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[結城に答えつつ、また木に寄りかかる。
自分の内に響く不協和音、相反する何か。
それは、木に接していると少しはっきり、感じられて。
今、寄りかかっている木が、ふたつにひとつで揺らいでいるのが微か、感じられた]
…………。
[ぼんやりと、見上げる梢。
そこに若緑と濃藤紫があれば、それは、子供の頃によく見ていた光景と重なるのだけれど]
……なんて、言うか。
寂しいよ、なぁ、これ。
(……でも、なぁ)
(どっちか選ぶのって、怖いよ、なぁ)
(……俺も最初に選んだ時、すっげぇ怖かったもんなぁ)
[ふたつにひとつ、どっちを選ぶか。
最初にその岐路に立たされたのは、まだ幼い頃。
裏山で遊んでいて、最初の発作を起こして倒れて。
遠くの病院に入院するか、それとも地元で療養するか。
周りが前者を選ぼうとする中、自分は地元を離れるのは嫌がった。
発作は苦しかったし、真面目に死線を彷徨った、けれど]
……いたくたって、きつくたって。
それでも、選びたいものって、あるんだよなぁ。
[ぽつ、と呟く。
それは、今の自分にも向いているもの]
……こわいけど。
なんとかなるかも知れないんだし。
やりたいよーに、やっても、いいんじゃない、かな。
[なあ? と。
同意を求めるように、首を傾げる。
傍で見ている二人には、多分、意味の通じない言葉と仕種だろうけれど]
……ちょっとだけ、さ。
がんばって、みよーぜ?
[へら、と笑う。
内に響く不協和音が大きくなって、それに自分の脆い部分が共振して、ちょっとヤバい事になっているような気がするけれど、そこは見ない、見ない。
……いや、見ない、で済む事態じゃその内なくなるわけだが]
[さわり、と。
風もないのに、枝が揺れる。
頷くようにも見える動きに、また、少し笑った直後]
……っ!
[鎮まる不協和音と入れ替わるように、違う不協和音が発生して、息が詰まる。
反射的に体を丸める仕種は、多分、結城は見知っているもの。
呼びかける声はどこか遠く、それに返す言葉は]
……逃げない、よ。
[やっぱりどこか、意味の通らないもので。
それに同意するように、また、木の枝が揺れた。*]
いっ…た……
[藤の根元にへたり込んで、手についた土を払う。
小さなへの字口は、涙を零す何時もの合図。]
……。
[微かに肩を震わせながらも、ゆらり立ち上がって]
…泣いてちゃだめ…。
行かなきゃ…。 ……。
[すりむいた膝も、汚れた靴とスカートも、今は意識の外。
鼻をすすり、薄紫を半ば睨みつけるようにして叫ぶ。]
お願い、私…。…私……。
――進矢くんの所に、いかなきゃいけないの!!――
[記憶に抗う事を忘れた今、彼の呼び名は幼かったあの頃と同じ。
散り散りだった幾つもの欠片は、一つの形となる。それは金色の小さな鍵――]
[花房達がさらさらと音を立てる。
一片の花弁が目の前を横切った後、視界に映ったのは…]
……六花、さん?
結城さんも… …!!
[花房の無い樹。その傍らに立つ二人の所へと踏み出して、初めて樹の陰に蹲る姿に気づく。
痛む足で駆け寄れば、恐らく看ているであろう人に]
結城さん!進矢くんは… 進矢くん…
[問うつもりが、言葉にならない。
その場に泣き崩れた*]
[鍵を見つけた青年に、力が向かったのは、必然と言えば必然。でもきっと、本当は偶然?]
[だって、揺れる想いは、彼だけではなく、泉全体を揺らして、そこに居たものみんなを巻き込んでしまったから]
[友人も 巻き込まれたと そう判ってしまって]
もう...いつまでも、迷子になる年じゃないってば!
[何か キレました プッツン]
[そこに、優しく二人を見つめ助けようとする人達の姿を見つければ、ほっと息をついて]
[ぐい、と、頭をあげて、声を張る]
[ギンスイと名乗った青年に「鍵」を持っていないかと問われた時に、それは確信したこと]
[藤の心に呼ばれた三人、それが、*鍵と螺子の筈*]
えっ…掬子、さん?
[突然現れた、先ほど別れたばかりの姿。
名前を呼ばれたなら、振り返り行く末を見守る。
二足歩行のうさぎは、鍵と螺子を探せと言っていた。
けれど、掬子さんは、探さない方がいいのでは、と言っていた。
そのふたつの相反する答えが、この藤木にまつわることならば。
――わたしは一体…、どうすればいいのでしょうか。]
[けれど。
わたしの迷いは、あとから訪れた花嫁さんによって解消されます。
いさぎよく、啖呵を切るお姿に。
鍵と螺子が揃ったとおっしゃる姿に。
わたしはなぜか。
なぜでしょう。
胸が苦しくなるような想いと共に。
少しだけ嬉しさを、感じてしまうのです。]
[掬子さんが仰っていた、咲くことを恐れる花。
もし――、
もし、その花がこの目の前の花藤のお気持ちならば。
鍵と螺子を抱えたのが、この方たちならば。
きっと、きっと。もう、大丈夫。
そんな気がしてならないのは。]
わたしの…、自分勝手な、思い込みでしょうか。
あ、れ。
[ぐるりと意識が回転して。
次の瞬間。
視界の映るは枯れかけた八重藤。
何故か手にはボウルに入れられた豆腐が一丁。*]
[見覚えの無い子が進矢の傍に駆け寄る。
どうやら知り合いらしいと言うのはやり取りから知れた]
……何人目だっけ。
[人数を数えていたはずがすっかり忘れてしまった。
忘れるほどのことがあったのは確かだったから、一旦それは投げ置いておく]
[しばし彼らのやり取りを眺めていたのは華子が来る少し前まで。
何故なら、空間が揺れるのを感じ取ったから]
あ、また。
[誰かが落ちる。
落ちるだけじゃない、弾かれるのも感じて、2人飛ばされたと言うのが分かった]
今度は誰────
[視線を巡らせた先。
八重藤の傍には居なかった姿が唐突に現れる>>24のを見る]
……………
[最初に会った時のように凝視してしまったのは、その手に持つ物のせい*]
……何。
[消えた男がそこに居た。
いや、他にも沢山居たが。
自分には気付いていないようで。
色々考える前に、向けられる視線に反応する。]
ここに居たんだ。
[ここが何処かは知らないが。]
急に居なくなったから驚いたよ、キムラ。
その子は妹さん?
