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─ミャスニーツカヤ通り─
<43>個ほど、ピロシキくださらないかしら。
[ピロシキ売りが凍りついたのはその個数故ではない。
体格の良いその青年は、目にも鮮やかなフリル一杯の桃色のドレスを身にまとい、帽子を被り、白い日傘を差している。
小首をかしげる笑顔は、青いアイシャドーと真っ赤な口紅に彩られている。
現在の言葉で彼を一言で称するとドラァグクイーン]
かわいい仔猫ちゃん。おびえないで。
[ピロシキ売りの頬を紫に塗られた爪でそっとなぞる]
またね。
[手を振ると、ピロシキを食べながら歩き出す**]
[広間のベンチでピロシキを食べ終える頃、隣にジャケットを来た中年の男性が腰掛ける]
遅かったのね。女帝が出かける前に来てくれるか心配したわ。
[白い日傘を回し、赤い唇が笑みを刻む]
ありがとう。
[男から封筒を受け取ると中を確認する。
入っていたのはシベリア鉄道のチケットと旅券。
どちらもマティアスのものである]
[ピロシキの入っていた袋を男に押し付けて立ち上がる]
私がシベリア鉄道に乗っている間、"彼女"を大切にしてあげてね。
[釈然としない男の顔を見て、下品なほどの満面な笑顔になると、状態を傾け、男に顔を近づける]
"彼女"が奪われたのは自分自身だ。それ以上奪ってはいけないよ。
もし"彼女"に何かあったら──長い付き合いだ。わかるだろう?
[まるで公衆の面前で日傘の影で口付けをしているような姿。ひそやかな囁き声]
じゃあ行って来るわね。見送りはいらないわ。
[男から離れるともう一度、満面の笑顔を向けて、そうして駅舎へと歩き出す]
─駅舎の中─
[乗車口に向かう途中で、先ほど悲鳴を上げた少女が耳と目を閉じているのを見つける。
いたずらっぽく微笑むと、背後に回り、背骨の上から下まですーっと指を滑らせる]
あ・な・た・ど・う・し・た・の?
[甘い問いかけを投げた]
─数十分後─
ありがとう。
[マティアスの旅券とチケットで無事に乗降手続きを終え、三等車へと向かう]
あの子もこの列車に乗るみたいだけど、どうなるのかしら。
[先ほどの少女のことを思い出すその表情は……**]
─車内→三等車─
[白い日傘を左手に、皮製のトランクを右手に、優雅に歩く。
バケモノを見るような目で見られてば、嫣然と微笑み投げキッスを送る]
ホホホホ。
[慌てて目を逸らす彼らに目を細める]
[三等車の車両に入ると、扉を開ける]
失礼するわね。
[ざっと室内を見回して、大仰に目を丸くする]
さっきのお嬢さんじゃない?
具合はいかが?
[楽しそうに笑った]
[アナウンスを聞きながらあくびひとつ]
いやだわ。
おなかすいたら眠くなってきちゃった……
[手近な寝台に腰掛けると、そのまま眠り始める**]
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