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[礼を言って、走り去る少年を見送ると、再び歩き出す。]
100点満点か。俺は殆ど縁がなかったよなぁ。
いっぺんとった時は──
[一人ごちながらの足どりが、不意にゆっくりしたものになった。]
…。
……。
…………。
お前さんの見立ては正しかったねぇ、テンマさんよ。
[空き家探検がばれて、閉め出しを食らった日の遅い夕食。何故かいつになくごちそうが並んでいた。
悪童で、成績もあまり芳しくなかった自分が、偶に学校で誉められたりした時に並んでいたような品々。]
鼠小僧参上!って壁に書いていったようなものだったんだなあ、あの時は。
寄り道しないで真っ直ぐ帰りゃあよかったんだろうが……
[三度動き出した足は、雑貨屋を経て、和菓子屋に向かう。]
すまんが、これ一杯分の漉し餡を分けてもらえるかい?
[店の主に差し出したのは、雑貨屋で買い求めた、かなり大きめなタッパー。]
……。ああ、そうだな。成人病防止に、こいつを食べきるまでは、毎日ジョギングでもしようかね。
[病院のベッドに横たわる相棒。
枕元にはよくドラマで見る心電図が
ピーッ、ピーッと長い間を取って
音を鳴らしている。
レンがそこに駆け込んでくると、
それまで閉じていた病人の目が薄く開いた。
そこで、レンに向かって囁くような声で]
……大丈夫、だったか?
ああ、もうバッチリだったよ!
そんなことより、まずお前が病気直さないと
何にもならないだろうが!
[自分の命よりも番組オーディションの方が
大事だと言わんばかりの態度でいる相棒に
怒鳴りつける。
落ち付いてください、という
医者の注意で我に返って]
[怒鳴りつけられても
相棒は意に介することなく。
いや――既に喋る気力すらない状態だった。
会話ができるのも奇跡的と言えるような]
……よかった。
もう少しだけ待ってくれたら俺も……
いくから。
せっかく、だから……
やろうぜ、新ネタ。
……あのかえるのTシャツ、
捨ててないよな?
[力なく微笑んだ次の瞬間。
心電図の音が変化する。
かける言葉が見つからないレンに
相棒は続けて話す]
……ありがとう。
お前のような相方がいて、俺は、
幸せ『だった』よ。
[それだけ言って目を伏せる。
最後だった。
心電図は一定の音を立てたまま。
体のどこもピクリとも動かず。
そのうち温もりも消えてしまうだろう]
……なんなんだよ。
そっちから誘っておいて。
ネタもろくに書けない癖に。
ひとりじゃ何もできない癖に。
ひとりで勝手に行くんじゃねえよ!!
[罵ろうと怒鳴ろうと、行った彼は戻らない]
[そこで目が覚めた。
何年前のことだったろうかは思い出せないが
確かにそれは――]
これが……?
俺の探してた「思い出」?
[それを受け入れてる自分が不思議だった。
対価の有無を確認するより先に
まずマネージャーに電話をかけた]
[電話に出た女性マネージャーは
コンビ時代からの付き合いだ。
聞けば教えてくれるはずで。
電話に出たマネージャーはいつもの調子で]
「おはよう。
って今日は確か完全オフでしょ?何?」
[一呼吸置いて、昔の相棒の話を切り出す]
……生きてないんだよね?
[マネージャーはその言葉を聞いて
ふ、と息をつく]
「……ようやく受け入れてくれるんだ。
そう、病気でね。
アンタがずっと『あいつはお笑いやめて
実家に帰ったんだ』って真面目な顔して
言ってるのが痛々しくてさ……
あたしは何も言えなかった」
「あたしだって信じたくなかったけど……
現実は変えようがないしね。
せめて墓参りぐらいはしてやんなよ。
寂しがってるよ、きっと。
好物のチロルチョコぐらい持ってさ」
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