[聞いて。]
華が会えたかどうか心配してた。
[豆腐を持ったまま。*]
……いや。
…なんで豆腐?
[相手>>27より背があるためにその中身も見える。
さっきはそんな物持っていなかったはず、と疑問が口を突いて出た]
ん、あぁ。
兎が言ってた、落っこちた場所ってのがここらしい。
[その言葉は相手に起きたことについての説明にもなるだろうか]
あぁ、妹の杏奈だ。
アンタに会った時点でも会えては居たんだけどな…。
…華?
………あー、香月さんか。
[華、と呼ばれた名。
該当者を思い出すのに時間がかかったのは苗字で呼んでいたが故。
妹について知っているのも彼女だけだったから、繋ぎ合わせるのには時間がかからなかった]
気付いたら持ってた。
もしかしたら、これが兎のいう鍵か螺子かもしれない。
[あり得なくは無い。]
崩れやすいから気をつけなきゃね。
[真顔で言って。]
落ちた……?
[よくわからない。
けれど、友幸-とその妹も?-以外自分が見えないらしいのは、異空間的な何かを想像させる。
"シンちゃん”の傍、彼の同年代くらいの女の子2人と、寄り添うような大人の男性を見遣る。]
そうなんだ。
[自分と話していた時には既に会えていたらしい妹については淡々とそれだけを返し。
"華"が誰か、友幸は思い至るのに頷けば、丁度現れた友人を隠している目で示した。*]
そんな『鍵』と『螺子』は何か嫌だな…。
[使う前に壊れそうと言う意味で。
ただ、それを見ても直感的に”違う”と、訴えかける何かがあった]
えーと。
何らかの力でさっきまで居た場所から別の場所に飛ばされてここに居る。
って言えば分かるか?
壁一枚隔てた感じになってて、あっちからは俺らのこと見えないらしい。
[疑問>>30に答え、人が居る方を指し示しつつ友幸も視線を向ける]
…あ、香月さんも来───……おぅ。
[何やら勇ましい華子の言葉>>15に思わず口を噤んだ*]
[藤の樹の下に集まる『鍵』と『螺子』。
誰が持っていたのかはそれぞれを見るに留めて、その成り行きを見遣る]
……『木の想いの時計』。
[きりきりと回される螺子、鳴り響く12のおと。
この藤の樹は時を止めてしまっていたのだと、今ようやく気付いた]
[かしゃん、と響く砕ける音]
──咲いて生きる道だって、あるんだぜ?
そのために俺達《樹木医》が居るんだ。
[兎が藤の樹に向ける言葉>>#3に言い返すように言う。
どうせ、兎は聞いちゃ居ないだろうが]
どっちかしか選べないって誰が決めたよ。
[壁が砕けた後、友幸もまた藤の樹に語りかけるように言った**]
[ツキハナの姿を隠した花霞が、また追いかけなければと思ったこちらにも押し寄せてくる。
近くにいたはずのレンの気配も近く遠く。
ぐるぐるぐる。
薄紫に押し流され、どこかへ連れ去られてしまうような]
ま、待って。
無理にどうこうする気はないんだ!
[誰に向けたものか、自分でも分からず口走った]
ただ、寂しくないようにって。
[衝動的に手を伸ばす。
その先に見えたのは、あの時計携えた白い兎、でなく。
ニンマリした顔でこちらを見ている]
にゃんこ師匠…?
[ついてこい、とばかりに消えてゆくその姿を追いかければ。フッと薄紫以外の色が見えてきた]
[レンが見えた。
泉の近くで消えた青年が見えた。
青年とどこか似ているような少女が見えた]
あ、こんなところにいたんだ。
[声をかけようとするのとほぼ同じタイミングで、12の鐘の音が響いた。
時を感じさせる藤の木と、傍に集まった人々の姿も身近に感じられるようになって]
ああ…
[鐘の音が12回、響く。
此処へ誘われた時にも聴いた音に、天を仰ぎながら]
さっきの、気の所為やったかな。
けど、
[一瞬だけ感じた視線について、考える。
祖母に着いて仕立屋を訪れた何度目かの日、店の奥からこちらを伺うように見ていたあの子。
それを何故か、思い出した]
……戀ちゃん。
[久方ぶりにその名を呟くのと、境界が崩れるのは、ほぼ同時か**]
[兎が消えた後、視線を藤の樹の傍にいる六花へと向けた]
………
[声をかけようとしたが、何と言えば良いか悩んで。
しばしの間、何度か口を開閉するだけに留まる。
10年と言う歳月。
共に遊んだ頃よりも遥かに背は伸び、一見しただけでは気付かれない可能性の方が高い。
声だって低くなってしまっているから、どこまで面影が残っているのやら。
気付かれない不安がしばらく身を占めていたが、ふ、と気を取り直すように深く息を吐いた]
(ぐるぐる悩んでたってしょうがないや)
[気付かれなくても仕方の無い容貌なのだ、それを前提に話しかければ良いだけのこと。
持ち前のポジティブさで考えを改め、声を出すために軽く息を吸った]
────六花。
[呼ぶ声は低くても柔らかく]
久し振り、だな。
[向ける笑みは、少しくらいは昔の面影が残っていたかも知れない*]
こんな場所じゃあ疑うのも無理は無いけど…。
勿論、本物さ。
[ほら、と六花>>55に手を差し伸べる]
こんなところで逢えるとは思わなかった。
[浮かべる笑みに嬉しさと、若干の照れが滲んだ*]
[忘れていた想い。
わすれていた、やくそく。
実家の、枯れかけた八重藤。
迷い込んだ藤の林。
――そして、目の前の咲けない、咲かない藤木…。]
あ、あのね。こんな場所だけどわたしね。
ともゆきくんに再会したら、言おうと思っていたことが、あるの。
[もし、これが運命のいたずらだったとしても。
藤の花の影響を受けて、逢えたのだったら。
藤の花言葉は、「恋に酔う」。
なら、酔った振りをしてでも。
わたし、言わなきゃいけない。]
[差し伸べた手に触れる六花の手>>57。
昔は同じだった目線もこちらが高くなり、手も友幸の方が遥かに大きい。
どこか気恥ずかしさを感じながら、10年の歳月をその身で実感していた]
……言おうと思ってたこと?
