[台所は至って普通で。見つけた材料を使ってポトフを作る。作ってる間、背後で何かが動いたりしたかもしれないが、年老いた老婆の耳では気付けなかっただろう]
食べるものがあって良かったの。
少しは腹の足しになるじゃろて。
[声に振り返り笑みを向けて]
もう少しで出来るからの。
[ぐつぐつ。鍋の様子を見ながら煮込んでいる。しばらくすれば出来上がったポトフを皿に盛り、テーブルへと運ぶ]
[皿を並べてふと気付く]
おや……?
[──1つ、多い──]
[4人分。最初はそう作ったはずだ。しかしここに居るのは、3人]
……?
[何故1つ多いのか。何故自分は4人分作ったのか。何故]
[先程光を見たのは誰だったか。暗闇の中、一つの光を見たはずだ。誰だ、誰だ、誰だ──]
……お主じゃったかの?
[テーブルに座る少年を見て呟いた]
[少女の声にハッと意識を戻し]
ああ、たんと食べとくれ。
[頷いて自分も椅子へと座る。1つ多い皿とスプーン。小首を傾げつつポトフに手を*出し始めた*]