[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[藤の写真を撮った後、ひとつ息を吐いてぐるり、と周囲を見回す。
見知っている人、知り合ったばかりの人、久しぶりに逢えた人。
そこに集ったのが偶然か、それとも何かの意図なのかはわからない、けれど]
……えーと。
良かったら、記念撮影、しません?
[呼びかけに、返ったのはどんな返事だったやら。
何れにしろ、フィルムには。
不思議な藤林の光景が残される事に、変わりはないのだれど。**]
[再会、出逢い、交わされる約束]
[微笑んで、藤の木を見上げると]
[柔らかな風に揺れる満開の八重藤の姿が、見えた気が、した…]
『ツキちゃーん!お待たせ!本番いくよー!』
[耳に届いた声に はっと 我に返る]
あ、え…?
[きょろり 辺りを見回しても 藤色はもう視界にはなくて]
…まさか、熱射病の幻覚?
『ツキちゃん、急いでー!巻いてるから!』
あ、はーい!
…準備、いいんだね。
[渡された連絡先のメモをまじまじ見ながら、呟く。
真昼の職業は未だ知らなかった。]
にしてもここ、何処なんだろうね。
覚めても、覚えているのかな。
[なんとはなし近く、八重桜に視線を送る。
枯れかけた木に新しく芽吹いた小さな緑が見えた。
―――サングラス越し、モノクロだったが。]
『おい、ちょっと待て、それそのままにしといて!なんかいい感じだから!』
[監督の声に応じるように ふわり白無垢の上 藤色が揺れる]
[きっと このシーンは カットされない]
(後で監督に、ギンさんちのお弁当の話しとかないと)
[私は 幸せな花嫁の笑顔を浮かべて *よちよちと歩き出した*]
(……このメモ、消えてなければいいけれど。)
[悪い可能性を頭の片隅に置くのは、経験則からの自己防衛。
無邪気で居られないくらいの時を重ねてきた。
けれど、それでも、起こった奇跡。
今、目の前の真昼は夢じゃないと思えるから。]
[不可思議な事に振り回されて、大変な一日だったけれど…]
わ…。進矢くん、すごいカメラ。
すごい記念に、なっちゃう、ね。
[幻想的な薄紫を見回して、くすと笑った。
彼の呼びかけに皆集まっただろうか。
もし撮影されることになったなら、しっかりと彼の隣で笑顔を浮かべたことだろう**]
―― いつもの公園 ――
[柔らかい風が吹き。
わたしは、ねむりから覚めて。]
あ…やっぱりゆめじゃ、なかったんだ。
[ベンチから立ち上がり。
ゆっくり歩きだす。
そう、彼のいる*植物園へ*]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