[今は何をしているのかなど聞きたいことは沢山あったが、それよりも先に六花が口を開く>>58。
植物を扱う仕事はしていたが、花言葉などは知る由も無く。
疑問を体現するように友幸は首を傾げた]
[久々に握るともゆきくんの手は大きくて。
でも、温かさは変わらない。
伸びた身長。
空を見上げるように。視線を上げたなら。
藤木の若葉の緑色が見えて。
あぁ、この方も頑張ったのなら。
わたしも、がんばらないとと。
近況より、なにより先に伝えたかった。]
あのね、わたし…ずっとずっと、
友幸さんのことが――
[だって、この場所を出てしまったら。
また会えないような気が、したから。]
…好き、なの。
[言おうと思っていたこと。
前に何かやっただろうか、なんて考えてしまうのは、失敗ばかりをしているが故。
だから、紡がれた言葉>>60を耳にした時、友幸の顔は呆気に取られていたはずだ]
────へっ?
[予想もしなかった言葉に間抜けな声が出る。
頭の中でぐるぐると言葉を咀嚼……する必要も無いシンプルな言葉は頭を巡った後にストンと落ちてきた]
…俺を? 六花が?
[一時の混乱。
友幸も昔から想いを寄せていたから、余計に信じられなくて。
理解が追いつくと瞬時に耳まで紅くなった。
繋ぐ手がなんだか熱い]
あ、ああ、あの、な、六花。
実は────ぅわっ!
[ドンッ、と背中を押される感覚。
吹き飛ぶ程では無かったが、より六花に近付く形になり、ぶつかって転ばないように相手を腕の中へと抱え胸へ引き寄せる形に。
押し潰さずに済んだことに安堵しつつちらと視線を後ろに向けると、妹が口に手を当てて笑っていた]
(杏奈のやつ……!)
[じと目を向けたのは一瞬。
意識は直ぐに六花へと向ける]
[六花は驚いていただろうか。
ハプニングに最初言おうとしていた言葉はなかなか出て来てくれず。
その、代わりに]
………先に言われちまったなぁ。
[腕を解くことはしないまま、紅い顔で恥ずかしそうに言った]
わたしが。その…友幸さんを…
す、き…
[とつぜんの告白。
驚かせてしまっても、無理はないと思う。
だって、わたしたちが最後に会ったのは、まだ小学生の頃。
そんな好きかどうかなんて。
…まだお菓子の好みのような捉え方の頃だから。
訊ね返されて。同じように返して。
ふたたび、口にする好きの文字は。
恥かしさに霞んでいくけれど――]
実は…な、に――っひゃっ?!
[友幸さんからの答えに。
いやな予感がよぎって。
そうだよね、うん。きっと好きな子、いるよね。
叶わない恋に泣かないように。堪えようとしたとき。
急にバランスを崩した友幸さんに引き寄せられ、胸へ顔を埋めてしまう。
耳許で鳴る、鼓動がはやい。
これは、わたしのはやさ?
……それとも、友幸さんのはやさ?]
あ、あのっ…ごめんなさい。おもわず顔を――…
[本当は、ずっとこうしていたいけれど。
好きじゃない子に抱きつかれているのは、きっといやだよね?
慌てて身を離そうとして、気付く。
回された腕が。ほどかれないことに。
見下ろす友幸さんの頬が、なぜか紅いことに。
そして――]
……えっ、先にって…なんの、こと?
[囁かれた言葉の真意に。
どうしても、あまい夢を見てしまいたくなるの。]
……だから、その
[問い返されて一度口篭る。
勢いで言いかけた言葉が今は恥ずかしいと言うのは何とも情けない話だ。
後ろに妹が居ると認識してしまったのが原因。
鼓動が早いのを感じながらも、少し頭を下げて六花の耳元に顔を寄せる。
六花を包む腕にほんの少し込められる、力]
────俺も、六花のことが好きだ、ってこと。
[いつか藤園の八重藤で再会出来たら、自分の想いが変わらなかったら言おうと思っていたこと。
その言葉を六花にだけ聞こえるように囁いた]
[言いよどまれて、ひととき。
大きな体に包まれているから、わたしは友幸さんしか見えなくて。
簡単には口に出来ない事情なんて知らなくて。
ただ、彼ばかりを見上げていた。
不安と期待の入りまじる視線で。
でも、それもすぐにおしまいが近づく。
身を屈めて耳許に寄せられた友幸さんの口から。
少しだけ引き寄せられるように抱きしめられた腕から。]
………ほんとう、に?
[伝えられた想いは、夢じゃなくて。
でも、夢かもしれないと思って。
頬をつねってみたら。]
夢じゃ…ないの?
[ちゃんと痛くて。
おどろいたまま、わたしは友幸さんを見つめて。
また、尋ねてしまっていて。]
「夢じゃ、ないよ」
[わたしの問い掛けに。代わりに答えたのは――]
え? ――…杏奈、ちゃん?
[どこか、聞き覚えのある声に。
友幸さんの横から顔を覗かせると。
おさない面影が残る、見知った顔がもう一つ。]
…こんなの、嘘で言えるわけ、無いだろ。
[頬を抓る様子>>68には微苦笑。
伝う温度も、抱き締め触れる腕も、夢だったら得られないもののはずなのに、まだ信じられないと言った様子の六花がおかしくて、可愛くて。
また問う様子>>70に口を開きかけたのだが]
…………杏奈お前、さっきはよくもっ。
[挟まれた声に思わず振り返る。
「えー、私はお手伝いしただけだよ」
白々しく言う妹にじと目を向けたが、妹は気にした風も無かった。
振り向くことで緩んだ腕に気付いてか偶然か、妹は友幸を押し退けて六花の前へ。
「六花さんお久しぶり!」]
どあっ。
……お前なぁ。
[手伝うのか邪魔したのかどっちだ、と妹へのじと目は継続された]
[六花と手を取り喜ぶ妹。
昔も懐いてたよな、と思い出せばじと目も多少は和らぐ]
[「六花さんの方が美人ですっ!」
「今何してるんですか?」
「私達今、○○に住んでてー」
聞きたかったことを妹が矢継ぎ早に聞いている。
自分で聞きたかったことでもあったが、仕方ないので妹に譲ることにした]
[妹が六花に問いかける間、友幸は藤の樹の枝を見上げる。
芽吹いた小さな欠片。
藤の樹が咲くことを選んだ証]
……お前がもし、俺らの世界のどこかにいるなら。
必ず見つけて咲き誇れるようにしてやるから。
待ってろよな。
[手を尽せる内は諦めない。
それが、父も抱く樹木医としての信念。
受け継ぐ想いを込めて、藤の樹へと語りかけた]
[同性同士だから、聞きたいことは簡単に聞けて教え合える。
何気ない会話で、実は同じところに住んでいたこと。
友幸さんはおじちゃまのお仕事を手伝っているという事。
今は、わたしがいつも通っている公園の、植物園に通っているという事。
身体が大きくてあちこちにぶつかっているという事。]
え、じゃぁいつも公園を横切っているのは――…?
