さて、まずはお茶の時間にしましょうか?
[とある場所。
仕事師が集まるその店の内装は、
ダークブラウンの壁に黒光りの大理石の床。
黒いボウラーハットの紳士は、ティーカップでコーヒーを注文し、その黒い湖面に自身の顔を映し出している。**]
で、君たちに集まってもらったのは、
ほら、君らにはいわくつきのあいつの話さ。
でっかいあの街を転がしている、あいつに、
借りがある奴は多いと思ってね。
どうだい?
[店の扉に背を向けたまま、
呼び鈴が鳴ってもすぐに振り向きはしないだろう。]
よう、二人共かなりご無沙汰だったな。
じいさんは、耄碌には早いんじゃないかい?
まぁ、あんたの腕はいつまでも耄碌しないと思うがね。
[入ってきたザクロに軽く帽子をとりつつ。]
ターゲットは言わずとも、
『ブラックキャット』だ。
[さてそれが何を意味するのか。
モノなのかそれとも?
ともかく、可愛いキティでないことだけは確かだろう。]
じいさん、『ブラックキャット』をドラミの仲間呼ばわりかい。
まぁ、いいがな。
[その隠語に秘められた謎がみんな同じくイメージする共通のものか、
それともその個人個人によって違うものなのか。
さて、物語はどうなることだろう。]
大福に呼ばれたのかい。
じいさんを動かせるとは、大福も出世したものだな。
[そして最後の仕事だとのたまう情報屋をチラリ一瞥してから]
爺さん、半世紀前も最後っていってなかったかい?
[からかう口ぶりで。]
なんなんじゃって、爺さん。
人と金を費やすようなモノだよ。
で、私が生まれる前にもう、引退宣言してたのかい。爺さん長生きじゃのう。
[とぼけたので、同じくとぼけつつ]
警察か。
もう、何年もおっかけてきたあいつは元気かの。