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[その写真を見つけたのは、今年の春、進学に伴って一人住まいを始めたすぐの事だった。]
もしもし、母さん?何なのあの荷物?
──んー、そうだけどさあ、あれだけ沢山あったら、カラーボックス一つじゃ足りないよ。
[早くに死別した夫も彼女自身も読書家だった母親は、中高とスポーツ三昧で、ろくすっぽ教科書以外の本を読まなかった息子に、蔵書の一部─ダンボール2箱─を送りつけてきたのである。]
迷い子 バクは、頭冷やしてきますorz[栞]
──ふう、これで全部入った。
[学校の生協から、本棚代わりのカラーボックスを3つ。
箱の中身を納め終わった頃には日が暮れかけていた。
何気なく書店名の入ったカバーの単行本を手に取る。
ぱらりと開いたページに、少し色の変わりかけた白黒の写真が挟まれていた──]
これ、……父さん?
[写っていた男性は、自分の記憶にある父親の風貌に─少しだけ若い顔だが─よく似ていた。]
I市って、確か……
[書店名とともに紙のカバーに書かれた地名は、父の郷里である北国のもので、本のタイトルは、そこよりもう少し北、本州最北端の県の別称だ。]
父さんの本、だろうなあ。
[写真を裏返してみる。]
照国神社……?
[高校の頃の部活動の合宿で、時折聞いた事のある場所の名が書き込まれていた。**]
あ、学習帳セット、当たったんですね。
[先程鉛筆を引き当てた作家の手に、ノート一揃いがあるのを見て、よかった、と笑う。]
福引き屋さん、景品がなくなって、店じまいしたのかもですよね。
[そんな憶測を、傍の女性に向けて。]
え?ちょっと…待って……。
[差し出されて思わず手にとってしまったのは、学習帳の何冊か。
続けて眼鏡の作家は、傍にいた女性にも一冊ノートを手渡した。
さっきの鉛筆の事もある。いいのか。]
あの。
お名前伺っていいですか?
[唐突ではある。
礼を言うにせよ遠慮をするにせよ、相手の名前を知らないままだったので、呼びかけようがないのに気付いたのだ。]
[それに──と、別の事も思いつく──]
よかったら、本を書かれる時のお名前も教えていただけますか?
[失礼だけれど、自分はこれまで読書と縁がなかったから、と付け加えた。**]
迷い子 バクは、作家 フユキに追従してわっしょい!(わかってなさげ)[栞]
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情報ページのリンク先や、その他のサイトを見るに、照国神社というのは、街中の神社ではない、のですよね。
どうしても自分の地元で一番近場の神社を思い浮かべがちでしたとか、そんな「知らんがな」てきな事が脳裏をよぎる昨今、皆様いかがお過ごしでしょうかこんばんわ。
*/
/*
こちらの最寄り神社の立地はなかなかなもので。
子供の頃には、道を隔てて、パチンコ屋さんに映画館に、ス○リップ劇場がありました。
今はいずれも潰れてしまいましたけど。
*/
フユキさん、ですか。
[冬木さんなのか冬樹さんなのか或いは別の字をあてるのか。
まずは明日、ここを離れる前に、書店に行って探してみよう。]
僕は、獏と言います。
[夢を食べる動物の、そう付け加えた。]
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