[わたしも、学校に行っている事。
建築デザインを学んでいる事を伝えて。
ひとり、藤木を見上げる友幸さんを見上げた。]
じゃぁ…わたしたち、案外近くにいたんだ。
[だけど、藤の花の訴えが、迷いが無ければ。
きっとずっと気付かなかった事。]
[藤の樹を見上げながらも、妹と六花の会話は耳に入って来る。
大学へ行きながら父の手伝いをしていること、ドジだから怪我が多いことは妹から伝えられて。
公園と植物園の話になると、驚いた表情で六花へと視線を戻した]
え?
あの公園によく居るのか?
[大体が急いで通り過ぎていたから、全く気付くことが無くて。
まさかの事実に開いた口が塞がらない]
うわぁ、近くに居るのに気付かないとか…。
何か勿体無いことした気分だ。
[もっと早くに逢えていたかも知れないのに。
ただ、このままの生活を続けていたら、気付かない可能性の方が高かったかも知れない]
…はは、でも、うん。
近くに居るのが分かって、良かった。
これからはいつでも会えるな。
[嬉しそうに笑いながら言う言葉に、妹も「そうだね」と同意を口にしていた]
[お互いおどろいた様に。
視線がかち合って。]
勿体ないだなんて…
はい、勿体なかった、ですね。
[もっと早く逢えていたら。
時間と運命のいたずらに、ちょっと悔やむ友幸さんが愛おしくて。
わたしは、彼を見上げたまま何とも言えない嬉しさで、微笑むのです。]
はい、これからはいつでも。
逢えます。
杏奈ちゃんとも、お喋りできますね。
[そう、近くにいると知ったから。]
あ、でも…友幸さん、わたしの実家には行かれるのですか?
[花つきの悪い八重藤。この藤木の影響があるのかしら。
樹木医を目指し始めた友幸さんは、と。
尋ねずにはいられないのです。]
[「うん、いっぱいお話しようね!」
兄より先に六花>>81に返事をする妹。
本当に手伝う気はあったのかと疑いたくなる]
…と、後で連絡先教えてくれな。
時間が出来たら、会いに行く。
[妹への不満は一旦押し込めて、微笑む六花に笑み返す。
公園に居れば会う確率も高いだろうが、やはり確実にしておきたい]
ん?
あぁ、そっか。
六花にも連絡が行ってるんだな。
普段は大学行かなきゃならんから無理だけど、連休とか、長期休暇の時は行く予定。
少しでも樹木医の仕事を学びたいし。
何より、あの八重藤は、枯らしたくないから。
[自分の手で助けてやりたいと。
そんな想いを込めて六花>>82の問いに返す]
そっか。
俺もここ来る前に親父に届いた手紙で知ったんだ。
咲いてるうちに状態診なきゃならないから、親父は一足先に行くと思うけど。
[六花の話>>85に簡単に状況を説明して。
途切れた言葉に、ん?と首を傾げる]
……連休、帰るつもりなら一緒に行くか?
[目的地が同じになるのだ。
同道したって問題は無いはず。
帰りも一緒にすれば、と言う目論見もあるが、今はまだ口にせず]
それに……六花とあの八重藤を、見たい。
[仕事とは別で見ることが出来たなら。
”約束”は、叶えられるから]
[父と一緒に行くと思い込んでいたらしい六花>>88を見て、友幸は小さく笑う。
何でもないと否定するのが何だかとても愛らしかった]
迷惑なもんか。
じゃあ、一緒に行こう。
[もう一つ約束を交わして、掌を上にして誘うように差し出す]
[「私も行きたい!」]
お前、連休は友達と出かけるとか言ってただろう…。
[割って入ってきた妹には溜息交じりに一言。
それに対して剥れる妹の頭を、空いている手でぽんぽんと叩く]
お袋は残ると思うから、一緒に居てやれ。
[家族旅行がてら全員で行くと言う選択肢はあるが、妹に約束を破らせるわけには行かないし、残る母が心配なのもあり、妹にも残るよう仕向けた]
[重なる手>>93。
自分より小さな手を優しく握り込む]
なんか、その言い方だと……
…いや、何でもない。
[あるものを思い出させて、妹を撫でていた手で口許を覆った。
問いかけられても、再度何でもないと言って誤魔化すつもり。
ただ、顔が紅くなっているのは隠せなかったが]
[「むー、しょうがないなぁ」
「じゃあ帰って来たら話聞かせてね!」
「ごゆっくりー」
妹はそんな風に言って、口許に手を当てて笑ってから逃げるように藤の樹の陰へ]
ごゆっくり、って…………ぁ。
[全てが決まってから気付く。
六花にとっては帰省だが、ちょっとした旅行になると言うことを。
それも二人っきりで]
……………
[妹が逃げた方に顔を向けたまま、横目でちらりと六花を見遣る。
相手を意識してしまうのも仕方が無いと言えた]
何って…ぅん…。
あの、ね……
[どう切り出したらいいのか、言葉を選べば、後を絶たずに浮かんでくる幼少の記憶。]
前に住んでたところ、とか、その…裏山の、こととか……。
ほら、一緒によく…
[口にしかけて戸惑うのは、僅かに残る迷いからか、それとも緊張からか。
差し出されたハンカチに気づけば、素直に受け取って、きゅっと握り締めた。]
[素で投げた問いに返される言葉。>>96
何気に、それは自分も隅っこに押し込んでいたものだったから、浮かんだのは、苦笑]
ん……裏山、遊び場だったよ、ね。
[小さく息を吐き出しながら、そう言って]
……そーいや、俺、理由も言わないで約束すっぽかしたりしてたっけ。
[またあそぼ、とか、そんな他愛ない約束。
すっぽかした理由は、結局は検査とか色々のせいだったのだけれど。
その内、裏山に行っても会えなくなって、なんだか妙な空洞ができたみたいな感覚ができて。
それがうまく言えないけど、きつくなって、記憶の隅にぽい、としていたのだと。
今になって、思い出していた]
[濁した言葉は言及されなかった>>97けれど]
こ、婚前!?
