なななななぁーーんだよぉー!!!
誰だ誰だ誰だ誰だぁー。
オレのオレの獲物横取りしたのぉー!!
[セイジの姿は水鏡の向こう側に確かに映っているのだが、もののけの領域ではないらしい。コハルの身体からブワッと勢い良く闇が膨らむ。]
誰か邪魔するヤツがいるんだぁぁ。
そうかぁ。そういうつもりなんだな。
まぁ、良いや。あっち側にいるんなら。
あとでいくらでも何とか出来るからなぁ。
あははははぁ。
[神隠しの説明をする少女の声が、恐怖からか緊張からか、擦れているのを心地良く思いながら。]
ニンゲンはねぇ。
なんの理由も無いことが怖いんだよなぁ。
あははー。
でもな。理由が無い訳じゃねぇーんだなあ。
お前らがそれを理解出来ないだけなのさー。
ぐぐぐぐふ。
まぁ、わかったとしても、怖いのは同じかもなぁー。
あははははー。
[どんどん深くなっていく闇の中、獲物を捕らえ損ねた不満をくすぶらせながら、もののけは歩いて行く。傍らにはニンゲンが二人。格好の機会だ。だが。]
邪魔者がいるってことはぁ、もう少し慎重にいかないとなあー。
まだ他にもいるかもしれないなぁ。
オレの邪魔をするやつがぁー。
ててて、てがみ!?とか言ってた、アレもさ。
どいつの仕業なんだろうなぁー。
もうしばらく様子をみないとな。
かくれんぼもぉー、じょーずにじょーずにしないとなぁ。
あははははぁー。
[笑いは誰の耳にも届くことはなく、虚空に溶けていく。もののけはいつものコハルの表情を取り繕って、二人のニンゲンたちと、*歩いて行った*。]
[コハルが目を開けると、もののけもゆっくりと覚醒した。最初は抑えこむばかりだったコハルの意識が、融合するのを感じる。とうとうこの身体の持ち主の意識は、疲れ果て、自分に主導権を委ね始めた。完全な同化が始まる。]
これでますます、かくれんぼが、上手に出来るぞ。あははははー。
[だが油断は出来ない。この少女は随分しぶとい。「同級生」のやつらを前にすると動きが鈍ってしまうのを、もののけは自覚していた。]
早く、あいつらぜーんぶ、捕まえまないとなぁー。
[水鏡の向こうに閉じ込めてしまえば安心だ。ただの餌になるだけだから。ただ、今日は。少し大人しくしていた方が良いかもしれない。もののけは邪魔者の事を考えていた。]