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― テントへ向かう途中 ―
[紅いオーロラの舞う夜空の下、一人の男が歩いていた。この状況では不相応とも言えるかもしれない、真紅のコートの裾が揺れる。線が細い長身の男は、ゆらゆらと、風に吹かれる旗のように、一見おぼつかないような、独特の歩き方をしていて]
……。
[前方に見えてくる一つのテントに、下がりがちな眉を、更に下げた。村と他の村とでの、また村の中での各種伝達を任とする男は、今回の異変にあたって挙げられた容疑者達に、呼び出しの件を伝えてきたところだった。
とはいえ、伝達を聞かずに向かった者もいたかもしれないが]
……嗚呼。
[――男自身もまた、容疑者の一人だった]
紅いオーロラ。紅いオーロラ、だ。
不吉な。凶兆は現れたり。
狼の群れに囲まれて。嗚呼。
これが目論まれたものであると言うのならば。
[芝居のようでも、詩のようでもある呟き。
共に吐かれた息が白く昇り、消え]
長老は仰った。
集まれ、探せ、でなければ。
でなければ……
悲しきかな。
終焉は。猶予もなく、耳元へ。……
粛正は望まれるだろう。
いわんや、談合をや。
……行かなければ。
[遠く聞こえる狼の遠吠え。テントまでは、もう少しばかりある。ゆらりと、*向かっていき*]
[そのうちに、任を終えた使者の男も、長老のテントに辿り着いた。す、と中へ入り込み、集まってきている面々を見やった後]
……アルマウェル、戻りました。
[そう告げてから、奥に進み、長老の近くに腰を下ろした]
……
[常から思わしげに映る瞳は、静かに周囲の様子を眺め]
[ヘイノが入ってくるのにも、軽く礼をして]
……幕は開かれるか。
兆こそが、幕となりしか。
ならば、見据えん。
……恐れるべきかな。
[炎の揺らめきを見ながら、独りごちた]
恐れるべきかな。
恐れるからこそ。
求められるは、方策なり。
[レイヨの方を見て、返す。自身の心情は乗せない肯定。次に、トゥーリッキを見]
伝えるべきだ。
しかし、伝えんと言うのならば……
抱かなければならない。
抱かれ、抱かなければ。
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