『……この感触……やはり狼……か?』
……… ……… …
『わかっておる、森は移動を開始させた。もうこちらではどうにも埒が明かん』
……
『街まるまるひとつだぞ? よくもそんなことが言えたものじゃ……言われんでもそっちに着くまでに何とかするわぃ』
…… …… … ……
『あれからすぐに森は閉じとる。しばらくは狼といえど外には逃げられん。子供2人と婆さん1人を見つけた。そうじゃ、今から接触する』
[ぎちぎち、と音を立てて扉が開く。肩に落ちる菓子屑を払いもせず家に入ってきたのは黒衣をまとった老人。値踏みするように3人を眺め回すと懐から黒い石を取り出した]
……… …… … ……
[老人の口が薄く開き鋭い音が発せられる。と、同時に老人の姿は消えうせ、床には鈍く光る黒い石だけが残された]