[はらり。髪に降り積もった雪を払った]
雪……道理で冷え込む訳です。
こんな召集を受ける羽目になるなんて……そりゃあ、余所者は怪しいでしょうけど…はあ。
まあ、野宿になるよりはマシでしょうかね……
[自警団長によって指示された集会場の前に立ち、ため息をひとつ。
そしてその建物の中へと入って行った]
[部屋を見回すが]
一番乗りですかね。
あ。これ、勝手に使っていいのでしょうか……
……………。
いいことにしましょう。
[寒さに負けた。備え付けられていた暖炉に火を入れ、その前に陣取り冷えた身体を温めている。部屋の中も段々と温まってくるだろう]
うう…さっみ゛…。
[歩きながら腕を組んで、二の腕をさする]
なしてこんな時に招集令が来るんだべ。
「畑に不審な獣の足跡があった」なんて言われてもなぁ……こん時期の何もねえ畑に何でわざわざ入って来たんかおれが知りてえくらいだわ
しかし……どうなるんかなぁ
[考えながら、やがて村の集会場が見えてくると小走りに]
は、早く入っちまおう
[焦り気味に集会場の扉を閉めると、暖炉には既に火が灯っていた。
その前に長髪の男が見える]
んぉ、あんた火ぃつけててくれたんか。
見慣れん顔だな…名前は何てんだ?おれはグレンってーんだ
…あ、その前に隣いいかい?
[もしも男が頷けば、暖炉の前に行き暖をとっただろう]**
あ。どうも。外は寒かったでしょう。どうぞこちらへ。
[グレンと名乗った男には快く頷く]
コーネリアスと申します。旅をしておりまして…この村の名物でも楽しもうかと思っていたのですが。
[名を尋ねられればそう答えるだろう。段々と指先が暖まってきた]
こんな噂が流れてる時じゃなければよかったのですけれど。名物楽しみだったのに。確かなんでしたっけ、頭に“バ”の付く、ええと……
[村の名物の名が思い出せない様子で悩んでいる]**
ビスマジッルヒッサコブラルディカデロス。
略して「バロン」。
[小さくドアの軋む音だけを立てて、彼は室内へ滑り込む。
さらさらと雪は室内に舞い落ちるが、寒風は最小限に抑えられただろう。]
確か村の名物ってそんな名前だったはずです。
[見慣れない人物によそ行き顔の微笑みを一つ浮かべ、若齢者はコートに積もる雪を手で*払った*]
グレンも呼ばれたのか……
そちらは見ない顔だな。
[手袋をはめた手を小さく振って会釈。
もう一人の客人には酒場の営業スマイルを向け、簡単な*自己紹介をする*]
…………。
[衝撃に耐えられなかった体は、床に手を着く形で崩れ落ちる。
痛みより気恥ずかしさといらつきに、内側に伏せた表情を彼は一瞬だけ歪めたが、何事もなかったかのように立ち上がり、膝に着いた汚れを叩いた。]
あ、グレンさんご無沙汰しております。
いつも野菜を届けていただいてると、実家の両親からも窺っています。
[所作の粗い訪問者はさておき、先客にも不謹慎かと迷ったが、日ごろの礼と並べよそ行きの笑顔を浮かべる。
あわせて、見慣れない長髪の姿にも短い自己紹介を告げ、彼は少し離れた椅子に腰掛ける。]
変な噂も疑いも雪も、早く止んで欲しいですよね。
[ひとりごちると、鞄から本を出し視線を落とす。
ページを捲る音はさらさらと雪のように舞い、意識は嫌疑から物語へと*落ちていく*]