[紡がれた言葉>>98に声がひっくり返った]
ろ、ろろろ六花、そこまで考え
いや 俺はいいんだ が
じゃなくて
[明らかにテンパった様子で六花に向き直って色々と口走る。
真っ赤な顔は火でも噴きそうなほど。
煙も出てるんじゃないかと言うような様相だった]
…!
[口にしかけた言葉を、代弁された様で、少し驚くようにその表情を見つめ。]
覚えてたんだ…。
[そう呟いた口元は微かに緩んだだろうか。
しかし、続いた言葉に眉を下げて]
……ぁ、ぅん。
そう、なの。だから…きっと…
私、嫌いになられちゃったんだ、と思って…。それであまり裏山に行けなくなって。
[後になって聞いた話で、理由はなんとなく知ったのだけれど。
今は、当時の気持ちを赤裸々に告げた。
怖くて、足を向けられなかった、そんな臆病な自分を悔いたのは、引っ越しが決まってからの事だったっけ。]
と、友幸さん、ま、まず落ち着いて。
って、え――?
…いい、の?
[十年ぶりの再会で。
しかもわたしから推すような形で告白して。
運よく受け入れてもらえたからって。
一足飛びどころじゃないのに。
でも、つい漏らされる友幸さんのことばに。
反応してしまう。
遠い、未来を。夢見てしまう。]
っとに。
なーに、やってたんだろ、なぁ。
[すれ違い、と言ってしまえばそれまで、だけれど]
……でも、うん。
すれ違ったままになんなくて。
良かった……か、なぁ。
[そう言って笑う様子は。
発作が落ち着いて来た事もあって、少しだけ、ほっとしたようにも見えるやも]
[落ち着いてと言われて落ち着けるかと言うと、微妙なところ。
ただ、聞き返された声>>103を聞いて、わたわたと泡を食ったような動きをピタリと止めた]
………えーと、その
────まいったな。
[口許を覆う手、泳ぐ目。
想いを伝えられただけでも十分だったというのに、その先をも口にしてしまうとは。
耳まで紅くして、しばらく視線を彷徨わせた後、ようやく口許から手を外して六花へと視線を戻した]
…流石に、もう少し時間が経ってからとは思ってたんだが。
[意を決したような声。
重ねたままだった六花の手を、自分の両手で包み込む]
その
…前提に付き合ってもらえたら、嬉しい。
[10年経っても褪せなかった想い。
それだけの想いを抱いて想いを通じ、その先を考えないはずが無い。
ここまで来たら、と口にする友幸の表情は緊張も相まって真剣そのものだった]
[恋はよくばりで。
忘れてたやくそくを思い出してからというもの。
ただ、想いを伝えるだけで満足だったはずなのに。
もっと、もっとと求めて――。
きっと。追い詰めてる。
きっと。困らせてる。
つい、反応してしまった言葉に。
口許を覆ってしまったしぐさに。
追い詰めて、ごめんなさい。
伏せた視線は、改めて包み込まれた温もりによって。
ふたたび友幸さんを見つめてしまう。
だめだって判っているのに――]
ぜん…てい…?
うそ、だって…わたし――…
[変なことを言ってばかりで困らせているのに。
それなのに。
だけど友幸さんの真剣なまなざしに。
わたしは息を呑んで。]
あのっ、こちらこそ…末永くよろしくお願いします。
[今度はちゃんと言葉を噛み締めながら。
ありがとうと。
にっこりほほ笑むのです。]
[友幸自身、再会したばかりでこんなことを言うのは性急だと思っている。
けれど秘めた想いがもう、溢れてしまっているから言葉も押し込めることは出来なくて。
相手を困らせるかもしれないと思っても口にするのは止められなかった]
あ、いや
返事は、直ぐじゃなくても───
[先走りすぎたかと、慌てて言い繕う。
六花は驚いている>>109ようだったが、紡がれた言葉に今度は友幸が息を呑んだ]
っ、
あ、あぁ。
こちらこそ、よろしく頼む。
[微笑んでくれる六花に緊張に凝り固まっていた表情が緩む。
両手で包んでいた六花の手を引き寄せ、両手を解いてその背に腕を回す。
一連の行動は嬉しさによる無意識のもの。
それでも、抱き締める力は壊れ物を扱うように優しかった]
[「はー、あっついあっつい」
逃げ込んだ藤の樹の陰。
幹に寄りかかって茶化している妹が居たことを友幸は知らない*]
[返事は急がないと言われたけれど。
いま言わないと、と思って。
もちろん断ることは無く。
受け入れる事を告げると。]
あっ……
[両手を離されたかと思うと。
擁かれるように腕を回されて。
まるで腫れ物にさわるかのようなしぐさに。
ちいさく苦笑が漏れるのです。]
あ、あのね、友幸さん。
わ、わたしは――…
わたしはそんなに簡単には壊れない、ですよ?
[優しさは、友幸さんのいいところだけれども。
でも、もう少し強引に奪ってくれた方が。
友幸さんのものだって気がするから。
安心、するのに*]
そ、そうか?
[言われて>>113、抱き締める力を少し強める。
身長があるために膂力もそれなりにあり、こういう時の加減がなかなか難しい。
先程よりも力は強まっているが、どこかまだ探り探りだ**]
もしかしたら、その子に効くかもしれない。
[具合の悪そうな"シンちゃん"を示して。
問いへの応えは一旦保留。
光る水の中、ゆらゆら揺れる白。
横目で男性を見つめて。]
[ぷっつん切れた呼び声に応じたのか、それともただ、マイペースにやってきただけなのか]
[二足歩行の時計兎が、相変わらずのんびりと、鍵と螺子を使って『時計』の時を動かす]
[そうして、時を告げるおとが12回、ぱりんと砕けた見えない壁の向こうから、消えてしまった人達の姿が現れて]
レンさんっ!
