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そうだね、揃うといいね。
…帰るおうちも、見つけてあげられるといいね。
[電話の傍にいる白髪頭の警部は、そ知らぬ顔を
していたが――続くプレーチェの言葉には
興味を示してもう一度話してと立ち上がる。
しかし少女は逃げ出して――
ノギ巡査部長、割り箸ピストルを手にしたまま
警部殿からこってりたんまり*絞られる*]
―― 夢美堂 ――
こんにちは。お邪魔しますよ。
こちらに、タケさんていらっしゃってますかね?
[ノギ巡査部長、警邏の途中で立ち寄る店先。]
ご内儀さんから、頼まれましてね。
入れ歯忘れてるから、届けてほしいって。
[差し出す入れ歯ケースは透明なアクリル製。
ゆらり、剥き出しの入れ歯が水中に揺れる。]
どういたしまして、はいはい。
[ご隠居が照れ笑いしながら歯を入れる間に、
改めて店主ゼンジへ会釈するノギ巡査部長。]
アレですか、今どきの
「見せる収納」ってやつですかね。
お持ちするにも、おっかなびっくりでしたよ。
[容疑者リストに載っていた彼の面を無遠慮に
見詰めながら、世間話めかし唇の端を引く。]
まるで標本か…
「遺留品」みたい*で*
若旦那さん。
[容疑者リストで知った名を呼ばず、少しの間。]
お相撲の星取表とは、逆なんですかねえ?
[世間話の合間に挟む、指示語を省いた問い。
星取表――勝ち取ったら、塗り潰さない其れ。]
なるほど、入れ歯も「あーん」だったり。
羨ましいことです、はいはい。
[ノギ巡査部長、尤もらしく腕組みで頷く態。]
ほう。厄払いの人形、ですか。
身体の痛いところをさすると、
痛みを取ってくれるご利益のお地蔵さまは
話に聞きますけども――その類ですかねえ。
頭の厄なんぞは、本官も落としたいところで。
[人形の黒い頭部になぞらえて、蟀谷をつつく]
まーなんですね。アレですよ。過労。
なにぶん、
この村に来てから不思議なことだらけです。
ご存知のとおり、今時分はどうかすると
遺留品も入れ歯でなくて本物だったりしますから。
[タケ翁の連想で、話題は連日の事件に逸れる。
ノギ巡査部長、しまったなという面持ちして]
うーん。
捜査の内情はお話できませんが。
個人的にはですね…
見つかる遺骨の件も、
アン君の姿が見えない件も――
単なる「こどものいたずら」ってことで
落ち着くといいなア と願ってます よ。
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