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[吹雪く中では、近付く者に、その立てる音に、直ちには気付かれず――だが、はたと察せられて、足を止めた。僅かな間があってから、振り向き]
……レイヨ。
[雪の粒が入り込む視界。認められた姿に、その名を口にした。呟きに近い声は、相手には届かなかったかもしれないが]
……そうか。ヘイノが。
留守は確認していたが……
狼遣いが?
[レイヨに聞いた内容に、思い起こすように。最後の語尾は疑問形になっていた。ややあって、頷き]
……それならば、ラウリか……
さもなければ、カウコか。
[ぽつりと発したのは、ヘイノの他に、暫く見ていない二人の者の名。どちらの死も男は未だに確認していなかった。仮定の後に沈黙。続けられた言葉に]
……あの人。
あの人、とは。
[浮かぶ姿は既に数少なくも。確認するように、尋ねた]
守って。長老は仰っていた。
暴虐を僅かに阻む者がいると。
[カウコがそうなのかもしれないとは、言外に]
判らない。無事であるのか、そうでないのか。
ただ……暫く姿を見ていない。
故に。あるいは。
[推測も、言い切りはせず]
……
[無言のまま、レイヨの面を見据えた]
……トゥーリッキか。
[ぼかされたその名を、はっきりと紡ぐ。呟きではない声は、使者然として、よく響いた]
……
それが真実たらんと言うのならば、求めん。
新たな死が齎される前に、その身を。
既に齎されたなら、その結果をも。
[告げられた人物について、感情めいたものを口にする事はなく。するべき事を確認するように言っては、果てない白き野に遠く目を向けた]
……トゥーリッキは。
ウルスラを殺した事を憎むと言っていた。
[トナカイ。病。レイヨから伝えられるトゥーリッキの話に、マティアスの小屋にてかけられた言葉を告げた。続いた声には、レイヨに顔を向け直し]
そうか。……それで良いのだろう。
トゥーリッキが狼遣いだというならば。
私だって。己からしてさえ模糊たる存在だ。
理解など、せずとも良い。
すべきではないか。どちらでも同じ事だ。
[尋ねたいと言うレイヨに、その車椅子が軋み動くのを見やりながら、続けられるのを黙って待った。問い掛けられた内容に、少しく目を伏せて]
……死を。
[返した言葉は、ごく短く。ウルスラを殺した後に語った話をなぞるように]
忘れずとも。薄らいだならば。
そう、いつも考える。
[一度、手袋をした掌を見つめてから。レイヨに先んずるようにして、長老のテントに向かい、歩き出した。テントに辿り着くまでは、無言のままでいたかもしれない**]
[やがて見えてきたのはマティアスとイェンニの姿。レイヨの声を聞き、一度其方に目を向けてから、二人の方に歩み近付いていった。白に広がる赤。凄惨な光景]
マティアス。
[名を呼んだ彼は手遅れだろう事が知れた。彼の、人を喰らってしまった犬がレイヨによって永久の眠りにつかされる。目を閉じ、開いた時には、既にマティアスも息絶えているのが認められたか。怪我をしたイェンニには静かな一瞥をくれて――暫くの間、死したマティアスの体をじっと見下ろしていた*だろう*]
[レイヨがテントへと向かえば、使者の男もその後を追う。テントの前にラウリの姿を見ると立ち止まり、黙ってその様子を眺めた。狼に喰らわれてはいない、刃を受けてもいない、遠目に見れば眠っているとも思われるような、しかし間違いなく死んでいると判る姿]
……、
[それから入ったテントの中で、カウコの死を語る長老の話を聞いた。肩を震わせるのを見ると、僅かに口を開きかけ、やはり閉じて]
……失礼します。
どうかご無事で。
[最後に長老へ一礼をし、短く付け足して、外に出た]
[マティアスの倒れる場に戻り、彼に膝掛けがかけられるのを見る。レイヨが戻ると告げるのを聞き――意思を確認するのを聞いて、逡巡した間は、短く]
……私も、共に。
[レイヨの顔を見据えてそう返し、車椅子の傍らについていった。見えてくるレイヨの小屋に明かりが点っているのを認めて、一度、己の腰に触れる。コートの下、ベルトに挟んだ武器を確かめるように。
扉が開く。男は、レイヨの背後に*居て*]
――……
[トゥーリッキとその蛇に加えて、四頭の狼の姿が見えれば、問いには返さないまま、コートの下から一本のナイフを取り出した。ウルスラを殺した物とは違う、二十数センチの刃渡りを持った、狩猟用の片刃のナイフ。
構えれば、唯一両刃になっている先端が閃き]
……
[切りかかるわけではなく。ただ、レイヨの横に一歩だけ踏み出して。瞳に警戒を過ぎらせ、男は在る*だろう*]
[レイヨが差し出した茶を、男も取る事はなく、一度首を緩く横に振ってみせた。狼から注意を逸らさないようにしながらも、トゥーリッキが腸詰めを食す様子を見ていて。声をかけられると、やや間を置いてから]
……閉めろと言うならば――
[四頭がいる閉ざされた空間と、広いがどれ程狼がいるか知れない空間。孕まれる危険を比較し考慮してか、肯定の返事をしかけ――続けられた言葉と背後の気配に、はっと手に力を込め、振り向き]
[飛びかかる一つの影、狼に向けて横凪ぎにナイフを振り払った。反応は早くも、振り向く僅かな時間のぶれ。狼の刃は男のコートを、あるいは肌までも破ったかも知れず。雪と破片が入り口を塞がんとするように落ち来るのは、それとほぼ同時にだったか*]
[降ってきた物らの下敷きになった男の左肩から、赤が零れ出る。狼の死骸は衝撃で外れはしたが、すぐそばに。引き裂かれたようになった傷口は熱を持ち痛み]
……、
[声はあげずも、眉を寄せて。脱け出そうとするが、自力ではなかなかうまくいかず、試みながら二人が話すのを聞いていた。松明は見えなくとも、その話と近付く気配から、曖昧な状況は知れ。ウルスラの話には、少しばかり目を伏せたか。レイヨには腕を引かれるがまま]
……――が……っ、……
く……
[けしかけられる大きな狼。肩口へ牙を突き立てられて、目を見開く。先よりも色濃く表情に苦痛を滲ませながら、引き摺り出され、やがて雪の外へと解放された]
[すぐに立ち上がる事はできず、細くも荒い呼吸を繰り返す。額には薄く汗が滲んでいた。深く抉られた肩。左腕は、少なくとも、暫くは動かせないだろう。溢れ出る血は体力を奪っていく。瓦礫で幾箇所か付いた切り傷と擦り傷や、衝撃による打撲もあって]
……嗚、呼。……
[喘ぐように息を吐く。その場に倒れ伏したまま*]
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