[最初に 目に飛び込んだのは 怪しいかっこのままの友人で]
...て、えーと...?
[なんでお豆腐? 思わず 足が止まった]
うん。
戀ちゃんが言うなら、効くかもなぁ。
[顔を上げて、サングラスの奥の目と目が合うかは分からないけれど。
否定が無かったから、またその名を口にして、昔みたいに笑う*]
[悩んでいた一瞬のうちに、友人は、シンちゃんの傍にいた男性に声をかけられ、なんだか邪魔出来ない雰囲気に、そろそろと後ずさる]
[ふと藤の木を見ると、樹村くんが真剣な眼差しで、語りかけているのが見えた]
[ゆらり、ゆらゆら、回りの藤が、どこか嬉しそうに揺れる]
[その後、再会を喜んだ勢いで告白されたり、一足飛びに将来を約束しちゃったりしてるのを、横目に見つつ]
[ゆっくり、よちよち、相変わらずの歩きにくさに閉口しつつ、藤の木に歩みよる]
[藤模様の扇子 開いて 差し伸べる]
『たとえ、やがて散るのがサダメとしても、花は開いて香るもの』
[あの時は 造花の藤を 振ったのだったか]
『だから、咲きましょう。大好きな、あの人のために』
[ひとを愛した 藤の精の それが願いだった]
きっと大丈夫、みんな、居るから。
[ね? と 見やったのは]
会えて良かったね、キクちゃん、シンちゃん。
[にこり 笑った *ちょっと羨ましいけど*]
もう、もしかしたら私の名前、アズキかもしれないのに。
[それは飼ってるデグーの名前だ。
変わらない笑顔を見せる真昼につられるように綻んで。
けれど直ぐに、はっとする。
そうしてまた、顔を逸らすの繰り返し。*]
え、だって戀ちゃんやろ。
変わんないもん。
[ちょっと素直じゃないところとか、と口にはしなかったが。
隠れきれていない赤みに少し、可笑しそうにまた笑う]
へぇ、そーなんかぁ。
……まぁこの不思議空間やしなぁ。有り得るかも知れん。
[現実世界なら豆腐の効能などたかが知れているが、此処ならありな気がしてくるから不思議なものだ]
えー、アズキちゃんより戀ちゃんの方が可愛いと思うけどなぁ。名前。
うん、まぁ、とりあえずは、元気そうで良かった。
[顔を逸らされても気にした様子はなく。
この期に及んで人違いの可能性など考えなかったから、返事もちょっとずれていた]
ちょっと待っててな、綴木に食わせてくるわ。
[そう言い残して、進矢のところへ向かおうと踵を返した*]
[藤の木の傍 もう一人 見つけたのは]
あ、お弁当屋さん!
[まだ 名前は 覚えてなかった]
ごめんなさいね、怪我してない?
[よちよち 近付いて 手を取ろうと]
[伸ばされた手 両手で 握って]
あなたも優しいのね。
ほんと、ごめんなさい。私ったら、逃げてばっかりで。
[ここに 呼ばれた人は みんな優しい]
[そろそろ後ずさる視線の先、友人が手にした豆腐を、話しかけて来た男性に渡すのが見えた]
[顔は隠れていても、微妙に照れているのが、仕草で判る]
[すると、あの絹ごし豆腐は彼へのプレゼント用の豆腐だったのか、と、納得した...してしまった]
[両手で握られると、またほんのり赤くなる。
美しい花嫁さんにされたら誰でもなるはずだ。妙齢の女性と触れ合う機会が皆無なせいばかりでなく。
さておき]
優しい?
俺は…良く分からなかっただけで。
[見つけても自分から何が出来たわけではない。分からないまま突きつけて、ツキハナを、彼女の近くにあった藤を怖がらせただけ]
それに、逃げたようには見えませんでしたよ?
何かやるべきことがあるんだろうなって。
藤にも頼られてるみたいだったし。
[最初に「視えた」時、綺麗だと、似合っているとも思った。その理由を考え添えて。
握られた手を軽く握り返した*]
頼られてるっていうか、ほんとに同調しちゃってたのよね。
[咲きたくて でも 怖くて]
でも、今までは気付いてなくて...気付けたのはお弁当屋さんのおかげもあるから。
[鍵と言われた その時に だから]
ありがとうございました。
[にこり 微笑んで お礼を言って]
何かお礼したいんだけど...あ、お弁当!
今のロケ弁、あんまり美味しくなくて、不評なのよー。
レンさんが通ってるお弁当屋さんなら、間違い無く美味しいわよね。
[友人は 良い物を見分ける 感性を持ってるから]
監督に頼んでみるから、戻ったら見本のお弁当お願い出来るかしら?
[一石二鳥 私って 天才、かも?**]
あらら。
[美味しくないお弁当は切ない。
自分の作るものに絶対の自信なんかはないけれど、喜んでもらえるものを作るのは幸せ]
いいですよ。
予算と大きさはどのくらいでしょう。
おかずも何かご希望があればそれメインにしますし。
[レンの方をチラリと窺いつつ。
やっぱりオススメしてくれるのは唐揚げだろうか。女優さんが多いならヘルシーメニューも必要だろうか。新作もレンに好評だったら入れてみようか、などなど思考は広がってゆく。
外からは、少しボヤッとなったように見えただろうか*]
此処に来て、色々な事があったおかげ、かも。
そうじゃなかったら… きっと私、向き合うの…怖いままだったと思う。
[彼の横に腰をおろしたまま、見上げればそこには花房の無い枝。
この空間に迷い込んで以来、ずっと聞こえていた声の主に、ふわり微笑んで]
あの、ね。
じゃあ… あの時の事、覚えてる?
[発作が治まってきた様子に少し安堵すれば、そっと立ち上がる。
一歩前へと進んで、小さな背を向けたまま問いかけた。]
……あの時って。
[思い当たるまではそう、難しくない。
しまい込んでいただけで、忘れたわけではないから]
……多分、忘れてない、と思う、よ。
[周囲に揺れる藤の花房を軽く見やってこう返す。
物言いを曖昧にするのは生まれつきの気質のなせる業]
えっとね。
華お姉ちゃん、覚えてる?
