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(ゆらりと、再び蝋燭の炎がゆらめき消えて―。
まだ手に掴みかかった喉の感触が、肩に弾き飛ばした体の感触が残っている。)
[ぎゅ…っと、いずれもを抱き締めるかのように、我が身を抱える。]
ヒューバートさんは、満足したんだろうか?
ギルバートは?
彼が満足したのだとしたら、最後のあれは、一体―?
(こんな時に不謹慎だが―、やられたよ、とつい忍び笑いが漏れる。)
そうして、私は―
(まだ何か思いが残っているんだろうか?)
[キャロルの周りに散らばる花をかき集め、彼女の手に握らせると、暖かい飲み物を用意するため厨房へと入った。]**
[厨房の棚を漁っていると、立ち聞きをする気はなくとも、墓守がとつとつと話し続けているのが聞こえる。>>12 >>13]
―――――っ!!
[これまでになく、激しい眩暈に膝が折れ、食器棚にもたれかかる。]
(集会場は、3人には広すぎた。
暖炉をめいいっぱい焚いてさえ、全く部屋が暖まらなかった…。)
―…しかし彼の記憶には混乱がある。
>>1:89私は早々に『鑑定』に掛けられ、人であると判断されたんだ…。
今思えば、久方ぶりに帰って来た息子が実は人外に変化していた、とかいう事態は拙いと。
何とか父が策を巡らせた結果のような気がするが。
だからこそ、ハーヴェイに宣告する羽目になったり、葬儀の手配に駆け回ることになったのだから…。
そして私と、ギルと、ユージーン。
ごく短期間、共に旅した男と。
長い付き合いとはいえ、内心の伺えない男。
私はどちらを信じたのだろう?
いや、待て。
結果は3人とも死―だ。
>>3:69 ギルが言っていたように、生者がここに紛れ込んでいるのでない限り。
と、すれば死にゆく瞬間、私か、残りの人間が、相討ちにまで持ち込んだようだ…。
しかし、いずれにせよ、村は…。
つまり私は、失敗した…。
[幸いまだ死の瞬間の記憶は蘇って来ない。
...は厨房の床にへたりこんだまま、呼吸を整えている。]**
(ぼうっと、何かが視界の中迫ってくる。)
>>27 ――っちゃん。
(氷より冷えた声が耳に這いこみ、それではっと、こちらの瞳を覗き込んでいる顔に焦点が合う。
その言葉にぞくり、と目を見開くが、先ほどの眩暈よりは衝撃が軽い。
―それに、)
普通そんな事言われればどきっとする所ですが…。
本職の方に言われるのじゃ、かえって愛情さえ感じる台詞ですよねぇ。
(くつくつと、笑いさえこみ上げる。
私は狂ってしまったのだろうか?)
ねえ…―、できれば私もあなたに埋葬されたかった。
何だって彼は―、最後まで私を「喰い残した」んでしょうねぇ?
(きしきしと、石も重圧には軋み始める。
「終わらせてくれ―…、早く、終わらせてくれ…!」
石像に秘めた、内なる叫びは敢えて押し殺した。)
いつだって、そうしたければ、できたはずなのに?
[ねえ?と墓守の顔を逆に覗き込む。]
ここへ来て、また何か思い出しそうなんですよ。
ああ、やっぱりここだ。
[返事も待たずに立ち上がり、仕立て屋と流れ者が使っていたマグカップから、それぞれ書き付けを摘み上げる。
棚の奧から見つけ出したココアを人数分仕立てると、広間へと戻って行った。]**
[ココアをことりと各人の前に置く。
その後「これ―」と厨房で見つけたメモをキャロルに差し出そうとして異変に気づく。]
これは…救いなのか…。
だとしたら、何のため、彼女はここに?
[痛ましげに眉をしかめる。]
[暖炉の前の定位置に腰を下ろし、ココアをすする。
目の前の竪琴を撫でさすりつつ]
誰か、私がこの部屋と厨房以外に居るのを見た記憶のある人は居るだろうか?
そしてこの竪琴。
おかしいと思わないか?こんな大きな物、とても旅に持ち出せない。
これは牧師館にあったものだ。
さて、私の竪琴(リュート)はどこだと思う?
(厨房から、墓守は追って出てきたろうか…?)
みな、聞きたくないか?
村がどんな風に、幕引きされたのか?
