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ふぅん。
昨日の骨のこと、新聞に載ってるよ。
[朝刊を広げて、感心した声を出す。
話しかけられた猫は、素知らぬ顔で毛繕い]
空き地で頭蓋骨…
ミステリー作家が喜びそうな話だ。
それとも、怪奇物の方かな。
呪(まじな)いのタネなら
内側に朱でも付いているかもね。
[ひそりと笑って立ち上がる]
昨日は頭。
今日は足。
……明日は腕、かな。
[下駄をつっかけ、外へ出る。]
ノギさんに頼めば見せてもらえるかな。
骨の現物。
店番頼むよ、ハナシロ。
[なぁお、という白猫の返事を背に、
からりころりと駐在所へ]
あれ。ノギさん居ないのか。
[ブレーチェの背中越しに駐在所を覗き込み、
小さく肩を竦める。]
いや、空き地には行かないかな。
どちらかというと、骨の方に興味があってさ。
別に止めないけど、
空き地に行くのは止した方がいいと思うよ。
昨日が頭だから、今日は足でも出るかもね。
[くすりくすりと、冗談めかして笑う]
まさか、売らないって。
[予想外の言葉に、からりと笑う]
どちらかというと、民俗学的な興味かな。
金にはならない方の。
―――ああ、行くなら気をつけて。
[言って、駆け出す娘の背中を見送る。]
骨を置いた誰かさんが、
まだその辺にいるだろうからね。
[ぽそりと付け加えた言葉が娘に届いたか、
気にもせずに、勝手に椅子に腰掛ける]
[駐在さんを待っている間、本棚の本に手を伸ばす。
もはや、勝手知ったるなんとやら。]
身代わり人形の話か…
そういえば、あの作家さん、うちに取材に来たなぁ。
毎日人形の一部を埋めて、拾った人に災いを移す、ちょっとした呪い人形を見せたんだっけ。
あの話、作家さんに全部話したかな…?
[ふぅむと唸りながら、ページを*めくっていく*]
駐在さん、遅いなぁ。
どこまで警邏に出ているんだろう。
[ぱさりと読み終わった小説を横に置いて、
椅子の上で、軽く伸びをする。
その拍子に、ふと目が合ったのは
戸棚のガラス戸の向こう、虚ろな眼窩]
ああ、昨日の。
[空き地から持ち込まれただろう頭蓋骨が、
歯のない口を開けて笑っている。
そんな風に見えて、ちらりと笑みを浮かべた。]
― 23日・夜 ―
[さくり、さくりと土を掘る。
頭蓋骨が見つかったところに、
種撒くように、そっと骨を埋める。
すらりと長い足の骨。
真っ白な骨。]
誰かが見つけてくれますように。
[薄く土をかけて、小さく呟いた*]
[頭蓋骨の隣に、すらりと長い足の骨。]
鑑識に回す前なのかな。
それとも帰ってきたところ?
[扉越し、親しげに語りかけるさまは、
人に見られたら、頭の中身を疑われる、かも。]
― 24日・夜 ―
[昼間は人のいた空き地も、夜は人影は無く。
昨日よりは小振りな骨を手に、空き地に立つ。
さくりさくりと土を掘る音は、闇夜に響いて]
……誰か、いるのかな?
[音が聞こえた気がして、作業の手を止めた。]
そういえば、第一発見者は誰だったのかな。
新聞に書いてあったっけ?
[記憶を辿りつつ、ちらりと机に目を落とす。
あの辺に調書があるかな、と思いつつ、
さすがにそれを引っ張り出すのは躊躇われて、]
ノギさん、まだかなぁ。
[呟いて、駐在所の窓から顔を覗かせた]
ああ、ヨシアキさん、こんにちは。
いや、ちょっとした暇つぶし、ですよ。
[近づいてきた人に軽く挨拶を返し、
隣の少女にも手を振る。]
駐在さん、今、出かけてるみたいですね。
上がって待ちます?
私もさっきから待たせてもらっているんですけどね。
[言いながら、勝手にパイプ椅子を出し始めた]
あの空き地、ヨシアキさんのところで扱っている物件でしたっけ?
[子供相手の説明を小耳に挟んで、
小さく首を傾げる]
あそこ、あまり良い土地ではないですよ。
因縁もあるし。
その……いろいろ溜まってますから。
手放すなら、早めが良いですねぇ。
[暢気に言って、煙管を銜える]
ああ。骨はなかったんだ。
じゃあ、これが今日の分なのかな。
[ブレーチェの報告に頷いて、ガラス戸棚を指す。
指した先には、頭蓋骨と、足の骨。]
……そうだね。罰が当たるかもね。
早く、全部揃えてあげないと。
[薄く笑む]
そう、ですよ。
今出ている骨とは別に。
[ヨシアキにも頷いてみせる]
もともと、お社かなにかがあったそうです。
それを取り壊して建物を建てようとしたら、
工事の人が何人も亡くなったり……
まあ、良くある話ですね。
その取り壊したお社のご神体だかなんだかが
うちにあるのですけれども、
さて、本物なのか、どうなのか。
[くすりとした笑いは、あまり気にしていないという風情。]
ええ。綺麗な白骨ですね。
[本物の人骨、というヨシアキの言葉に、
目を細めて同意を返す。]
さて…土地と骨に関係があるのやら、ないのやら。
あそこの空気の淀み具合は、
呪(まじな)いの種に使うには便利ですけどね。
全部の骨が出てきたら、なにか分かるかもしれませんねぇ。
[お供えと言いながら、シロツメクサの花冠をガラス戸に張る少女に、先程の、羨望の目をちょっとだけ理解する。]
ブレーチェちゃんは、優しいねぇ。
……ライトセーバー? …ああ。
[ヨシアキの大声には、一瞬きょとりとして、
それから、くすりと笑った]
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