三人で…裏山に行った時…。
[口にしながら、徐々に鮮明になっていく記憶に目を閉じて]
私、あの頃から…鈍かったから。
二人に置いていかれるんじゃないかって、ちょっと寂しくなってね。
走ったら、見事に転んじゃった。
[つい先程の事と重なるようで、一人苦笑がこみあげる。]
寂しかったのと。
痛かったのと。
それに、藤を傷つけちゃった気がして…。
[倒れた横に落ちていた花房は、別段自分がつまづいた事と関係無い物だったのかもしれないけれど]
だから、すごい勢いで泣いちゃって、さ。
[ちらりと視線だけを向ける。
彼はどんな表情で聞いているのだろう。]
[背を向けたまま、綴られる言葉は拾い上げた記憶のそれと重なって。
やっぱり、と思いながら、話を聞く]
……あー、うん、覚えてる。
[相槌を打って、思い出す。
少しだけ気が急いていて、先を急いで。
転ぶ音と、泣き声に慌てて駆け戻って。
……女の子が泣いてる時にどうすればいいか、なんて……まあ、今でもちゃんとわかってはいないわけだが、それはそれとして。
横に落ちてた藤の花房の事も気にしてたみたいだから、とそれを拾って]
……思えば、当時の俺って、怖いもの知らずだったなぁ。
[ぽつ、と呟く表情はやや苦笑気味]
『みんな一緒なら、寂しくないよね』って言って。
掬ちゃんの髪に落ちてた藤挿して、一緒に行こう、って言ったんだっけ、確か。
……今だったら、絶対できないなぁ……。
[主に気恥ずかしくて無理だろう、というのは予想に容易い。
でも、『一緒なら寂しくない』というのは、当時の自分の本音で──だから、素直に言えたんだろう、と思う]
……でも、うん。
あの頃、ほんとに楽しかったんだよ、な。
それが、俺の身体のあれこれで壊れた気がして、それがきつかったんだよ、なぁ……。
[拾い上げた記憶の隅で絡まっていたもの。
大人しく治療を受ける気になれない理由がほどけて、零れる。
生まれついての重疾患。
それが簡単に治るモノではないのはわかっているけれど。
少しだけ、もどかしいものが浮かんで、消えた]
進矢くんのせいじゃないよっ!
[思わず振り返って、心なしか言葉が強くなったのは、
むしろ、苦しかったであろう想いに気づく事すら出来ず…
勘違いから、現状を作ってしまった自分に責を感じて。]
私に…。もう少し勇気が、あったら……。
きっと、あの頃、ちゃんとお話できてたら…。
[過去の事とはいえ、心労となるような事を、自分のせいで抱えさせてしまった気がして
堪え切れず、頬に一筋。
其れを指先で払うように拭い、両手をきゅっと握り締めながら]
…あの時。私… 病気の事とか、ちゃんと理解出来て無くて…。ごめんね。
それから、もう一つ。気付けなかった事……。
[時折、唇を隠すようにして、込み上げるものに耐え]
今なら、判るんだ。
もう誤魔化したく、ないから…。
心配かけたくないから。
聞いて、くれる?
[どこか恐る恐るの問いかけは、目を伏せて呟くように。]
[振り返る前の表情変遷>>154に気づく事はできない。当然だけど。
振り返りながら告げられた言葉>>155の語調の強さに一瞬きょとん、と瞬くものの。
一筋零れたものの続いた言葉にへにゃりと眉が下がって情けない表情を作る]
そんなに、気にしなくって、いいって。
ちゃんと話さなかったのはこっちもだし。
……自分で自分の身体の事、ちゃんとわかってなかったし。
だから、そこ、謝んなくて、いいからっ。
[ただ、大変な事になっている、という自覚しかなくて。
状況を自覚している今でも──どこか、ふわついて受け入れきれていないのが現状だから]
…変わってるから。
(というか殆ど見えてない筈。
というか、これで変わらないって真昼の中の私ってどんなだ。)
[言葉にされない内面に対して、返すは今の姿。
表面的な話。]
うん。
[豆腐に関しては、こくりとひとつ。
この幻想世界が応援してか、真昼もすんなり受け入れている。
なんだろう、こののんびりした、それでいて言葉をそのまま、受け入れてくれる、その雰囲気にほっとして。
心を変に曲げられないことに。]
[暢気にお弁当の話をしている、そのすぐ傍で、妹のような気がしてる少女と、なんだか気になっていた青年が、懐かしい話をしているのが、切れ切れに聞こえる]
[そういえば、そんな男の子もいたっけと、今更ながらに思い出した]
[『シンちゃん』と、そう呼んだのは、あの頃の思い出が無意識に顔を出したせいだったかも?]
うん、その予算でその数なら、俺が責任持って引き受けます。子供用も、ですね。
…お子様ランチってどこかで食べられたっけ。
[普段作らないものもリサーチしてこようかなんて。最後の独り言まで声にしてしまいつつ、宙を見ながら頷いた]
いいんじゃないですか、注文者特権で。
ああ、バリエーションもあった方がいいですよね。和風洋風中華風とか。
[今度のくすくす笑いは、恥ずかしいより一緒に楽しくなれるよう。
指折り数えながら顔を戻して]
それでもいいですよ。
ギンスイってのも本名じゃないんで。
[くすくすと、同じように笑う]
銀水月<<シロガネミズキ>>。
でも苗字は店の名前と被るし、名前は祖母と同じ音だからちょっと…てのがあって。
なんで、それなら十分ありがたく。
改めてよろしくです。
…華さん。
[呼んでね、と言われた名を大切に口にして。
もう一度ぺこりと頭を下げた*]
[何時もそう、苦しいのは彼の方なのに、自分が泣いて、謝って。
きっと、目の前の優しい人は、その様子を見れば気にして、余計に辛くさせてしまう。
だから、我慢しなくちゃ。
そう言い聞かせて、頷くだけ。]
小さな花瓶、お母さんにねだって、お部屋に飾って眺めてたんだ。
あの頃は、その嬉しさが…何なのかよくわからなくて。
でも、今なら判る。
[そう口にした時、何処かから響いたのは柱時計の音?
