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―回想―
[片づけを終えたミナツが戻ってきたときに時計が0時を告げた。
この瞬間に誰かが消えるのだろうかと思って俯いたそのとき。
ミナツの声にはっとして顔を上げた]
にーちゃ……えっ…ええええ…っ
きえ、た…きえちまった…。
ウソだ、ろ…
[ぽっかり口を開けて、さっきまでジュンタがいたその場所を見て。
そこへ座り込んだミナツにもなんて言っていいのかわからなくて]
ミナツねーちゃん…
[自分に縋って泣き続けるミナツ。
オトナだったら抱きとめることが出来たのかもしれないが、
小さな自分にはただそこにじっとしているしか出来なかった]
[まばたきをしたとき、そこにぼんやりと誰かの姿が見えた気がして]
あ、れ。
なんかいま。
[見えなかった?とミナツに言いかけて
ジュンタの携帯から着信音が鳴っているのが聞こえ口を閉じる。
ごめんねというミナツにはぶんぶんと首を振って、
その電話に出る様子を見ていた]
―?
[ミナツの悲しみに暮れる声に心がちくちくとして、
まばたきを何度も繰り返す。
そのたびに何かがぼやりと見える気がして、
だんだんとそちらに気を取られていく。
それはなんなのか…誰なのかと]
(ジュンタにーちゃん…か?)
[思い浮かべるのはその人だけで。
しかし確証はない。
電話を切ってうなだれているミナツの服をぎゅっと握って
まばたきをしながら見える影を目で追った]
…あ。
いっちゃ、った……
[ぼんやりとした影はやがてそこからどこかへ行ってしまって
そこには自分とミナツだけ]
オレ。なんか、見えてる?
[首をひねった。
―もうまばたきしても何も見えない]
―回想おしまい―
[ごめんね、と言ったミナツを見上げれば
涙を拭っていて。自分も少しだけ鼻をすすった]
ううん…んーと。
もやもやした、人みたいな影…あそこ。
でももうどっか行っちゃった
[ミナツに告げて、ふあああああああと欠伸を]
うん…眠い。
[布団をしいて貰ってそこに横になるなり
こてんと眠りにつく。
その直前までミナツの服を握っていた手が
時折何かを求めるように小さく、動く]
ん…んうー……
[ごろりと寝返りを打って
何かに手が当って目が覚めた]
…あ。ねーちゃん。
[そっか、と寝る前のことを思い出して]
みんなが帰ってくるどころか…
にーちゃんが消えちまった。
[寝返りを打った体を元の位置に戻して]
……うあ。
[目の前にモヤモヤがこちらを覗き込むように。
あー、と口を開けたまま、それを凝視]
[まばたきをせずともそのモヤモヤは見えていて。
けれど驚きでなんどもまばたきを繰り返す。
ミナツの声を片耳でききながら、
目は凝視したまま離せない]
だ、だれだぁ…オマエ…
[不意にこちらにモヤモヤの一端が近づいて
慌てて首をすくめたものの。
それは触れることなく身を掠めた]
…あれ?
[モヤモヤを触ろうとして手を伸ばす。
しかし手はむなしく空を切った]
ねーちゃん、そこに、なんか…見えねえ?
[指をさしてミナツに問いかけた]
…????
[モヤモヤが一度、こちらに向かって
さらにゆらゆらとして]
な、なんだぁ……
[一体その正体はなんだろうとじいいと目を凝らす。
ごく荒いモザイクが歪んで立体的につながっているような
それが、少しだけ細かく見えた気がした]
…?にー、ちゃ…?
[ミナツに触るなと言った後、モヤモヤはそこから後ずさる
それがなんとなく…目の前で消えた人物を思わせて。
しかし、やはりよくわからずに困ったように声を上げた]
そこに、なんかいるんだ…
ねーちゃんには、見えないのか?
