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[ゼンジの表情を見て、やはりと顔を曇らせた]
落ち着こう。
こんなことがあるわけがない。
[テーブルに近づくと、広報誌のお悔やみ欄が目に入ったが、見ないようにと目をそらした]
>>12
そう?
[返されたりんご飴を、再びかぷっと齧ると、イマリの顔を覗き込む]
イマリちゃんは、消えないと良いなあ。
[無邪気に呟いて、彼女の腕をぎゅっと握った]
あれ?
マシロちゃん?
[さっきまで片づけをしていてくれたはずなのだがとキョロキョロ]
[ネギヤの死亡診断書をちらと見ると、首をかしげた]
そうよね、確か、事故で…
あれ、じゃさっきのは?
[まさかお化け、と想像して身震い]
[両手をちょこんと机の上に乗せ、紙を覗き込む。]
ぎん…しろ…
[書かれた文字を読んだ。だがその文字と人の姿とが結びつかない。首を傾げていると、猫が背中から肩の上へとよじ登った。]
[さっきまでいたはずの、子供達。
本当にいたのか、それとも…そう思っているだけなのか。
自分は生きている?それとも、やはりそう思っているだけ?
混乱する思考。
広報誌のお悔やみに載っていたのはさっきのネギヤで
さっきまでいたはずの人のお悔やみ記事なんてありえなくて]
わっかんない、なぁ
[部屋の入り口の近くの壁にもたれて、
ずる、と滑り落ちるように*座った*]
[紙を覗き込む少年とその肩の猫とを一撫でした]
温かい。
[当たり前のことなのに、ホッとした。
人差し指でメガネの位置を直す。
顔を上げると横切るマシロの姿が見えた]
[ネギヤが消えたのは神社]
[ギンスイがいなくなったのは神社の方]
[ならば…]
くそっ、なに考えてやがる
[悪態をつきながら後を追う。
やがてギンスイを呼ぶ姿が見えると]
おい、あんたまで飲み込まれるぞ。
[内心安堵しながら声をかけた]
[プレーチェが腕をぎゅっと握る感触に]
うん…プレーチェちゃんも消えないでね…
[ただそれだけを返すのがやっとで。
そのまま部屋の隅に*座り込んだ*]
[目を閉じていたから最初、耳の奥で聞こえる声かと思った。
けれど、その呼吸に生身の人間がそこにいるのだと思った。
ネギヤも、確かにそこにいると思えたのに。
ぼんやりと、男の顔を確認する。]
飲み込まれ、る……?
そんなことがあるわけがない。
[それだけ言うのがやっとで、部屋を出て行こうとする。
扉の方へ向かい、しゃがみ込んでいるホズミに気がつく]
座るなら椅子にした方がいい。
おまえらも、夜は寝ろ。
[室内に残る人々にそれだけ言って、手ぶらで*眠れる部屋へと*]
[返ってきた言葉に]
また意味の判らんことを言っちまったか。
[と自分に対して顔をしかめ]
わからん。
神社に行く銀坊がそういう風に見えたんだ。
とにかく、探しにいくのは結構だが、
あんたまで…
迷っちまったらしょうがねえだろうが。
[最後は少し言葉を選んだように]
大体がこんな島、迷うような所じゃあねえんだ。
明るければ。
[既に大方火が消えてわからない、
松明があっただろう場所を一瞬睨み]
明るくなるまでだ。
せめて、それまで。あっちは行くんじゃねえ。
戻って、とりあえず、みんなと一緒に寝ろ。
寝られなくても寝ろ。
それでもどうしても心配だってなら俺が行く。
[不安に任せてそこまで言うと、
語調が強くなったのに気がつき、一息おいて]
…帰るよ。
[顔をしかめる男に少しだけ頬が緩んだ。
緩んだ拍子に、涙が出そうになって目を見開く。]
だって……ギンちゃんが何かに飲み込まれそうなら……助けに行かないと。
[そう言って、困った顔で首を傾けると、より強い薬屋の言葉が返った。
俺が行くと言う言葉に首を振り俯く。]
……ごめんなさい。
[宿舎へと促す言葉に頷いて、ゆっくり足を*返した*。]
船はまだか。
[目覚めの一服をふかしながら、波打ち際を歩いていた]
……何をしている。
[人影に声をかけるが、それは薄ぼんやりと光ってすぐに消えた]
死亡届。
[宿舎のテーブル上にある用紙の一枚に、赤い文字が見えた]
死亡……。
[目眩を起こしかけテーブルに手を置いて、席に着いた。
急転した天候、崩れる足場、回る風景――]
[いつか見た景色は、消えた三人のいずれかの物のようにも思えた]
違う。
あの日俺は。
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