情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
……雨。
[降り出した雨に空を仰いだ。晴れた空。強めの雨足は髪を、服を、濡らしていく。ふらりと、立ち上がり]
……行か、なくちゃ。
誰かに、伝えないと……
タカハル君が、誰かを消そうとしてるなら……
止めないと、……
[よろめくように、一歩一歩、通りを進んでいく。遠目にタカハルの姿が見えたなら]
……、……
[反射的に、立ち止まって]
……てるてるぼーず、てるぼーず。
[小さく紡ぐ、歌]
あーした天気にしておくれ……っと。
[ふと、止まる歩み。
目に入るのは、立ち尽くすようにも見える、セイジの姿]
―駐在所―
うっわー……
[降り出した雨。露骨に顔を顰めた。
座る椅子がギッと音を立てる]
勘弁してくれよ、ほんと。
明日から仕事あんのに帰れんのかな俺。
[雨音の合間に鳴り出した黒電話を、どうしたものかという顔で見ている]
…っ
[「着替えたらこれをお前に返しに行くと言っていた」――
渡されるのは、丁寧に畳まれた見覚えあるサマーセーター。
探すのを手伝ってくれと男へ声をかけ、キクコの父親は去る。
移民の男は、ふる、と一度身を戦慄かせて…ひとりつぶやく。]
きこえん 、 っ…
まだ 、 聴こえん …
[キクコの「声」は。然し、目覚める直前に聞いた気がした
件の悲鳴は、彼女のものではなかったか。男は耳を澄ませる。]
――… ( さやさや )( さやさや )
[タカハルが、此方を向いた。そして――笑う。くすりと。楽しい、とでも、言いそうに]
……タカハル君、……
[一瞬、凍るような寒気に襲われた。治まりかけた頭痛が蘇る。疑え。疑え。疑え。頭の中に声が響く。疑え]
……ね、え。
タカハル君……だよ、ね? ……
[此方から近付く事はできずに。掠れた声で問う]
[話し声。生きている村人の其れ、そうでない村人の其れ。
足元へ跳ねる勢いの雨音。村内放送のOver the rainbow…
降りしきる雨に、傘を持たぬ男はたちまちずぶ濡れになる。
握り締めたサマーセーターからも、すぐに雫が滴り落ちる。
雨宿りをする村人たちが、移民の男を訝しげに見ている。
…やがて、男の耳へ異変がきこえるのは]
…、? っ…
[ ぶぶ ぶ ]
[積んだトランク――巣箱で白い熊ン蜂が騒ぎ出すのと同時。]
ボタンの 婆っばん…っ
[セイジの問いかけに、一つ、瞬く]
……そーだよ?
[問いの肯定は、呆気ない]
オレがオレじゃなかったら、何だっての、セイちゃん?
[声に乗る響きは、たのしげなもの]
あー、おはようございます。
お巡りさんは留守ですよー?
ピーという発信音の後に――
[止まない呼び出し音に観念して受話器を上げた]
え、キクコちゃんが?
……だって……変、だよ。
なんで、そんなに楽しそう、なの?
皆、まだ見つかってないんだよね……?
[リコーダーを握り締める手も、雨で、滲む汗で、濡れていた。雨が体温を奪っていく。ただ、頭と胸の辺りだけが熱く感じられ]
……ねえ。タカハル君は……知ってる、の?
皆が、どこに行ったか……
何が、起こってるのか……
知ってる、んでしょう……?
[問い掛けの最後は、確認に近い調子だった]
[確かめるような、言葉。
『ああ、バレたか』
始まりからずっと、心の奥で笑っていたナニかが呟く。
もっとも、それと少年の境界線は、とっくに曖昧になっているのだけれど]
……知ってる、って言ったら?
ガム兄みたいに、駐在所にいけっていうん?
[くすり、笑う。回る、傘。ゆれる、てるてる]
[問いに否定は返らない。回る傘が、揺れるてるてる坊主が、雨の中で舞う蜻蛉のように見えた。
にじり寄るようにゆっくりと、タカハルの方に近付いていく。距離が縮む程に頭痛も声も酷くなるようだった。それでもなんとか、気を失わないようにして]
……駐在所に、行けなんて……言わない。
きっと、行っても、意味がないから。
タカハル君が知ってるなら……
……、皆を消した、犯人なら。
[少しの躊躇いの後にそう言い直し]
……皆を、消さないでって……
戻せるものなら、戻してって……
そう、頼むよ。
僕なら、消していいから……って。
他の国はどうだかしらねーが、日本では雨降ったら傘さすの!
[車を止めて雨の中出て行く。
荷台から取り出したコウモリ傘をヌイへと投げつけた]
……みえねーの?
[車に戻ろうとしたが、振り向いてヌイに聞いた]
[ゆっくりと近づきながら言い募るセイジの言葉に、掠めるのは苦笑い。
それは、『少年』の浮かべていたもの]
……セイちゃんはお人よしだよなぁ、ほんと。
けど。
[言葉が途切れるのと同時、表情は失せる]
……まだ、『還せ』ない。
足りないんだよ。
もっと、もっと、雨が降らなきゃ……『堰』はこえらんない。
……だから……セイちゃん。
ジャマ、すんな?
[そして声は一つとなり、笑みはたのしげなものへと変わり。
くるり、踵を返すや否や。
雨の奥へと*走り出す*]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了