[1] 絞り込み / 発言欄へ
[マシロのつぶやきに視線をあわせると、曖昧な笑みを浮かべる。記録係のサヨの手元を気にしつつ、何事かつぶやこうとした声はチカノの起こした行動に吸い取られた。]
お きゃく、さま……
[――ブザーは止んだ。誰かが飛び乗る。
重量はかわらないどころかナオ一人分増えたわけで。
何事もなく扉は閉まる。やがて折り返し地点に到着。
"――したへまいります。"
言い訳も悪態も消し、機械的に"台詞"を落とすと、ナオを現在の立ち位置に手招きして交代。]
[狭い箱の隅へと立ち、俯いたまま黙りこむ。
目を閉じて耳に入れていた指導教員の声には、ノイズ。
聞き慣れぬ歪めた声、「ひとり追い出せ」。
頭を掠めるのは不安の種である止まったブザーの件。]
1人増えたのに、1人でいいわけ……?
てゆか、スピーカー、酷い状態だ……
["壊した"チカノをじとりと見つめ、下階に向けて動き出すエレベーターの中、すぐに視線は床へ逸らされる。
"壊れた"スピーカーから聴こえた声の主が誰のものであるかは、未だ疑問に想うことは*なく*]
ブザーも止まって、ナオちゃんが乗って……
今は安全じゃないから誰か降ろせってことなら、
[つぶやき、しばしの沈黙。
何事もなかったかのように最上階にたどり着いたハコ。
続きは、ぽつり、と落とされて。]
……"追い出す"っていうのも、何か物騒。
[チカノをチラ、と見る。一人の責任にする気はないが、今このハコが平常ではないことへの危機感はある。
スピーカーの不調も見られる今は不安は募るばかり。]
[チカノが連打する"非常呼出"ボタン。応答はない。
何も起こらないのは、教員が事態を把握しているから?
それとも、コレも壊れているのだろうか。]
―――あ。
[何か思いついたように呟く。]
次の階で、とりあえずオモリだけでも外に出す?
追い出せ、の意味もわかんないし。
[オモリさえなければ定員オーバーなどしていない人数。]
[錘を降ろすことに同意してくれたサヨにこくりと頷くもチカノに私物と言われれば、むぅ、考えこむ。]
ブザーはまぁ、余裕みて設定されてるとは、
想うけどね……
[しかしその状態から一人加わっているのだからエレベーターとしても楽勝ではないだろう。]
[現在自分にとって不安の種である重量の件をどうしたものかと考えてみるも短時間で思いつくこともなく。]
……え、
[再度の指令。
夏向きのアレ、と思い出せば壊れたスピーカーの声もそのように一瞬考えてしまうけれど。]
声、は、わかんないけど。
こんな口調のセンセ、いたっけ。
[マシロの問いに、少し考えてみるけれど。]
[一度疑問に想ってしまうとどうにも気持ち悪い。
背筋にぞくりとしたものを感じて首をぷるぷる振る。]
あくまで、"追い出す"、なんだね。
降りるとの違いは、自分以外の誰かをってことよね。
[これも試験なのだろうか。
拭えない違和感が徐々に首をもたげてくる。]
[降りてください――ではなく、追い出してください、と
不合格にする――ではなく、くびにする、と。]
くびにする、なんて、わたしたちの立場では、
普通、使われないよね。
[ぽつり、と落とす声は小さい。]
[……訪れた少しの浮遊感に身を抱くように俯いて。
視界の明滅に、ひ、と小さく声をあげ照明を見上げる。]
やだ、これも故障……?
[夏向きの……なんてものが頭をよぎり、俯きがちな顔からは色など消えている。
目の前の不安に、誰を追い出すか、なんて考えられぬまま]
――そういえば。
追い出してって、いつまでに、追い出すんだろ。
[この短い時間に2度もアナウンスがあった。
次の階でということなら今にも扉は開くだろう。
当然まだ決めてない。というより*考えられてないのだが*]
[1] 絞り込み / 発言欄へ