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[狼たちの嗅覚は、ウルスラの死を知らせるが、
遣い手の感覚には他に――薄れてゆくものがある。
繋がっていた、対たるたましいのそれ。
群れを率いていた者。……帽子の男。]
…保てなくなって しまった か…?
[ひととおおかみの境を。個と群れの境を。
蛇遣いは呼ぶが、応えがないこともまた悟る。]
―――― …
[風が吹く。]
殺されたのでは、ないのだな。
死んだのでは、ないのだな。
[雪が舞う。]
保てなくなって しまったのだな。
[丘の向こうには、
蟻の如き列すら成せる、狼の大群。]
群れに頭目は独り…
そういうことなのだろうかな。
[見遥かす必要もない。感じて…呟くだけ*]
…
必ず、滅ぼさなくてはならぬ。
[ほろり、零れ落ちる先。吐く息はしろく、薄い。]
より美しく、凄惨な滅びを――だったな。
ああ。 あたしも視たいのだよ。
終の住処たるこの村の、
やがてうしなわれる「貌」の総てを な…
それはきっと、対たるお前と同じ望みなのさ。
[遣りようの違いは、あったのかもしれぬ。
互いが持つ、ひととおおかみの境も。――なれど*]
そう…
ヘイノの奴が、病で死んだのでないといい。
骨鈴の―― お前は、違うよな。
どちらかと言えば、寒さには鈍いほうだった。
[死と滅びとに魅せられて、寒空に立ち尽くす
片割れの姿を思い起こしながら遣い手はつぶやく。]
…ひとに取っては、
死病でもないと思ってたんだけどもな。
[突然の死を招くほどに重篤化するものなら。
トナカイたちに広まればやはり滅びは近いかと、
いまは自らのことは置くこととして蛇遣いは想う。]
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