[と、突然長い話を語り始める。]
―その時・集会場―
(会話を続ける振りをして、暖炉に薪を放り込むのを装い。
相手の急所に銀のナイフを突き立てた。
万一の際、反撃されぬためには、この方法が一番良い。
これが結論。
吊り台を立てる人手がなくなり、注射する薬物も底をつき―それより先に医師が消えた―、屠殺工や肉屋をはじめ、依頼できそうな職業の人物も皆、居なくなり。
私はもういっぱしの執行人になっていた。)
果たして、これで良かったんだろうか…。
(びゅっとナイフを振って汚れを落とし、ゆっくりと振り向く。
残った一人の表情は、まだ解らない。
しかしやがて小刻みに肩が震えだし…、ついにそのリズムは大きな波を描き出す。
にやりと、顔半分にも広がった口に、びっしりと見えるのは白い牙。)
ああ―。
(飽いたように呻く。恐怖は感じない。)
食を娯楽にまで高めたのは人間だけと言うがー、あなたにも「人」とつく以上、日々の糧を摂りつつ、ゲームを楽しんでいたのかー?
しかし長すぎたよ。
(だが私は「しくじった」と思っている。
つまりゲームに乗っていた証拠だろう。
相手が何と答えたのかは解らない。
その体躯は、見る間に膨れ上がり部屋の空気を制圧する。)
(がっ―!と。
それは突然やってきた。
お喋りには飽き飽き、とばかりに黒い影が目にも止まらぬ速さで突進しぶつかる。
慌てて避けるが、肩の辺りに衝撃を受け、その部分がかっ、と熱くなる。
確かめる余裕は無いが、きっと酷いことになっているだろう。
しかし、徹底的にいたぶるつもりらしいのが、こちらには幸いした。
まだ動けるーー。
私は部屋を横っとびに走り、愛用のリュートを手に取った。
そしてそのまま、相手に向かい振り上げる。
そんな物は効かぬと、相手はひるまず向かってくるが、殴ることが目的ではない。
私は相手の肩越しにリュートを暖炉に放り込むと、そのまま相手に向かって全体重を込めて突っ込んだ。)
(備え。
旅の途中、必要から武器を扱う職人を訪ねたことがあった。
何かの役に立つかと、雑多な物と共々、火薬を手に入れたこともあった。
足りない分は、これまで得た知識で、村で手に入る物から密かに精製した。
リュートの腕は中空。
私はその中にぎっしり火薬を詰めておいた。
そして集会場の各所に配置した、二重底のワイン樽にはやはり火薬が入っている。
また、村の各所には「魔除け」と称して香油も配置しておいた。
果たしてリュートは暖炉に飲み込まれ、我々はその後を追う形になる。
―相手の背後で巻き起こる閃光、轟音――。)
(最後に見た、あの赤は―。
炎の色?それとも、まともに覗き込んだ相手の瞳―?)
(薄れ行く意識の外で、連鎖して爆発音が起こり、安堵する。
相手はしっかりと抱えたまま、離さない。
燃えろ、燃えろ―。
呪われた村。
全ての怨みも悲しみも、焼き尽くせ。
きっといずれ、黒く焼け爛れたこの村を、
白い雪が覆い清めてくれるから―。
だから―。
燃えろ―――。)
[気づけば飲み物は冷え切っている。
詩人はふと、沈黙した。]
―少し前・厨房―
[忙しくミルクを煮立たせたりしている間にも、墓守の言葉には耳を傾けている。
が、さすがに>>54「弟」のくだりには一瞬不快気に眉をしかめるが―。]
>>55 お早めに―。そう、ですね。
お互いに。[と少し微笑む。]
―現在―
[しばらく放心していたが、ふと答えていなかったステラからの問いかけを思い出す。]
>>58 つまりね、ステラ。
私は、自分が死んだ、この「集会所」から出られないんだ。
きっと思いを深く残した場所にしか、行けないんだろう。
そういえば―。[連想して思い出す]
少し前に見た、十字架。いや、今下げている物でなく。
あれを、もう一度見せてくれないか?
―少し前―
>>62 ふふ、懐かしい場所ね。一緒にカエル獲りをした沼とかかい?
[その実カエルを持って追いかけて、ステラを泣かせた場所だ。]
いや、ステラの名に因んで、一緒に星でも眺めればよかった。
>>67 え…っ、父が?
[わが耳を疑う。]
そうか…。ありがとう…。
十字架は、君が持ってて欲しい。
もうそれは、君の物だから…。
[す、と再び十字架を握り返させる。]
[>>70 がしゃん!と陶器の欠片が床に散らばり、墓守の言葉>>66に応えようと思うが…]
(こっちの方が優先だ。)
[ひょいと腕を伸ばし、隙をついてステラに軽く口付けた。]
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