……もうちょい、大人しくしててもらわんとなぁ。
[ほろ、と落ちたのは平坦な声。
捜すな捜すな、そっとしとけ。
そっとしておきたいのは自分自身だけれど。
そこへの自覚はまだ緩いまま、浮かべた思いは力となって、すぐ近くにいた者の所へと、飛んで]
……いや、いくらなんでも。
[ぽつ、とコエが落ちる。
先の平坦なそれとは違い、どことなくぼやくような響きで]
俺自身が『鍵』だったり『螺子』だったり、ってのは、ないんじゃないか……?
[否定はしてみるけれど、何故か否定しきれない。
探す必要がないから探さない、は、理に適う、けれど]
あー、あー、あー、今、どこにいるかなっ!?
[とっさ、飛ばしたのは、繋がるコエの方]
俺今、海の方にいるんだが、来れそうなら急いで来てくれんっ!?
ちと、ぶっ飛んだ事態が発生した!
[仔細を完璧に端折った呼びかけは何を思わせるやら。
ともあれ、この場で一番近いものにそう、呼びかけた後]
ゼンジさん!?
何があった─…や、説明はいいです、
今アタシ、そっち向かってますから!
[方向はそのままに、走る速さを上げる。
急な負担に息苦しく、コエを届けるのも容易ではないけれど]
元々、そっちに向かってる、
とちゅー、だったから!
多分、もう、すぐに、行ける、はず!
[走りながら、少しでもゼンジが安心出来るかと状況を説明する。
鍵を持っていたことも伝えたら、彼も鍵を持っているという答えが返った。
やっぱりアタシ達二人が原因だったのかな、そんなことを考えた所で螺子も出てきたらしいと知れて]
じゃあ、後は、アタシが、そっちに行けば、
全部、そろい、ますね!