[三時。携帯を確認すると、そこにはヨシアキが――デフォルトのまま投票していた彼が――処刑された事。他にもたくさんの死者が出ている事。
屋上に箱が降ってくるという事が書かれていた]
屋上、行ってみる?
[どうする? なんて、デイパックを背負い立ち上がりながらギンスイに聞いて。ギンスイが背を向けるか、そうでなくても少し油断をした、その瞬間に。
さっと、彼の背に銃口を向け――]
……
[弾を撃ち出そうとしたところで。標的の首輪が、爆発した。刹那、驚きの色が表情に浮かび、すぐに消えて]
……処刑、じゃないよね。
説明書にあった……「襲撃」?
[それから改めて携帯を確認する。因縁システムの設定をしたところに、代わりに文字が書かれていた]
アキラ……と、ナオ。
つまり、ナオも死んでるか……
これから死ぬか、って事かな。
……勝利条件が自分の生存でよかった。
[ふう、と息を吐き]
[それから少々時間が経って。もうナオも死んだだろうか、などとぼんやり考えながら、眠いなあ、と、うとうと思いながら、森の中を歩いていた。
突然、傍の茂みががさりと揺れ]
!
[飛び出してきた人影に、はっとしてサブマシンガンを向け、素早く弾を撃った。銃を使った事なんてないから、反動に耐えるのが精一杯で。
無茶苦茶に20発全部を撃ち出した]
[パラララララララ――響く連射音。
硝煙の臭いというのか、鳴れない臭いがして。それより強く、鉄のような臭いがして。頬や髪や制服の一部に、ぴしゃりと生暖かいものがかかった]
……。
[腕をゆらりと降ろし、後ろ向きに倒れた人影を見下ろす。血にまみれたその姿には見覚えがあった]
セイジ。……酷いな、不意打ちだなんて。
[右手に握られたサバイバルナイフに、やれやれ、と]
[サブマシンガンに弾を詰め直そうかとしたところで、放送が聞こえた。
『おめでとう、たった一人の勝者ですよ』
その内容に、首を傾げ]
勝者? 僕が?
[疑問に応えるように送られてきたメールを読む。そこにはセイジが死んだ事で生存者が三人になった事。この時点で「狼」と紫が残っているため、紫の勝利条件が達成されるのだという事。
禁止エリア諸々が解除されたので、スタート地点の廃校に戻ってくるように、という事が書かれていた]
[廃校に戻り、教室に入ると拍手で迎えられた。君が唯一の勝利者、優勝者であり生存者だ、などと言われたので、やはり残った二人も死んだのだろう、と思った。
その後、総統直筆だという色紙を渡され、祝いの言葉と共に、「無期限の生活保障の代わりに他県へ移り、プログラムについては他言せずいるように」という旨を伝えられた。同意するかと確認する声に]
……別に、そんなのはいいよ。
同意するから……
とりあえず、終わったなら、寝てもいい?
[サブマシンガンを持ち、体に血を付着させた少年は、眠たげな顔と声で、そう*問いかけた*]