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[躓いた拍子に生贄の少女の手首は何処かへ行ったようだ。辺りを探れば、見つかるかもしれないが―――。]
う…ん……―――…、
[ボトルキャップから滑らかに首を滑り、ボディへ。
ボディに貼られた浮き彫りラベル、刻印、―――2012。
銘柄は書かれているが、男の記憶にはない名前だ。]
に、ぜろ、いち、に。
[全てが変わった年の刻印。]
2012年。
[実験体の記憶の中にない単語と匂いに、湧き上がるものの不思議さに、戸惑う。其れに名前をつけるならば、何が相応しいだろうか。]
[…――――月はなく、翳るだけ。
濃い闇の気配、法嫌う者>>2:32の気配。
ぐるり首を廻らせて、ぎゅうと酒瓶を更に抱きしめる。]
[自らの身体の輪郭を内側からなぞり、意識を四方八方へ向ける。チリ…、耳飾りが乾いた音を立てた。]
[遠くから近づく羽ばたきの音。
ゆらり落とした手を、人差し指と中指が糸で吊られたかのように持ち上げれば、緩い渦巻き、硝子片と金属片、そして砂塵が、ぎちぎちと隙間なく組み合わさる音を立てながら、弓のような槍を形作る。弧を描く部分が片刃となる形状だ。]
[ドスリ、と地面に槍を突き刺す。]
[振り向けば迫り来る螺旋の矢。
黄金の光を周囲に放ち、流星の様に墜つる。]
[その残酷な程に美しい光こそ見えはしないが、
槍のもう片方先端近くを掴み、逆袈裟懸けをもって、矢を切り裂こうとした。]
[地面から槍が抜け、砂が周囲に弧を描く。]
光の圧、
[灼熱を受け止めるような光のエネルギーと衝撃。
弾かれた光と矢が、周囲に飛び散る。
逡巡は赦されず。
酒瓶を放り出し、両手をそれぞれ長い柄にあたる部分へ添えながら、腰を落とす。]
…―――憶えているよ、レーメフト。
[砂塵が舞う中、
首を傾げた姿勢で音の出所を意識する。]
俺がお前の『炉』を起こし、
[ぐぐっと槍を後方へ。
そして助走、跳躍、『一閃』。
より後方に位置する柄先端から弧を描いた片刃部分の接合部が外れ、柄+型刃部分の薙刀状に長さが延びる。]
お前が俺の―――…
[その先の音は、聞こえず。]
[空中に投げ出す音。]
………2012年…
[ぽつり。
呟きと共に、有翼人との距離は見る見る開いてゆく。
地面に砂塵と共に落ちた男の周囲に、芥子の種のように小さな血の雨粒がぽたぽたと降った。]
[薙刀状のそれを元の形に戻す。]
…――――……
[空中に投げ出した音に有翼人は反応しただろうか。
放り出した酒瓶を再度抱き寄せると、四辻を後に瓦礫に身を寄せながらその場を去り始める。
明瞭な意識は容を崩し影を潜め、無意識が意識を凌駕する。**]
― 四辻よりの移動 ―
―――……、
[ドスリと突き刺した槍を軸に身を回転させる/飛来した光の矢が瞬時に傍らを過ぎ去り髪先をちりぢりに焦がす。]
熱い、けど、
柔らかい。
[身の回転と同じく、角度を変えて槍をぐるんと回転させる。<斜め45度に向けた切っ先は、もう一つ飛来した光の矢の切っ先に触れていた。
幾らの矢を用意しているか等は無論察せない。ただただ、向かってくる「線」へ向けて角度をつけてやる。]
ちらせない、けど、ふれやすい。
[ぞくりとした切っ先を感じ、槍と身体との間を開ければ、先に有翼人に傷つけた場所>>36を過ぎる矢。
動かなければ、確実に心臓から背中を射抜いていただろう。]
[腹部に手をやるでもなく、酒瓶を抱え、槍を引き摺りながら、次は崩れかけた建物を通り抜け別の通りへ蹌踉めきながら向かおうとする。
腹部の傷は、やがて血が滲む程度に。**]
[砂塵の街の鳴動。
