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私に?
[最初に読んでほしいと言われて。
いいのだろうか、と封筒に落としていた顔を上げて。
続けられた言葉に、とくん、とひとつ、心が跳ねた。]
……ありがとう、読んでみるね。
[応えてそっと、封筒を受け取る。
自分のことを思いながら、の意味は読んでみないとわからない。
わからないのに、その言葉に心臓が勝手に反応するから恥ずかしくて。
少しの間、俯いて彼の顔を見ることが出来なかった。]
[その物語は、私の好きなハッピーエンドのファンタジー。
あの雪の世界で起きた、不思議な出来ごとをモチーフにした、王道の冒険譚。
読み終わった後、彼から、幼馴染と結ばれる主人公は彼で、相手は私だと聞いた。
『虹の鍵と青空の螺子』というその物語は今も、当時、家の本棚に唯一あった『雪の花と氷の剣』の隣に大切に並べてられいる。**]
…そろそろ、かな。
[部屋にスズランを飾りながら、小さく微笑む。
あれ以来、冬木は殆ど毎日と言ってもいいくらいの頻度で、顔を見せに来てくれている。
もうすっかり風邪も治って元気になったのに、休んでてって、作ってくれるご飯はどれも、とても美味しくて。
改めて、部屋を見回す。
新築ではない1DKのアパート。
一般的な女性の部屋と比べると、かなり質素で、だから散らかっていた訳ではないけれど、今にして思えばやっぱり、綺麗に掃除した状態の部屋を見て欲しかったなって思う。]
[病室で彼から渡された物語のヒロインと現実は全然違う。
モデルは私だと言われて、確かに所々、設定とか特徴は似ていると思ったけれど、正直かなり美化されているように思った。
でも、「美化し過ぎだよ。」って笑ったら、真剣に否定されて。
自分が主人公なことは、柄じゃないなんて言う癖に。
紅い顔で、そんな風に言われて、どう対応していいかわからなくなって、あの時はお互い黙り込んでしまって。]
もう、いい大人なのに。
[思い出して、また笑う。
彼の目を通した見た私は、私が考えていた私と全然違うのかもしれない。
同じように、私が見た彼も。
そして、それは悪い事じゃなくて。
少しずつこうやって、お互いを知っていって。
いつか本当にあの物語のように───。]
[インターホンがなる。
スリッパを鳴らして駆けて、ガチャリとドアを開ける。
立って居る彼を見上げて、いつものように。
私はふわりと笑いかけた。]
*いらっしゃい。*
-後日:喫茶店-
……管理本部、ですか?
[営業担当に問う。
契約終了の予定で進んでいた仕事に、ストップが掛かったと言う。
聞けば、現部署である財務経理部のひとつ上の部署が、引き抜きたいと申し出ているらしい。
どうですか、と意思を確認されるのは、担当が現部署であったことを知っているから。
今回の契約終了は表向きは業務減少による人手過多であったが、本当は私が上司の不興を買ったことにある。
具体的には、たび重なる食事の誘いを断り続けた結果。
そして、こういう会社は法律がどうであれ、未だに多い。]
…少し、考えさせて下さい。
[応えて、席を立つ。
次が決まっていないのだから、首を縦に振って、続ければいいとは思う。
ビジネスライクに。
けれど、このまま、気持ちの無いままでは駄目な気がして。
どこかに、本当に必要として信頼してくれる、信頼出来る、そんな場所があるような気がして。
そんな"甘い"考え、ずっと、しないよう生きてきたけれど。]
……ええ、今、流れてる曲。
綺麗だなって。
[買った花を受け取りながら、駅を見遣る。
通りかかった宝くじ売り場は行列だった。**」
-後日談おまけ:駅前-
…あ、この歌、結人くんだったんだ。
[冬木に連れて来られた路上ライブ。
人だかりの中央に居る結人を見て、呟く。]
こんにちは。
ううん、私も凄く素敵な歌だと思ったよ。
[ライブが終わり、掃けて行く人々の中、結人に話しかけた冬木の後を追うように、同意を示す。
その後、冬木が結人に依頼していることは仕事のことなので、口を挟まず。
二人からライブに誘われれば、勿論、と応えて、微笑んだ。*]
-後日談おまけ2:宝くじ売り場-
…時給□□□□円…
[くじを買う冬木の隣、求人募集の張り紙を眺める。
個人的にこの手の夢に手を出さないのは職業柄というか、そんな余裕はないから、というのも大きい。]
…100枚?
[隣で、聞こえた声に振りかえる。
乙葉はあの街で見たまま、特に変わってないように思えた。]
大丈夫だった?
[50枚で許して?もらったらしい冬木に苦笑する。]
私も、1枚だけ、買ってみようかな。
乙葉さん、1枚だけでも買える?
[尋ねて、鞄から財布を取り出した。*]
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