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[聞き慣れたドアの軋む音微か。
バー独特の重だるいような空気が迎え入れてくれる。
好きだなあ、と"いつも"思うのだ。]
ねえ、『"血塗れ"メアリー』をちょうだい。
ちょっと軽めでさ。
[薄ら笑いのままでわざとらしく注文するのは、真っ赤なカクテル。
その色が好きだった。]
本当はトマトジュースなんて好きじゃないんだけど。
[タンブラーの中が無色透明から赤に変わるのを、カウンターに頬杖をついてただにこにこと見ている*]
[赤に満たされたタンブラーは、深くマドラーを差しいれ一度軽くステアされる。
マドラーの溝を伝う僅かに粘性のある赤に、うっとりと目を細めた。
カウンターに置かれたブラッディ・メアリー。指を触れ、口元に引き寄せ、唇を示すように一口飲み下し。]
ああ、やっぱりトマトジュースなんて嫌いだな。
[カタン、とタンブラーごと倒して、にっこりと表情は変えぬままで残りのすべてをカウンターにぶちまけた。]
[怒声が響いても、文句が飛んできても、気にしない。
あ、よく殴られもしたっけ。随分昔にそんなこともあったような。
時々起こすこんな癇癪に、ブラッディ・メアリーを出す時点でマスターももう勘づいていたかもしれない。
だってそれくらい、ここにはよく来ているだろ?]
そうそう、マスター、美味しかったよ。
トマトジュース以外は。
[味の感想も忘れないのが礼儀だって、ちゃんと知ってるくらいには。]
あのさ、誕生日言ったっけ。
6月の18日。いい日でしょ。割ともうすぐなんだ。
キミのは? なんか、聞いたかもしれないけど、忘れちゃってさ。
[赤いトマト色の血がカウンターから滴るのをただ背後に、女の黒髪に視線を向けた。]
ベッドに?
[残念ながら、甘やかなやりとりにはてんで向いちゃいないたちなものだから、その言葉がすぐにカクテルの名前には繋がらない。
ただ、この売春婦めいた風貌と艶めいた声で、"ベッド"の単語が示す意味くらいは、わかる。
そうしたらもしかすれば、答えはその先だ。けど。]
そうだな、とても魅力的なお誘いだけれど、まだ勢いに任せるには早いかな。
ボクの誕生日までは待たなくてもいいけど、もっと夜が更けるまでさ。
[この女が、いつもの常連だったかそうでないかは、別にどうでもいい話。
誰だって等しく、変わらずに笑いかけるだけ。
金輪際馬鹿な真似はよせとマスターが言っても聞こえないふり。
だってこの侘びの一杯を目当てに来ている奴もいたりしただろ?
時々タダ飲みするためだけに、何杯分も先に金を落とす客を連れてくることもあるんだ、ボクの手柄じゃないけど感謝してほしい。]
初雪から産まれたから、きっとキミはこんなに綺麗な色をしているんだ。
羨ましいな。女の人って綺麗だから。
[彼女の指先が弓なる口元に吸い寄せられる。
あまりに官能的で、唇を湿した。]
ねえ、その水割りちょうだいよ。
ええと、何だっけ。ウルフ? ジンジャー? レス? キャットテイル?
[いくつもいくつも名前を並べ立てる。
その中に彼の呼び名がひとつでもあったのか、ないのかも知らないままに、催促の手が伸びる**]
――ほんの少し前――
[頬に触れる指先。少し伸びた爪のかたい感触。
綺麗と言われたって、そうあってほしいと願ったものじゃないから、どうにも的外れに思った。]
努力なく綺麗、ね。
綺麗になろうと思っているわけじゃないんだけれど。
そういう風に言うと、嫉妬する?
[視線を逸らす前のこと。
つつかれた指に自分の指も添えて、絡めて降ろさせる。
なんてことない、ただの女だ。
背けてしまえば、刹那の欲も薄れた。
もう思考回路は、11月3日のことばかり。]
――現在――
ウルフ。ウルフか。わかった。思い出したよ。
そういえばそんな名前だったっけね。
[口から出まかせ数撃ちゃ当たる、なわけもないが、欠片も思い出せてなどいない男の名前をさもはっきりと記憶にあるかのように頷く。
薄めに薄められた水割りはまともな味すらなくなっているが、それで構わなかった。あまり味の違いなどわからない。
けれど煙を飲むとは言い得て妙かもしれない。苦みか、渋み。味がするとも言い切れない、鼻から抜けるだけの、とらえどころのない味わいが喉を落ちていく。]
うん、美味い。非生誕祝いにうってつけだ。
[それは、茶会は嫌いだといった男へ傾けるためのグラス。]
[染み付いたような脂のにおい。
目の前の水割りと似て非なるそれに、くんと鼻をひくつかせる。
頁を捲る音が聞こえはじめたら、盃を交わしに行こうとはしない。]
ねえ、甘いもん欲しい。
砂糖ないの、砂糖。
[呆れるような溜め息をお供に、白砂糖がカウンターに。
定位置はそこだろうと、暗に示す。]
話わかる。
そういうのって大事だと思うな。
[ちん、とグラス同士の合わさる音。
カウンターに無理やり手を伸ばして砂糖が小山に盛られた皿を取れば、祝い酒のアテも充分だ。
舐めて湿した指に、白砂糖。口元に運んで、しゃりしゃりと食感を楽しんでいる**]
じゃ、ないの。
さっきそうだって言ったのに。変な人。
[おそらくお前に言われたくないランキング第一位だと思われるが、天高く己放り上げる棚。]
なんでもない日なんて、本当はないと思うんだけどね。
ウルフの誕生日はいつ?
[セルフォンを見たり頭を掻いていたりするウルフに、白砂糖のお裾分けを差し出しながら問う。]
[どこかで羽音みたいなものを聞いた気がした。
軽くぐるりと周りを見たけれど、飛ぶようなものはない。
ならば外だろうが、生憎窓際は女の定席だ。]
鴉かな。
いいよね、黒くて。
[羽音が聞こえるような大きめの鳥を鴉くらいしか知らないとも言う。]
ふうん。
[忘れた、という言葉。別段興味はないとばかり受け流す。
話題がほしいだけだ。口を動かしているのは楽しい。]
甘いものは嫌い?
[そうでなくても砂糖をそのまま口にする人間はそういないかもしれないが。
美味しいのにな、とまた舐める。]
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