―――…其れは何時から生まれたのか。
神へ生贄を捧げようとしていた夕刻よりも、ざわつく大気。狂想ではなく、滲む恐怖に彩られた狂騒。
一つの狂信に支えられた教団に比べ、種々な想い渦巻く代わりに根底にあるのは共通した意識。砂塵の街への帰属意識より来たる感情。自らの棲家を護るという結託感。]
…――――……、
[有翼人の矢から逃れ、ベルンハードの元へ戻ろうとしていた男は廃墟の中で身動きせず、少しずつ変わり始めた街の気配を全身で感じようとする。]
[今は未だ大きなうねりではない。
だが時を置けば、街を呑み込むうねりとなるだろうか。]
[正気ある者をも駆り出すには、
何も狂気に堕とさずとも良い。
その良心や不安を煽り刺激してやれば良いだけだ。
其れだけで羊の群れすら地を踏み鳴らす暴徒と化す。
隣人との緩やかな繋がりが、見えぬ大海へ漕ぎ出だす羅針盤となる。喩え星が見えずとも。]
[最初に浮かんだのは、身を潜めやり過ごす事。
だが、真実はどう在れ、ベルンハードを「完成品」だと感じていた。その為に、動かぬ思考の中で緩やかな逡巡をしている。]
……―――……、
[身体に凭れ掛けさせながら、弓型のような槍を持ち、その上でもう片方の手で拳を作ると、ぐぅっと開くようにする。
槍はばらばらに解け、砂塵は零れ落ち、硝子や金属片は渦巻くように漂う。
ゆら、ゆら、と指先を上下させ、
この先如何するか定まらぬ侭、瓦礫に背を預け、]
[もう片方の手で、
抱き寄せていた酒瓶の表面をなぞった。
――――2012
有翼人にぽつり投げかけた時>>37>>65の気配の変化。その変化に引っ掛かりを憶えながらも、行動への還元は思い浮かばず。]
……―――…、…行か、なきゃ……。
[心地良い路に潜り込むナイトウォーカー《みみず》のように、ベルンハードと別れた場所へと向かい始めた。*]
[周囲の気配を探り、ビル廃墟や瓦礫伝いに移動したとしても、何時まで見つからずにゆけただろうか。其れでも、屋上庭園が在ったビルには幾らか近づけただろう。
―――…庭園からはらはら落ちる、合歓の花は見えねど、甘酸っぱい匂いが乾いた街を癒すように微かに漂っていた。]
[されども、空気は撓み、熱い。
完全燃焼より脱したとて周囲は暖められて。]
う…、ぁ……、あ?
[酒瓶が滑り落ち、瓦礫の合間に転がり込む。頭を両手で抱え込めば、無骨で捻れた花びらとして纏っていた硝子片や金属片の欠片も、小さな音を立てて落ちる。]
――――…ど…し、て………
………っ、……、縄、は?
[ガリ、と首の縄痕や先に軽業師に傷つけられた傷痕を引っ掻くように、頚を触る。それを聞き咎める者は居るだろうか?]
―――……っ……!
[絶叫に弾かれたように顔をあげた。周囲の瓦礫に手を付きながら、音と匂いと熱の源へ向かう。]
[上昇気流に煽られてか、花は真っ直ぐに舞い降りては来ない。ゆるゆると遠くへ漂い舞う。]
……―――――――――――…、
[大きな熱と……もう一つ。膨らみ熱を内包するもの。
ベルンハードへ向かって、手をさし伸ばす。]
……………。
[内側の犬歯をなぞり、]
[既視感。見えないけれど、同じ事があったような。
人差し指を向けた先が、うろ、とベルンハードの腹部を彷徨う。]
縄。
俺の縄がないんだ。
(だめ、だよ。)
(じっけんは、だめ。)
(しんじゃう。)
(やめようよ。)
[人差し指をゆると上げながら、手首を捻る。
掌を上に向けると、]
そうだった、あの時も――――…、
俺は、こうして、
[ぐっと、拳を――――]
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