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[井川は、わたしの二番目の苗字でした。
けれど、今は、三番目の苗字です。
今の二番目の苗字は、かみさまとおんなじ。]
[ひろくんも、傷のにいさまも、みんな、みんな、最初からそうだったと思っています。
けれど、わたしは知っています。
それは、わたしが願ったからそうなったのだと。]
[棺に入れられたわたしは、真っ白なウェディングドレスを着ていました
綺麗にお化粧をされています。
馬子にも衣装だな、なんてかみさまが言って笑うので、わたしはむくれて隣のかみさまを軽くこづきました]
[かみさまは、お通夜は逆なんだと、そう言っていました
死んだ後には話せないのだから、話す事があるなら死ぬ前にするべきだ、って。
けれど、わたしは違うと思います
お通夜は、遺された人たちの為にするものなのです。
生きている人たちが、これからも生きていけるように、死んだ人を忘れないように、そうするためのものが、お通夜なのだとわたしは思うのです。]
[いつか、ひろくんやみんながこっちに来たら、また、一緒に仲良くしてね。
それまで、かみさまと一緒に、待ってるからね。
わたしは、かみさまと同じお墓に入れてもらったのでした。*]
―回想・屋上―
ゾウサク
ゾウサク、おじさま
[わたしはおじさまの名前、ゾウサクと言うのだそうです、それを繰り返し呟きました
これで、この人のこともかかえていけます]
「いい病院だねェ、此処は」
[わたしはその言葉に頷きました
ここには、優しい人がたくさんいます
ここで、かかえていきたいと思う人がたくさん増えました
いいところだと、思います]
[空を見上げます
青くて綺麗な空、悠々と飛ぶ鳥、輪郭の淡い雲
夜ではないけど、丸い月が浮かんでいます]
わたし、そろそろ戻ります。
おじさまのお母さま、良くなると、いいですね。
[わたしには、母さまはいません
父さまだってそうです
いたけど、いないのです
だから、よくわからないけれど、
でも、おじさまのお母さまが良くなればいいと、そう思います
わたしは、おじさまに向かってにこりと笑い、そう言いました
そうして、部屋へ戻りました
支度をしなくっちゃ。*]
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