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[外の騒がしい空気に瞼は揺れます。
脳裏隙間から見える赤いオーロラは、記憶が持つ色とかけ離れ。不吉といわれようと、それを美しいと思う瞳はここにあり]
吉兆があれば凶兆もございましょうね。
何を不思議がることありましょう。
[目には赤、耳には人ならざる獣の鳴き声。目覚めた胸裏ににじむものは常と変らず。大義そうに体を起こすと、向かうべき処へ足は迷わず。テントに集う者たちに遅参を詫び、一通りの語りを耳にすると]
私には…あるべきものが浮かぶだけですのに。それなら動物達は私たちがいるから
いつも凶事にさらされておりますね。
[静かに目を閉じる。交わされる会話に言葉をはさむこともなく]
いいえ。不吉を望むものではございませんもの。私はまだこちらに入れて頂いたばかりの新参者。長老様が望まれるように。私は御意に従います。
[この村に住み着いたのは少なくとも比較的遅い時期。このような重い会議で強く意見を述ぶる程の立場でもないでしょう。周囲の不安を否定するかの如くは疑問を持つ者もいたことでしょうが、ふぅ、と一息]
ドロテア様。何の業無きといえども御身はお健やかなこと。供犠はよい結果を導ければよろしいですわね。お力になれずに申し訳ありませんが。
[しゃらん。髪飾りが音を立てる。小さく頭を下げ、僅かに開いた伏し目がちな目を周囲に向けまた静かに*]
どうぞ。お続けになって。
[静かに目を伏せ声という名の音をききます
狼の遠吠えと彼等の声、何が違うのかと過ぎる自問]
…お話は…理解いたしました。宜しく事が運びますよう。 何かことあれば、また。
[静かに下げる頭と静かに鳴る髪飾り。伏し目が見開かれることはなく。常から想う事も拓かれず]
[テントの外で一人言]
人は人で、在る様に在ればよいのにね。きっと狼達もそうあるだけなのだもの。こう想う私はおかしいのでしょうか。
でもどうか、大事となりませんよう祈るのみですわ。ドロテア様も、お望みになられるまま──
[言葉に滲むものを読み取る人は誰も居らず。ただ足元に残る足跡だけが、軌跡を刻むのみ]
あぁ、何方か…。
[私を諫めてくださらぬか、と。どうやらまだここには馴染めぬ様]
お疲れ様です。突然の失礼にお詫びを。
このような空に、つい。
特に用などございませんのでしたけど。
皆様がドロテア様をとてもお気遣いされて、少し心配にもなりました。
私も気にかけなければなりませんかしら。
[伏し目がちな目はしっとりと帽子の男を見やりつつ]
妙なことを、申し訳ありません…
お気に障られたらお詫びしますわ
[気遣わねば、悼まねば。あぁ疑われてしまうのでしょうか、とは言にせず]
新参者故良案も、供犠にどのように接すればも、わからぬのでございます。
あぁ、そうしたほうがよろしいのならしますわ。
[空虚な祈りでも、それで疑われぬのなら]
貴男は今もお悲しそう。ごめんなさいませ。
[無力だから供犠となるのではないのかしら。
それを悲しむのならなぜ身代わりとならぬのか]
…さようで。
狼を神の使いと信仰した時期もございました故に
どうにも狼の声は心地よいとしか。
やはり申し訳ないのですわ。
信じられるものもなければお一人で考えられていたほうが楽ではございません?
