情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
死んだ?
[一瞬、飲み込めず瞬く。そして、足に目を落とし、再び看護婦と隣の青年を見比べて]
…ウェン、死んじゃったの?
[もう一度繰り返すが実感はなく。考えて、さきほどの部屋の風景を思い出した]
…あ…。あれ…。夢じゃないんだ。
[独り言のように呟いた]
ええ。
……あなたは何も悪くありません。
[何かを言いかけたが、言葉を変えた。
つられるように足をついと動かすが、体は*動かなかった*]
「あのひとには生きて欲しい」
純粋な自己犠牲的な考えだね。
――でも、その考えは僕は好きだよ。
綺麗で、はかなくて…美しいから。
[つい、と振り返り、看護師の瞳を捉える。]
やぁ、おはよう、ウェンディ。
お目覚めはいかが?
[まだ全てに対して曖昧な表情を浮かべる、幼顔に
首を傾けにっこりと微笑んだ。]
夢の中――、確かにその言葉は的確かもね?
残念ながら僕も判らないんだ。先に着ているけどね?
[再びニーナに向かい合う。
なぞる言葉。「強い」と称される自分と、
[弱い」と絡げられた他の者。
違う、と首を横に振り、言葉を選ぶかのように口を開いた。]
僕は強くは無いよ。
「自分」が犯人でなければ、
「他人」を犯人だと思うことは、当然の事じゃない?
他の人たちは、
人間として正しい反応に忠実なだけだよ。
「手に入らない」ものを、「欲しがらない」弁えを知る、ね?
[以前、クインジーに投げ掛けた言葉に似た言葉を引き摺り出し]
――ひとを…? さぁ?
あぁ、でも…
[思い耽るように、一瞬だけ視線を宙に惑わし、
瞬きをして再び看護師を見つめる。
妖美な色を瞳の奥に揺蕩わせて]
僕は欲しいと思ったものは、手に入れたいと思うんだ。
仮令神さえ躊躇うことであろうとも、ね?
それが…ひとを殺めることと等しくなるのかどうかは、
僕にはまだ、解らないね。
[虫の息で置き去りにしてきた、若き書生を思い出し、
くつりと意地の悪い笑みをひとつ、浮かべた*]
[言葉を飲みこんだ看護婦をじっと見つめる。
青年に微笑みかけられ、そちらに視線を移した]
ん…。
[いかがと問われて、スカートの裾をあげてみたり、手を開けたり開いたり]
よく、分からないけど。悪いところはないみたい。
ラッセルにいは、お元気?
[一昨日の晩、対峙していた二人の様子を不思議そうに眺めて]
天国、だとしたら思っていたところと違うわ。
そう、それは良かった。
死して尚、苦しむなんてナンセンスだしね?
[特に 不自由の無さそうなウェンディに、
向ける微笑みは柔いもの。]
僕は変わらずって所かな?
でも、確かに此処は天国と言う場所とは。
程遠いよね?
自己犠牲?
[>>+26 はっきりと否定の色をのせた視線を返す]
「生きて欲しい」というのも、願い……欲望です。
自己犠牲で、大切な人が助かるなんて、幻想です。遺る人が生き残る可能性など、ごくわずかです。
私は、自分が楽になりたかった。それだけなんです。
そのために、利用してはいけない人を利用してしまった。
[ウェンディを、ラッセルを、そしてここには居ない誰かを思い目を伏せた]
……いま、それにきづきました。
死して尚…。お兄ちゃんは苦しかった?
今はもう苦しくないの?
[首をかしげて問うと、支えていた扉から離れて、
一歩だけ2人に近づいた]
ママは死んだら天国に行くのだと言ってたのに。
本当は違うのね。
ママも、嘘をついたりするの、ね。
…おねえちゃんも、嘘をついたの?
[楽になりたかったというニーナに問うた]
たくさんのうそをつきました。
……願うものは手に入らないと、あきらめて……楽になろうとしたのが、一番おおきなうそ、なんです。
強い願いは、誰かを傷つけるかもしれません。
でも……どうせなら、私は、願いを叶えようとするべきだったんです。
[少女に問われたというのに、酷くあやふやな、混乱するままの答え]
だから……最後まで見届けなくてはいけないんです。
[ゆっくりと目を開けると、ウェンディとラッセルに頭を下げる。
そしてゆらりと自警団倉庫を離れ、医院の前に──男性二人の傍らへ]
[彼らのやり取りを、沈うつな面持ちで見つめている。
何かを言いかけるが、言葉が出てこない。
色を奪ったのは自分自身だと、よく分かっていたから]
[かすかに呟く]
色を失っても……いつか……別な色が見えることもあるんです……。生きていれば。
私が、色を奪いましたが、ほんとうには、奪えるものじゃないんです。きっと。
たくさんの…うそ。
[繰り返して、彼女の答えを聞いた]
…どこに、いくの?
何を見届けるの。
パパ達はまだ、狼を探しているの?
まだ終わってないの?
[問いには答えぬまま彼女は外に出る。
閉じる扉を見た後に、残された青年を振りかえる]
ウェンも、行くね。
[誰も訪れない、この場所をあとにする。
父を捜さねば。当てもなく駆けだす。]
パパ…!
[彼を止めようとしたその声は、届かない*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了