空が金と銀に輝いて、全てを照らす中、彼にふわり微笑んで]
―― 私 あの日
初恋 しました ――
…………そんなとこまで、被んなくてもいーのに。
[ぽそ、と零れた声はため息混じり]
あー、でも。
俺の方が、ちょっと先、かも。
[視線は少しだけ、明後日向いていたけど赦されろ。
そんな事をちょっとだけ、考えながら]
……特別って、思ったのは、最初に会った時、だから。
[そう言って、笑って。
視線を向けるのは、寄りかかる八重藤]
……あの、さ。
いつまでここにいられるか、わかんないから。
連絡先、教えてくれると、助かる、かも。
[藤から視線を移して、口にしたのはやや唐突な言葉]
今ちょっと、ばたばたしてるけど。
色々、落ち着いたら、連絡する、から。
[交差点で悩んでいた事はまだ、解消されてないけれど。
それに向き合う気にも、少しなれてきているから]
……今度は約束。
ちゃんと、まもる、から。
あ、そうだ。
[無事に(?)豆腐のお届けものが済んだ後。
戀の元へ戻るや否や、胸ポケットに差したペンと常備しているメモを取り出し]
はい。気が向いたら連絡もらえると嬉しいわ。
そんでどっか遊びに行こ。
[自分の携帯番号と、メールアドレスを書いた一枚を破って、差し出した*]
折角また会えたしさぁ。
これっきりになんのは寂しいし。
[連絡先の話に至れば、はっとしたように]
あ!そう、だね。
此処に居たの… どれ位の時間、なんだろう。
なんだか、ずっと此処にいたような気が、する。
[藤の根元に置いた鞄から、手帳を取り出し、ペンを走らせる。
少し手は震えたけれど、全てを書き終えればそっと差し出して]
うん。約束!
大丈夫、信じてるもん。
それに、ほら、この樹も…信じるって!
[そう言って指差したのは、八重藤の枝の上、小さな小さな若緑]
……あ、そーだ。
[それから、ずっと肩にかけていたバッグをおろし、高校に入ってからずっと付き合っている愛機を出して]
ちゃんと撮れるか、わかんない、けど。
[立ち上がり、レンズを向けるのは若緑。
藤はずっと、撮れずにいたものだったけれど。
今はごく自然に、それを写す事を選べていた]
忘れない、ために。
ちゃんと、残しておくから。
[小さな呟きに答えるように。
若緑が小さく、揺れた。*]
[辺りをみわたすと。
まだ見ぬ人たちも藤の木に集まっていて。
それぞれの想いが、それぞれの相手に。
伝える 伝わる 優しい気持ちを。]
ねぇ、友幸さん。
[わたしは、傍にいる彼に話しかけます。]
この藤の樹は、もしかして――…
大切な人ともう一度巡りあえるように。
わたしたちを招いたのかも、しれないですね。
[もし、その奇跡がほんとうなら。]
かえったら、まず藤の木に恩返しを、しなくちゃですね。
[まずは実家の八重藤に。
ありがとうのお礼と共に元気を上げなければと。
わたしは、隣にいる見習い樹木医さんに。
そっと*微笑むのでした*]
うん?
[呼ばれて>>180六花へと視線を向ける]
そうだなぁ…。
ここに来なけりゃ、こうして再会することも出来なかったかも知れないし、な。
[見れば誰かが必ず誰かの縁者だった。
これは単なる偶然なのだろうか?
六花の言うように偶然ではなく、藤の樹が招いた必然なのだとしたら]
あぁ。
恩返し、しないとな。
[自分が出来ることでそれを成せるのならば、厭う理由など無い。
微笑み見上げる大切な人に、友幸もまた穏やかな笑みを返した**]
[藤の写真を撮った後、ひとつ息を吐いてぐるり、と周囲を見回す。
見知っている人、知り合ったばかりの人、久しぶりに逢えた人。
そこに集ったのが偶然か、それとも何かの意図なのかはわからない、けれど]
……えーと。
良かったら、記念撮影、しません?
[呼びかけに、返ったのはどんな返事だったやら。
何れにしろ、フィルムには。
不思議な藤林の光景が残される事に、変わりはないのだれど。**]
[再会、出逢い、交わされる約束]
[微笑んで、藤の木を見上げると]
[柔らかな風に揺れる満開の八重藤の姿が、見えた気が、した…]
『ツキちゃーん!お待たせ!本番いくよー!』
[耳に届いた声に はっと 我に返る]
あ、え…?
[きょろり 辺りを見回しても 藤色はもう視界にはなくて]
…まさか、熱射病の幻覚?
『ツキちゃん、急いでー!巻いてるから!』
あ、はーい!
…準備、いいんだね。
[渡された連絡先のメモをまじまじ見ながら、呟く。
真昼の職業は未だ知らなかった。]
にしてもここ、何処なんだろうね。
覚めても、覚えているのかな。
[なんとはなし近く、八重桜に視線を送る。
枯れかけた木に新しく芽吹いた小さな緑が見えた。
―――サングラス越し、モノクロだったが。]
『おい、ちょっと待て、それそのままにしといて!なんかいい感じだから!』
[監督の声に応じるように ふわり白無垢の上 藤色が揺れる]
[きっと このシーンは カットされない]
(後で監督に、ギンさんちのお弁当の話しとかないと)
[私は 幸せな花嫁の笑顔を浮かべて *よちよちと歩き出した*]
(……このメモ、消えてなければいいけれど。)
[悪い可能性を頭の片隅に置くのは、経験則からの自己防衛。
無邪気で居られないくらいの時を重ねてきた。
けれど、それでも、起こった奇跡。
今、目の前の真昼は夢じゃないと思えるから。]
[不可思議な事に振り回されて、大変な一日だったけれど…]
わ…。進矢くん、すごいカメラ。
すごい記念に、なっちゃう、ね。
[幻想的な薄紫を見回して、くすと笑った。
彼の呼びかけに皆集まっただろうか。
もし撮影されることになったなら、しっかりと彼の隣で笑顔を浮かべたことだろう**]
―― いつもの公園 ――
[柔らかい風が吹き。
わたしは、ねむりから覚めて。]
あ…やっぱりゆめじゃ、なかったんだ。
[ベンチから立ち上がり。
ゆっくり歩きだす。
そう、彼のいる*植物園へ*]
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