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それから、もう一つ。気付けなかった事……。
[時折、唇を隠すようにして、込み上げるものに耐え]
今なら、判るんだ。
もう誤魔化したく、ないから…。
心配かけたくないから。
聞いて、くれる?
[どこか恐る恐るの問いかけは、目を伏せて呟くように。]
[何時もそう、苦しいのは彼の方なのに、自分が泣いて、謝って。
きっと、目の前の優しい人は、その様子を見れば気にして、余計に辛くさせてしまう。
だから、我慢しなくちゃ。
そう言い聞かせて、頷くだけ。]
小さな花瓶、お母さんにねだって、お部屋に飾って眺めてたんだ。
あの頃は、その嬉しさが…何なのかよくわからなくて。
でも、今なら判る。
[そう口にした時、何処かから響いたのは柱時計の音?
空が金と銀に輝いて、全てを照らす中、彼にふわり微笑んで]
―― 私 あの日
初恋 しました ――
[連絡先の話に至れば、はっとしたように]
あ!そう、だね。
此処に居たの… どれ位の時間、なんだろう。
なんだか、ずっと此処にいたような気が、する。
[藤の根元に置いた鞄から、手帳を取り出し、ペンを走らせる。
少し手は震えたけれど、全てを書き終えればそっと差し出して]
うん。約束!
大丈夫、信じてるもん。
それに、ほら、この樹も…信じるって!
[そう言って指差したのは、八重藤の枝の上、小さな小さな若緑]
[不可思議な事に振り回されて、大変な一日だったけれど…]
わ…。進矢くん、すごいカメラ。
すごい記念に、なっちゃう、ね。
[幻想的な薄紫を見回して、くすと笑った。
彼の呼びかけに皆集まっただろうか。
もし撮影されることになったなら、しっかりと彼の隣で笑顔を浮かべたことだろう**]
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