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-喫茶店-
あー…、やっぱりそうですか。
ならいいです、縋るつもりはありませんから。
[営業担当に笑う。
神妙そうな、申し訳なさそうな態度。
でも、知ってる。
これできっと、この会社も私に仕事を紹介してくれなくなるんだろう。]
───…また、また別の仕事があったら、教えて下さい。
[そう言うしかない。
頑張って努力したら報われるとか。
誰かが見ているとか、夢物語。]
……かっているのにな…
[ここは持つという担当に伝票を預けて店の外。
込み上げてくるものが零れないよう顔をあげれば、視界に映る冬の灰。
泣きだしそうなそれとは対照的にあちこちで流れている楽しげなシーズンソング。]
ばーか。
[残した言葉は白い息。
通りの人混みを掻きわけ進む。
歩いて、ただ歩いて。
見つけたオフィスビルの隙間。
誰も気にも留めないだろうそこに忍び込む。]
ばーかっ、
つぶれてしまえーーーーっ!!!
[賑やかな音楽に紛れ、辺りに木霊する大声。
それは、自分でも。
どこから出しているのか判らない*くらいの*]
…はぁ、はぁ。
[自分の声にびっくりした。
幸い、誰にも気付かれなかったのか、気付いていても気付かぬフリなのか。
こちらを覗き見る者はなく、何食わぬ顔で通りに戻ろうとして。]
───…君、どこから来たの?
[足元、こちらを見上げる白兎に声を掛けた。]
あ、あれ?
[居ない。
瞬きした覚えもないのに、ついさっき目があったような気がした小動物が。]
……幻覚、病院に行ったら診断書くれるかな。
[つい、傷病手当金を貰えないかとか考えてしまうのは仕方がない。
無収入になることが確定したばかりなのだから。 ]
す、すみませ……
[俯き加減に謝罪して、普段ならそのままその場を立ち去る所、今回は違った。]
───っ!!!
[絶対大丈夫では無さ気な物が落ちた音。
拾ってどうにかなるものでもないのに慌てて拾おうとして、今度は自分の鞄の中身をバラバラと零してしまう。]
あ、ああ、あの……
[聞こえた悲鳴につい反応するが、言葉が続かない。]
………
[自分の荷物を鞄に仕舞いながら、相手の反応を待つ。
鞄を拾い上げる勢いから、心中穏やかじゃないのだろうことは流石に想像出来て、罵声を浴びせられることも覚悟した。]
──…、…っ
[目が合って、発せられる声に息を呑んで。]
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