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[ふぅ、と大きく息を吐き出してメイに改めて向き直る]
変な事だとは思いませんわ。
私も、曖昧ですけれど一つ確認して参りましたもの。
貴女のお葬儀は執り行われたはず…ですわ。私共神の僕は何人たりとも主の御許へと送り届ける使命が御座いますので。
ただ、私が墓地に居たという事は確かに覚えているのですけれども誰を見送っていたのか…誰に……
と、とにかく。
貴女を埋葬して下さった方となりますとユージーンさんが詳しいのではないでしょうか…。
人に聞けというのもおかしなお話ですけれど。
[誰に、の部分は言葉を濁して曖昧な記憶から思いだせる事柄を話して行った]
[ユージーンの元へ行くメイの背を微笑みながら眺め]
殺されたのだとしても、恨みを述べる事をせず…。
未練とは仰いますけれど、精一杯生ききらなければその態度は出来ませんわ…。
[性格か、生ききったのか。いずれにしてもメイの明るい存在が今は有り難く。今度は自分の番だと必死で何かを思い出そうと*していた*]
―集会所・暖炉の傍―
[メイとユージーンが何らかを話しているのをぼんやりと見つめる。恐らく、彼は問われた事には包み隠さず正直に答えただろう]
私は、どのように死んで行ったのかしら…
これが汚れたまま墓地で落ちていたというのでしたら、私は墓地で死んだという事ですけれど…
[暖炉の前に居るというのに寒そうに身を縮こまらせ、赤黒く汚れた十字架を見る。その汚れは、血液]
いやですわね…
御霊を主の御許へ。数多の幸いへ祝福を。それが私の使命だと信じて参りましたのに…。
[ぼんやりと十字架を見ながら思い出すのはいつかの出来事]
――…命の輝きは白く。
主がその御手を差し伸べられております。
[白い布が被せられた遺体を前に首を横に振った]
…も、申し訳御座いません……私、私…もう、嫌ですわ…
毎日、こんな、私達の手で命を絶たせるなんて…私…
(ああ、そうですわ。私はあの日以来毎日誰かのお見送りをさせて頂いたのですわ)
――牧師様も残酷な事をなさいます。
お葬儀のお手伝いだなんて…嘘。
こんなの…自らの手で親しかった人を処刑して!整えられないままの穴へと埋められるだけではありませんの!!
(何故か私が立ち会わなくてはならなかったのですわ。何かを見る為に)
[室内での皆の会話は聞いていたが、その内容を理解するには至っていないようだった]
[顔を伏せて考え事をしている間に室内に響いた叫び声と食器類が立てる音に顔を上げ]
は…いかがなさいましたの!?
何か変なものでもおりましたの?
[慌てて立ち上がって床や室内を見回してみるが、それらしいと思うものは何もおらず]
[何も居ない事を確かめた後、未だ泣いているキャロルの傍へと]
怖い事を思い出されましたの…?
ほら、大丈夫ですわ…今は私達だけしかおりませんもの。
大丈夫ですわよー…
[キャロルを抱き寄せるように、背中に手を添えてゆっくりと撫で。落ち着くまで続けていた]
皆様、色んな事を思い出されていらっしゃるようですわね。困った事にあまりよろしくなさそうな思い出ですけれど。
(どうして私はこんなに落ち着いていられるのかしら?
死を当然のように、受け止めていたのかしら?まさか、そんな。
私は彼を……彼にまだ何も伝えられていませんわ…)
[コーネリアスから自分へ向けられた謝罪の言葉にしばらく俯いて、そのまま見えないように微笑んだ]
…謝らないで?
色々思い出すのも、私ったら本当に馬鹿ですわね…。
[汚れた十字架をずっと握ったまま]
でも、主の御許へと行かずに私達は何故ここに在るのでしょう…今も変わらず主はその御手を私達に差し伸べられておりますのにその手を取らずに…。
[そっと袖で目を拭い、顔を上げる]
[厨房へと向かうユージーンの『奇跡』に耳を傾けうわ言のように厨房を見つめ、ヒューバートへと向く]
思い出すのが遅くとも。
思いを成し遂げる為の時間が与えられている…?
で、でも、主はその時間を限らせていらっしゃるのですか…!?
せめて皆様の願いを叶える為の時間を…どうか御慈悲を…!
[そこでようやく十字架に付いた血を拭い、美しい装飾に戻ったそれを両手に祈り続けた]
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