[ほんの少し、形が見えたモヤモヤを指差して
ミナツの顔を見た。
しかしその表情からはやはり見えていないのかと
はうう、と肩を落としてしょげた]
[ぽんぽんとミナツが触れる肩に温もりが広がって
落とした肩をそのままに顔を上げる]
そ…か。
見えねーのか…
オレにも、ぼんやりとしか見えてねーんだけ、ど
[ミナツの顔を見てモヤモヤヘ目を移す。
せめて、もっとはっきりと見えたなら。
もどかしくて、もどかしくて]
そうかも、な…
[母親が側にいるのか、それとも消えたジュンタが…
ミナツにうん、と頷いて、言われるままに外を見た。
降り積もる雪。
また、同じ今日の始まり。
でも、昨日とは違う今日。
時は同じ時間を繰り返すも、そこから先は別の時間]
…かーちゃんじゃ、ない。
[きっと、あれは。
心の中では答えは出ていたが、どう言っていいかわからずに
うん、と頷いた]
[ぽつり呟くミナツの言葉に
鼻の下を人差し指でこすりながら。
うん、と小さく頷くも…]
…!?!?
[ふわりとまたミナツにさらに近づいたモヤモヤに
パッチリ目を丸くした。
何度か瞬きをして、何となく何かを想像して]
オレ、イマリんとこ、行ってみる。
おっさんも、調子悪そうだったし。
[ミナツを見て言うと、外に出ようと玄関へ体を向けた]
[玄関で靴を履いて、追ってくるミナツを少し待った。
玄関の扉を開けば冷たい空気が流れ込んできて]
さみー…っ
[肩をすくめてミナツを振り返った]
イマリもおっさんも、コンビニにいたんだ。
[まだ、いるかどうかはわからないけど。
とりあえずそこへ向かおうと口を開いた]
…あ、あんがと。
[マフラーを巻いてもらって、恥ずかしげに礼を。
ミナツと手をつないでコンビニへむかう足どりは
すこーしだけ急いている気持ちの表れか、早め。
とまれ子どもの足なのでミナツはそう早いと
思わなかったかもしれない]
あったけー。
[マフラーに顔をうずめるようにして。
けれど、それよりも温かかったのは…つないだ掌]
[前方に見慣れたコンビニの明かりが見えてきて]
…あそこだ!
[それを指さして早足で、ミナツを引っ張った]
あっ!おっさん!
[向こうで手を上げるズイハラが見えて
手を振ろうとしたときに、ずる、っと足が滑って。
ぼふっ。
積もり始めた雪に中途半端な人型を描いた]
ってぇー。
[転んじゃうよ!とミナツの忠告も今更のもので。
つないだ手に縋るようにしてむくり起き上がった]
へ、へへっ
[鼻をすすって苦笑いをして。
そのままズイハラの元へミナツを*引っ張っていく*]
お、おう。
[転んだ時に打った膝をすりすりとしながら
ミナツに答えて。
ちょっと待っててといったミナツと向こうにいた
イマリが共に同じ方向へ行くのを見た]
げ。ムカンシン女。
[うへえと肩をすくめて女子学生3人を見てから
ズイハラの方へ駆け寄った]
おっさん、もーヘーキなのか?
[多分、体調のことを言っているらしい。
イマリが喫茶店へというのをが聞こえて]
いくいく。だってさみーし!
[先頭を行ったイマリの後を追って喫茶店へ]
[いらっしゃいませと振り返って言うイマリを
へらへらと笑って見て。とりあえずそこらの椅子に
勢いよく腰を下ろす]
でもさー、店員いねーんじゃ
だれがつくんの?
[足をぶらぶらさせて座ったまま背を伸ばして
厨房の方をのぞきみて]
………げっ。
またでたっっ!
[見えたものに思わずまばたき]
オレ、チョコレートぱっふぇー!
[厨房を見て首をひねりながらも
自分の要求は張り切って口にする。
イタズラだと思ったらしいイマリの言葉に]
イタズラなんかじゃねーって…
[ぶう、と口を尖らせてイマリを見て厨房を指差す]
なんかいんだよ、あっちにー。
もやもやーっとした、何かが。
[もやもやした感じを示したいのか手をくねくねさせて]
さっきも、見たんだ。
ジュンタにーちゃんちで…
[ぷうう。頬を膨らまして反論をする]
[涙目になったイマリを見て
ばつが悪そうに口を尖らせ、周りを見る。
他の人々はどんな表情で自分を見ていただろうか]
で、でもきっと、へーき。
[とりなすように言葉をかけて、
え?っと頓狂な声を上げて首をふる]
誰か今なんか言ったか?
のけもの、とか…
[へへら、苦笑い。
誰も言っていないとしたら、残る可能性は一つ]
わあああ、もやもやが喋った!
[一瞬だけ聞こえた言葉。
けれどじいいと見ても、続く言葉は聞こえない]
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