情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[アルマと二人で「擬似空中浮遊」、などと戯れつつ、少女を担いで客室へと運び届ける。
とぼけた様子で、しっかりと車内を走り回る衛兵の姿は把握している。
その後、アルマより一足先に自分のコンパートメントへと引き返し、大きな鞄を漁って、何かを「フロシキ」に包む。
と、今度は再び食堂車を通って、一等車両へと抜けた。
目指すコンパートメントの主は、既に食堂車から引き上げていることだろう。]
ムシュ・レイヨ?
[と、扉を叩いた。]**
おお、遅くに失礼いたしますぞ。
いやなに、あなたのお名前をお伺いして、日本の方と知りましたのでな。
ちょうど携えていたジャポニズムの小品の事を思い出したのです。
聞けばあなたは記者さんとのことだ。まだ無名の画家の作品ですゆえ、お気に召したらお国でもご紹介いただけると有難い。
[などと「フロシキ」包みを手に捲し立てる。と、ふと列車の前の方に目をやり]
む?ややっ?あれは何だ?
[大仰に叫んで、前の車両に続く扉へと走る]
[初めは単に前方の客室が見たいがための口実だったのであるが…。]
おや…?これは…?
[「W」の扉の下に覗く異質な物に視線が釘付けになる。]**
[一等4号車両の開きっぱなしの扉から、隣室の記者もこちらへとやって来る気配がする。
4号コンパートメントの扉の下に覗くのは、一枚のカード。]
『LA ROUE DE FORTUNE』…。
[母国語であるがため、何の苦もなくその文字は読める。
のみならず、それは読まれるためそうされたかのように、カードの下をこちらに向けて扉に挟まっている。
手を伸ばし、カードを取るとはずみで扉がギイと開いた。
中は―無人。手荷物すら見当たらない。]
うむ―…、確かここは「G・B」が乗り込んだ車両のはず。出立時の、花形役者らしい騒動は遠目にもよくよく見えたからな。
そしてこのカードは。
[しばし眉根を寄せて考え込む顔付きになるが、突如ぱっと、いつもの暢気な表情に戻る。]
そうか。G・Bがあの女性に占ってもらったと見えますな。
むむ、そしてG・Bはペルミで下車してしまったのか。
いささか勿体無い気がするが、オペラとバレエの魔力に抗えなかったとみえる。
ふむ、以外にも早く、あのマドモアゼルに占ってもらう機会が来たようですて。
確か三等の乗客だと言っておりましたな?[と、記者に確認し]
これを返しがてら行ってきますよ。いやいや、大した手間じゃない。
[記者が何事か言いかければ、笑って手をあげて制し、または受諾の合図とし、ぶらぶらと来た道を引き返す。
途中向こうから走ってきた衛兵に突き飛ばされて、「ほら、無粋でしょう」と顔をしかめて、記者にいつぞやの返答をする。]
―三等車両―
[ぶらぶらと、謎めいた未亡人の、自身の、指揮者の客室の脇を通り過ぎ、これまで足を踏み入れた事のなかった列車の後半部分へと抜ける。
6人部屋の三等車両は、どっと乗客の数も増え、また地元の労働者と見られる層もそこここに見られるようになり、あちらこちらで火を使わぬ簡素な食事を拵えていたり、バラライカに合わせて歌う姿が見られ、活気がある。]
[人波を掻き分け進みつつ、一つ一つのコンパートメントを覗き込む。
その独特の雰囲気ゆえか、周囲に漂うエキゾチックな香りのせいか、意外とあっさり目指す相手は見つかった。]
ボン・ソワール、マドモアゼル。
いつぞやのお言葉に甘えて、訪ねて参りましたぞ。
一つ聞きたい事があるのだが―、これ、このカード。
こうして、文字が読める向きに扉に挟まり落ちておったのだが、これは正位置と取るのが良いのか、それとも逆位置なのだろうかね?
[と、拾ったタローをかざして見せる。]
(ぐ…っ!そう来たか!!)
[密着した細い体を、そのまま反射的に抱き締めようとするが、軽くいなされ身を離される。
唇に残るのは、女の唇と同じ蜜の味。]
催眠薬―か?
あいにくと王家は毒殺が横行する場でな。
この程度の薬物には体が慣れておるよ。
[妖艶な笑みをそのまま楽しむ。
紙と木炭が無いのが残念だ、などとぼんやり思う。]
[と、虚勢を張ったものの、いささかくらくらして傍らのベッドに腰を下ろし、占い師の女に続ける。]
どうだろうかな?ここは一つ、手打ちと行かんかね。
正確に言うなら、我々は手を組めるのでは、と思うのだが、どうか?
[と、精一杯の意識を集中して、蒼い瞳を覗き込む。]
[そしてふうむ、と考え込む。]
さてもさて、どうした物か。
媚薬と言うのは、どれほどの効き目だろうかな。
コンパートメントに戻り、まかり間違ってアルマでも襲ってしまいやしないかと心配だて。
[頭を掻くと、ちょうど列車は小さな駅に停車する。
―と一つの考えが閃いた。]
[駅の短い停車時間、ホームに降り立つと物売りから、煙草の包みとクワスを3、4本買い求め、そのまま運転席の―機関部分の方へと回る。
煙草とクワスの助けを借りて、そしてまた持ち前の社交性を十二分に発揮すると、運転手にあれやこれやと機械について、またはこの行程について冗談交じりに質問して行く。]
[すっかり打ち解け、ヴァル、イワン、と呼び合うようになった頃、画商は運転席から自身のコンパートメントへと戻ろうとする。
つまり―。]
ジャジャーーン!今わしは、一等車両、一号室。
つまりはミズノフスキー閣下のコンパートメントに来ています!
…入る者には警戒するが、出てゆく者には、誰も注意を払わん、というあれだな。
[あまりに簡単に事が運び、ついつい含み笑いが漏れる。
もう少し、離れた所で静かに進行する出来事は知らぬげに。]
[...は、聞きようによってはシャンソンと取れなくもない鼻歌を歌いながら、懐から薄い皮の手袋を取り出し手にはめると、手馴れた様子で無人の部屋の捜索を始めた。
誰かに見咎められでもしたら…。
その時はその時だ。]
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了