後日の方向に行きそうな様子にくっくと小さく笑うと]
ラウリ君も相手が悪い。まぁしかし、少々の苦労はしておかねばね?この先も同じ職業を続けるつもりなら手助けはせぬが彼の為であろうよ。
さて、少々気にかかるのはレイヨとか言う記者の動きか。
切羽詰まったようなあの声、何をやらかすつもりかは知らんが、とんでもないことには違いあるまい。どれ。
[立ち去り際に機関室のラウリに一声かける]
やぁ!友よ。悪党どもは散り散り霧散の様相だ。そこの一人くらい捕まえておかねば君も立場が無かろうよ。頑張りたまえ!あっはっはっは!
あ、そうそう。その内吾輩の組織の物がご挨拶に行くかも知れんよ。吾輩と違って生粋だろうから気をつけたまえよ!ではな!
[楽しそうに笑いながら帽子をひと振りするとさっさと立ち去って行った]
[機関室を後に歩き出すと、列車の下に潜り込む人影。そっと覗きこむと何かを取り付けている様子]
む、爆薬ですかな?レディ…レイヨ?
[挑むような視線の裏に冷たい覚悟を漂わせハタと睨みつけるレイヨ]
いや、実は聞いておりましたよ、レディ。祖国の為に、ですか。
しかしその量の爆薬を起爆装置もなしに爆発させれば貴方自身も吹き飛びますぞ?
[覚悟を決めた様子でぽつりと言い放つレイヨに大げさに頭を振って更に言い募る]
んっんーん!祖国の為に命などいらぬ…?
しかし紳士として御婦人の窮地に何もしないなどと言う真似は出来かねる。
こんな冷たい大地に散らして良い花などありはせんよ。まぁしばし待たれよ、生き急ぎなさるな。
[片手をあげて反論を制すと貨車に駆け戻り、後続車両から側車付きのモーターサイクルにまたがり戻ってくる]
正装でこのような物に乗るのは全く頂けんが、まぁご婦人の為だ。埃くらい我慢してやろう。
[小声で呟くと、レイヨに向かい]
人間なら走っても爆風から逃れられないがね、こやつならばまぁ何とかなるだろう。
どうだね?爆薬に点火したら、バイカル湖の冴え冴えと凍った月夜でも眺めに行きませんかな?レディ?
[レイヨが同意するなら、エンジンをふかし点火と同時に飛び乗ったレイヨと共にフルスロットルで爆風とシルクハットを置き去りに走り出すだろう]
[その時爆音にまぎれて叫んだのは祖国のために戦う戦士かはたまた希代の道化ものか]
“さらば!シベリア鉄道!!”
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