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[勝手知ったる他人の家。
そんな堂々とした足取りで楼台の中を歩いていく]
誰かいます?
[床と踵がぶつかる高い音が響いている]
[大広間の喧騒も知らずに、二股に分かれる光の道筋に立ち止まる]
魔法というより、お化け屋敷みたいだと思うのは悲しい大人なのかしら。
[右足を振って、靴を脱ぎ飛ばす]
こっち、と。
うわぁ、何この心臓破りみたいな階段。
[ほどなく、ぜぇぜぇはぁはぁ言いだして足取りは重く]
[何羽かのヒヨコが後を着いて来ていることに気付いた。
一緒に水晶に触れていたのだろう]
………。
[しばらく見詰め合う]
あははは、捕まえてごらんなさい〜!
[などと気晴らしをしながら、最上階に辿り着いたのはどれほど時間が経ってからか本人は知らない]
―最上階―
[光が漏れる扉に近づき、ノックを2回]
もしもし亀よ亀さんよ。
お母さんですよ、扉を開けて。
[甲高い裏声]
[>>+5指も触れずに開かれた扉に驚くことはない。
茶の勧めに礼を言って、一気に飲み干す]
ヘイケさん、でしたか。
何事ですかこれは。
[答えが返って来る前に、耳元に飾られたままだった花を抓んでくるりと回転させた]
ここに王子様はいますか?
[>>+8使い魔と言われたヒヨコを見下ろす]
縁日で売り飛ばそうかしら。
……冗談よ。
[つぶらな瞳に逆らえない]
非常に非常に、迷惑なんですけど。
魔法とか。王子様じゃなくてもいいからどうにかしてくれませんか。
[溜め息を吐きながら椅子へと腰掛けた]
夢なら早く覚めて欲しいんですよ。
研修、無断欠席になっちゃう。
それにうち、猫飼ってるんです。
[>>+11ルリの様子に顔を綻ばせた]
『おねえさん』かー!
可愛いね!!
[>>+12ヘイケの説明に、また顔を曇らせて]
自慢じゃないけど、卵の黄身はいつでも二つだし、ヒヨコは勝手にチキンになったりするし、制御なんてどうやるのか皆目見当もつきませんぬ。
[ヘイケが提示した、ミニクロワッサンストラップが付いた携帯電話に、思わずスタンダップ]
あた、あたしの!
あ゛〜っ!?
[挙手して、あたふたと主張する間に函体は消されてしまった]
使い魔……?
[足元を見ると、イースターエッグが一個転がっていた。
更に、テーブルの上には鳥モモ肉が鎮座していたので、八の字眉のへの字唇で涙目になった]
と、取ってこ〜い!
[犬に命じる口調で扉の方を指さすが、ヒヨコは反応せず]
可愛い……。
[ヒヨコを高い高いしているルリに癒されている]
あなたも魔女なの?
[問い掛けてから椅子に腰掛けると、モモ肉が否応なしに目に入る]
ガモンさん。
[何を考えたのかは口にせず]
気が触れそう。
[俯くと涙が零れた。
両手で顔を覆う姿を、一際小さなヒヨコが見上げて首傾げていることには*気付かない*]
[>>+29ルリに撫でられて余計に涙腺が刺激されたところで、ぐぅと鳴るお腹]
あたしも、ちらし寿司、頂いても宜しいでしょうか……。
[厨房で跨がった箒のことを思い出した]
あたしも、空なんて飛べなかったわ。
[一番小さなヒヨコが一羽、よちよちと部屋を出ていったことにも気付かずにいる]
祖母が亡くなったときに。
[手にした烏龍茶を見下ろし語る言葉は穏やかなもの]
遺品の中から私宛の手紙が出て来て、そこにはこう書かれていました。
私が小さな頃に姿を消した母――祖母から見たら一人娘でした――が、今も元気に生きていて、私には母から魔女の血が受け継がれているのだと。
ずっと、祖母の創作だと思っていました。
絵本とか、小説とか、そういう。
けれど、一緒に入っていた白黒写真に写っていた景色は、この塔とあの屋敷と……
[黙り込んで、烏龍茶で*喉を潤した*]
[>>+37ぐるぐる回るルリに目を回す]
魔女じゃないから。
[語気は弱い。
が。>>37を聞き付けて]
誰が野蛮よ誰が!
[>>40にはヤケクソで]
鳥ワールドへようこそ!!
[拾い上げたイースターエッグ]
きーらーきーらーひーかーるー……
[真っ黒に塗られた殻は、所々に白い点がちらばっている]
ここは月ばかりで星が見えないわね。
[窓をちらり。
視線を手元に戻すと、殻の表面に爪を立てた]
まはりくまはりた〜
[形ばかりの呪文は何も起こさない。
地道にこそげ落とした黒い塗料は爪先を汚して、殻には太陽光を受けた猫の瞳孔のように細い白が浮かび上がる]
[>>+43ルリの頭をなでようとしたが、黒の塗料がついた自分の指先に気付いて断念する]
あたしは、空を飛ぶどころか、ここから飛び降りたらあの世に行っちゃうわ。
でーきたっと。
[黒い卵には、元からあった無数の白い細かな粒に混じって、たった一つ少しいびつな真珠大の丸い白が増えていた]
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