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とうっ
[思わず、少女は黄色い錘だかテントだかをアンの"それ"に向かって投げつける。幸か不幸か、それは目標をはずれてエレベータの外に重い音を残して転がった。少女は一目散に逃げようとする。逃げようとして、逆に一歩下がる。]
追い出されたら…ああなるということか?
[二歩、三歩と後ずさり、サヨにぶつかる。
はた迷惑にも、狭いエレベータの中で絶叫する少女だった。
まゆげコアラ。私にはそれが気になったが……。]
な…なんだ。サヨか。
驚かせないでくれまいか。
[見開いた目もそのままに、おそるおそる振り返ってサヨを見る。
わざとらしく汗を拭う真似をしてみせて、そこにべったりと濡れた感触を覚えた。まじまじと手の甲を見つめてから、ため息をひとつ。もういちどサヨを見た。]
…いや。違う。
サヨの悪戯にしては、趣味が悪い。
[そう呟いて、少女は別の誰かを捜すように視線を泳がせる。
とは言えチカノの趣味が基準では……私も、ため息をひとつ。]
ああ、そうだ。
おきゃくさまが荷物を置き忘れた…と、しよう。
…ナオ。
黄色い錘だかテントだかを、拾ってきてはくれまいか?
[それこそ性質の悪い冗談だと、私は目を逸らした。**]
…次は耳だろうか。
跪くつもりも、命乞いをするつもりもないが…
私が追い出されるのは、少し困る。
[まだ少し、肩の後ろで編んだ髪が揺れるのを感じながら、サヨとマシロの視線を受け止め、すこし自嘲めいた苦笑を漏らす。]
マシロ。私の得意分野は悪戯だ。
だからこの悪趣味な悪戯を仕掛けた輩が判る気がするのだが…
追い出されてはそれもかなうまい。
[そう言って、少女はマシロをまじまじと見つめた。
冗談だと弁解はしないのだな。私は興味深げに少女を見る。]
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