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昔の四辻村はね、
漆(うるし)がよく採れたんだって
[幽霊はズイハラ氏が投げて寄越した携帯電話を
ぱく、ぱくと開いては閉じを手の中で繰り返す。]
ジャム蕎麦とか ジャム煎餅ってあるだろ
…アレは
職人さんが漆を舐める 通過儀礼の名残り
漆(うるし)はさ、
燃やした煙を吸っただけでも
木の近くを通っただけでも ひどく体に障るから
四辻村では 御湯治場の神さまに祟られることを
「うるしさまにかぶれる」って
そう言うようになったんだって
[電話をかける声は、土蔵で聞いたことがあるが
現物の扱いなど知らず――当て所なく語りかける]
こんな言い伝えも 知ってる人たちは
みんな死んで おばけになっちゃった
[見ぃつけた、の声はかけず。
少年の幽霊は倒れ伏す美津保嬢のそばに在る。
弾痕を一度摩る仕草をして、立ち上がった。]
…教えてくれるなら、子守唄がいい
[トリスウイスキーの瓶にも似た生き物の影が、
草むらに蠢いて去る頃には、幽霊の姿も消える*]
それでも、
おばさんが燃やしてくれなかったら
[何処にも存在しないと嘯くヘイケ女史の傍を、
彼女の目には見えない幽霊がすうと通り過ぎて]
からっぽの俺もうるしさまに捧げられて
かぶれていたよ
[宙空へ翅根屍人浮かぶ、御湯治場へ姿を現す。]
あんなふうに
[ズイハラ氏が投げたラジオの転がった先。
大音量にかき消されるはずの声が、ひそり]
『 俺に任せて 』って言った
あれは 嘘なの?
[――乃木 梧郎氏の名残りへ*問いかけた*]
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