たとえば…私が貴方方をそそのかしている、とか。
[二人へ向ける伏し目がちの目から感情は読み取れぬ。淡々と紡ぐ声に偽りはにじまずとも]
違うようですが…郷に入れば郷に従え、今は疎ましい存在としております。ご心配なさらないで。
[笑う帽子に、表情は変えずとも]
今の様に笑っていただけたのなら、信仰を変えた甲斐があったというものですわ。
私は在るべき理由に抗うことなく生きとうございますが…今はせめて、ビャルネ様やラウリ様がお健やかに休めることを祈りますわ。
あぁ、ビャルネ様はつまらないことでお時間をとらせてしまいました。申し訳ございません。
どうやら私は…まだ皆様を信用出来るほど、こちらに馴染めておらぬようですわね。よくして頂いているのに、申し訳ないことです。
[閉じられた瞼の奥に宿る瞳は何色か]
しかし…仕方ないで済ませられるとは殿方とは随分悲観主義でいらっしゃる。どうかあまりお情けないことは仰らないで。
[緩やかな言葉の影にちくりととげを一つ。
ビャルネの言葉にはただ頭を下げ]
ありがたく…。お茶などご馳走になりますわ。
[そのまま、さらりと髪を靡かせると、ラウリにも会釈だけをしきびすを返す*]
[雪を手に。解けるそれをぎゅぅと握り締めて想うことは]
……。どうしろと、おっしゃるのかしらね。私にはとんと理解及ばぬ出来事よ。
より生きたいと想う者が生きるだけではありませぬか。
ドロテア様はそうお思いではなかっただけ。
気遣う必要がどうしておありに?
本当に難しいこと。わからない…。
[ぼんやり、オーロラを眺め、たいまつを眺め。口にあがる言葉は聞きとがめられぬように呟いたつもり]
[ドロテアの表情はどうでしたでしょうか。この目では見えません。伏し目がちの瞳は、見えるものを見ぬようにする為かどうかは知らぬこと]
……。私、おかしいのかしら?
赤い空も、こんなに綺麗。私なら、歓迎だわ。
[痴れ者のようにとぼけた言葉、今度は風にも流れましょう。ふと視界の先にトナカイを見、そのまま赤い空をうっとりと眺めやりながら]
あら。ごきげんよう…かしら?
貴男も悼まれるお方?
[唐突な声かけには流石に目も僅か見開きます]
赤は、好きですの。長老様は赤は凶兆とかおっしゃいますが。
綺麗という言葉に罪はありませんでしょ。
まるで血のよう。赤はキライではないの。
[ドロテアはこれからその赤を流すのでしょうか。期待の声だけは悟られませぬよう]
「赤」が好きですわ。貴方が仮に白がお好きといえば同じように。
……お話は私も同席しておりましたから。
赤い色が凶兆とはいえ己の好き嫌いまで否定されるのはつまらぬことと想われません?
[伏し目がちな瞳はまた閉じて]
それとも。疑える人間をお探しゆえにかしら。
怖いのですわ。それだけ。
長老様はこんな私でもこの村に容れてくださいましたが、一年も経たぬ身ですもの。
ただ、私は「いたむこと」を知らぬのです。今、あの方が捧げられても何の情も持たぬように。
貴方もお綺麗な赤をお持ちなら、私は好きだわ。きっと、切ることをためらわぬ位。
[うっすら、瞼が開き瞳の色がちらり]
信じられる方もそうでない方も関係ない。
自分が疑われねばよいだけ。
違います?
ありがたいことです…。
[言葉の裏、伝わるか否かは求めない。
ただ、自分の流れを断ち切らぬ言葉には謝意を]
好きなものを得る為に躊躇いはいりませんでしょう?私、貴方を好きになれそうです。なんて嬉しいこと。
民族の差ではなく私と貴方の差ですわ。
強要されないお方、疾くご理解遊ばせ。
[しゃらん。髪飾りが鳴ると同じにするりと手を伸ばし。その帽子にふわりと触れるとやんわり笑う]
疑われることも逆に逃げ延びる道やもしれませんね。
それがドロテア様の望むことなれば否定もせず。役目負うものの結末ですわ。
生きる意志ないものは死ぬべきかと。
生きる意志あれば生きるもの。
自ら容れたことへ、同情を求めることこそ愚かでは?
ただ…今は生きる為に考えめぐらす皆様が愛おしいとも想います。
共に在れます様にと願うだけで…。
[ふわり。頭を下げると髪が靡き。にこりと微笑むと、「ご自愛を」と言葉残して背を向けます*]
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