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― どこかの道ばた ―
本当に、早く揃えてあげないとね。
[骨董屋の顔を思い出して、頷きながら歩く。頭を掻く、真似もする]
化けて出たら、どうなるのかな。
[ばあちゃんの顔を思い出して、ぶるり身震いした。
女学生がひとりいなくなった、そんな話を聴くのはもう少し後のことか]
[今日も長靴かぽかぽいわせて。
家を出るとき新聞を読んでいた親が空き地に行くなと釘を刺してきた]
新聞屋さんのせいだ。きっとそう。
[見つけたらきっと一言言ってやるんだと意気込みながら向かうのは――**]
― 槻花寫眞館 ―
おーばーちゃん。これやって。
[蓄音機の隣で声をあげる。
差し出すのはインスタントカメラ]
ばあちゃんが現像してきてって。明日にできる?
[写真館のおばさんは、今日でも大丈夫だと笑って言った]
明日でいいの。かんしきには時間がかかるものなのよ。
[右手で鉄砲の形を作ると顎に当てて、なにかのポーズ。
笑う相手が伝票を書けば]
また明日来ます!
[敬礼っぽいものをして、走り出して]
[急ブレーキをかけて戻ってきた]
はいこれ。おねーちゃんに。
[干し柿いっこ。
伝票をポケットにぐしゃっと入れて]
早く元気になってね。
[昨日聞いた、風邪の話。もう元気になったとは知らぬまま、長靴がこがこ言わせて走っていった]
デンゴちゃんはー 学校だしー
写真屋のおねーちゃんはー お風邪だしー
新聞屋さんは見つからないしー
[実はみんな、空き地に居たりするんだろうが]
暇ぁ……あ、わんこ!
[動物病院の前、鎖に繋がれた大型犬が銜えているものに首を傾げた]
……骨の人?
[いいえ、それは犬のおやつです*]
[動物病院前の犬は、お菓子の骨の他にもいろいろため込んでいたようだ]
立ち入り禁止。
[入り口の立て看板の前。
きゅぽ、と油性ペンの蓋を取る]
『よつんばいならおっけーです』
[ミミズののたくったような文字で書き足した]
[そのまま駐在所まで行って、こそりと中を覗く]
駐在さん、いない。
[人は見えるが違う顔。
ガラス戸に張り付いて、中を偵察]
こんにちは。
お供えさせてくださいー
[いつもの駐在さんじゃない→いつも怒る人じゃない→怒られない。
かち、かち、ちーん。と三段論法を組み立てると、からりと駐在所の戸を開けた]
うん。骨の人にお供えするの。
[昨日戸棚に貼り付けた花冠は、まだくっついたままなのだろうか]
うん?
[いつものじゃない駐在さんの視線が下の方を向いて、自分も足下を見る。綺麗な長靴]
[ぱたり、はたり、足踏みして]
今日も骨の人みつかったの?
早くみんな揃うといいね。
[白髪頭の巡査部長はどんな顔をしただろう。素知らぬ顔してパイプ椅子を戸棚の前に動かしながら]
あ、でも骨董屋さんは、全部揃ったらなにか起こるかもって言ってた。
[正確には、なにかわかるかも、だけれど訂正できる人はここにはいないようだ]
空き地? 今日はまだー
[しんなりとした花冠の下に、持ってきた蜜柑を張ろうとして……無理だったのでちょっとしたでっぱりに置きながら]
後で骨の人探しに行く……
[引き出しから何かを取り出すいつもとは違う駐在さんの手、じっと見ていたら]
きゃあー 撃たれるー
[出てきた割り箸ピストルに悲鳴を上げて、椅子を飛び降りると駐在所を飛び出した*]
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