―藍住中央公園―
[雪が昇華し、またその想いを降らせていく。
携帯電話の時計は11月1日の午前を回っている。
さすがに1日外にいたせいで身体が悲鳴をあげていた。]
……誰か…来るかとおもったけど、無理ね。
[携帯電話のボタンを操作しメール画面を開く。]
確か…メールがどうとか…。
死者の名前と…雪に願い…を。
[そう言って空を見上げる。
風が吹けば2つのビー玉が揺れた。]
[不安に思ったのか。
ストラップのビー玉をぎゅっと握った。]
一度……家に戻ろう。
誰かが帰っているかもしれない。
[家に戻る途中。
透明なビー玉を覗き込む。
その向こうから、走ってくる少年の姿。
小さな姿は近付くとビー玉の中で逆さまとなる。
けれど、はっきりとその姿を映していた。]
………………。
[ビー玉を覗くのをやめ、走っていく少年に直接視線を送る。
そのまま走っていった少年をそのまま見送った。]
―回想・帰り道―
[少年とすれ違った後、そのまま家に帰ろうと歩き出す。
]
何……?
[いきなり呼び止められ、振り返る。]
消えてないやつの意味が分からないけど。
まぁ、いいわ。
お子様が何の用?
[溜め息混じりに問いをかけた。]
町の皆のことなんて知らない。
[空を見上げれば。
降る雪は全てを隠してしまいたい、そんな風に見えて。
まぁ、間違っているわけではないだろうけど。]
でも…あの黒髪の女が言っていたよう、死者を空に還せばいいんじゃないかしら。
そうすれば、あんたのお父さんもお母さんも戻ってくるわ。
[携帯電話を握りしめたまま呟く。]
冷たいね…。
心配して町の皆が帰ってくるわけないじゃない。
[少年の様子に呆れたように溜め息をついた。
そうしているうちに、手の中の携帯電話が震えた。
その送信主を確認したあと、そのまま携帯を閉じる。]
…………………で?
[気付けば目の前の少年が激昂している。
言わんとしていることは分かるが。]
あんたはどうしたいの、これから。
[淡々と尋ねる。]
[ふぅと、小さく息を吐く。]
あっそ………。
何をすべきか。
優先させるべきことは何か考えなさい。
あんた、父親のかわりにお母さん守らなきゃダメでしょ。
[雪が再び昇り始める。]
………気を付けて行きなさい。
そうそう。
私はあんたが死人じゃないことは知ってるわ。
だから頑張りなさい。
[空を見上げたまま。]
…………あの…サイトに書いてることが本当なら…。
[携帯を開いてメールを確認する。]
――――――
to ×××@××.ne.jp
from +++@+++ne.jp
――――――
返事遅くなった。
気が向いたら行く。
――――――
[ミナツと名乗った少女からのメールに返事を打つ。]
………さて、どうすべきかしら…。
[見上げる空。
雪、*還る。*]