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[柔い電子音にはっとして、チカノに再度荷物を降ろすよう提案しようかと思案する間に扉は開く。
……――――――みえたものは。]
……、………?
[操作を無視して閉じる空間。
"ソレ"がなんなのか、認識したのは数拍の間を置いて。]
[呼吸は長くも浅く、みたものを認識しながらも脳は拒否して。]
――ねぇ、
アンちゃん、どこ?
[つい今し方まで、扉が開くその時までいたはずの人は]
[聞こえた声は前方からだったような気がする。
そもそも、幻聴なのかもしれない。]
……………………くび、ってこと ?
はは、
……わらえない、ジョークだ、ね。
[絞り出した声は、誰にともなく落ちる。
言葉に反して、顔は青ざめた*まま*]
[あまりの非現実的な光景に、錘が先程のフロアに放り出されたことなど頭に入っておらず、やがて狭い箱の中、壁に背を預けるようにずるずると座り込んだ。]
……追い出されて、くび?
……追い出さなかったから、くび?
[少なくとも、誰もが誰も追い出さなかった。
強いて言うなら自分とサヨが錘を追い出そうとした程度。]
―――ひとり、
[廻る思考はあれど、声になったのは、そこだけ。
それがどういう意図で落とされたのかを汲み取るには、あまりに抑揚の無い小さな声。]
[座り込み低くなった視界。視線は上げも下げもせず、次の停止フロアで起こりうる現象を思う。]
追い出す、は……身代わりとか生け贄、って
ことなのかと考えてみたんだけど……
[躊躇うような、少しの沈黙の後、小さく添えたのは]
もしかして、"正解"を選んだら、助かるのかな……
["ひとり"であることの意味。
"不正解"を選んだらどうなるのか、までは思考が無意識に逃げてしまい言及はせずに。]
[膝を抱き、視線を落として床を見つめながら]
怪談話や怖い噂って、だいたいは
助かる方法、あるよね……そんな感じでさ。
[怪談話、と自分で口にしながら背筋がぞくりと凍る。
助かる方法がない話もあるが、縋るにはそこしかなく。
少なくとも、何もしなければ希望はないのだろう。]
……わかんないけど。
[そしてまた少しの*沈黙*]
[生きていた――サヨの言葉に、聴こえた声を思い出す。
アレは確かに、アンの声だった。]
……悲鳴でも、何でもなかった。
[おしゃべりしながら、誰かが突拍子もないことを言い出したりなんかした時に思わずあげてしまうような日常の1コマ。]
私たちには、 くび、しか見えなかったけど
[だから、異常な状況であり、死を意識したけど。]
アンは、そのままの私たちを見上げていた。
でも……首しかないのに、
そんなことってありえる、のかな。
[手足も何も無い首だけの状態で。
普段と変わらぬ友人達を低い位置から突如として見上げる。]
…――、 扉、しまったあと、どうなったんだろ。
[想像したところで、こわい、という感情は消えない。
そうこう言う間にも、箱は次の階へと近づいている。]
[ナオに笑えない冗談を告げるチカノ、それを見たマシロが"追い出す"ことをにおわせたり、サヨが人間らしいとチカノのおさげをぺしぺしとしている姿を見ながら、考える。]
……困る?
サヨちゃんは、違う?
[そんな中で、嫌だ、ではなく、困る、と言ったチカノを見上げてしぱしぱと瞬く。]
[自分は違う、と告げることは誰でもできる。
サヨのことも違う、というのは?]
勘、ってやつ?
経験則、らしいからばかには出来ないけど……
[サヨをじ、と見つめてから、差し出された手をとる。
じわり、体温を感じたら今より少しは安心できるようで。]
――時間、ないね。
[サヨに支えられ立ち上がり、くらい面持ちのままつぶやくと、自身の視線はマシロとナオを往復する。
都合のいいときだけ鵜呑みにして選択の幅を減らそうとするのは卑怯*だろうか*]
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