[ポッケに入れていたスマホがぶるっと揺れた。
発信者は先日会ったばかりの歌姫。]
はーい、ごきげんよう?
[トロワ・シティの駅のどこかの柱にもたれかかって、通話をはじめる。今日は白衣を着ていないので、歌姫は気づくかどうか。
気づくといえば、ウミが警察に捕獲されたことを彼女は知っているのだろうか。諸般の事情でドゥ・シティのホテルへ遅れて到着したのは警察が一仕事終えた後だった。
ネギヤがヘマして捕まったと教えてくれたウミが…。同じくヘマをしたとは思えないのだがさてはて。]
ああ。姫君も無事そうだね?
[視界の隅に当人を確認しつつ、しれっと聞く。]
せっかくだからミル・シティで
勝利の美酒を味わいたいじゃない。
うかうか捕まっていられませんて。
んあー、そうみたいね。
後<91>分ほど早く着いてたら
俺もまずかったかもー?
…ネギヤがヘマしたって俺に教えてくれたの、爺さんだぜ?
んで、即自分もやらかすのはなんかなぁ。
耄碌したとは流石に思えないから、何か目論見があったとしか。
[それが本人によるものか他者によるものかは知らないけれど。]
もしかして、姫君は現場にいたの?
どっちかというと、爺さんの場合は、警察に取り込まれたらやばいって動き出す後ろ盾があるようなないような?
[まぁ、その辺の事情はさっぱりなので憶測に過ぎないが。]
ふふー、ねぇ、楽しみだ。
[世界一のシャンパンを思い浮かべれば、それだけで顔がにやける。おっといけない、油断大敵。]
ああ、そうだね。
遅れていっても、何かあったとわかるくらいの騒々しさだった。
ふっふっふっ、魅力的な女性を前にしたら、
情報の共有なぞ、二の次三の次だったんだろ、爺さんも男って奴さ。
[ザクロには伝えなかったことを知り、目をぱちくりさせたのは一瞬。
てきとーなことを言って、混ぜっ返して、自分で笑った。]
まぁ、あれを聞いたら、ホテルに向かうよねー。
迷…街の観光に時間をつぶさなければ、俺より早く着くのも当然。
[したり顔で頷きつつ、最後の問いかけにゆるりと首を傾げる。]
爺さんから何か…?手を貸すような算段って、いや、特に何も?
[爺さんからの言づて>>2:5でどら焼き屋に行ったことは伏せたまま。]
今回の件では俺たちチームだけど、基本フリーだからねー。
姫君の方こそ、どっちも俺より先に待ち合わせ場所に
たどり着いてるんだから、某か話は聞いてるんじゃないの?
そういえば、もう一人の爺さんとは連絡とってる?
[ちらっちらとザクロの方を見ながら、じわじわと場所を移動している。 隠れるため、というよりも、素直に予定どおりに行動しているだけで。]