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―― 愛犬ゴロウマルの視界 ――
[すっからかんのゴハン皿。
それから年季の入った犬小屋。
太い鎖、回転するゴハン皿、ゴハン皿、ゴハン皿]
―― →集会場 ――
……信じられない。
[けたたましいサイレンが響いた後、見えた景色。
辺りを見渡し、垣根の間から投げ入れるのは塩煎餅]
ゴロウ、内緒だよ。
[あっという間に平らげるのを見届けてから、集会場へ向かう。
そして勝手知ったるなんちゃらで、お茶とジャム煎餅をちゃぶ台に広げて*もぎゅ*]
[拉致があかない。故に次なる行動を。]
―――瞳を貸して。
[視界に砂嵐に似たノイズが走り、今の目前と様相を違える景色が映りこむ。
それは、ここではない別の場所。彼の視界。]
〈 獣道と呼ぶのが相応しい道。
村と外を結ぶ細い糸。
みっつの小石。
みっつの小石。
みっつの小石。〉
嗚呼。あれは………
[そして。]
―→村と外の境目―
[日も暮れてきた頃、大音響のサイレンの音に耳を塞いだ]
うるさっ なんだ急に!
[何か動物の咆哮の様にも聞こえ、目をつぶる。ジ、と羽虫の焦げるような音がした]
>tuning... negiya.
不思議な印のある扉を開けようとした手が見えた己のものではない丸い指が触れるより早く扉は勢いよく開かれて人ではないモノが飛び出してくる赤い涙を流したそれが自分に右手を振り上げた
>tuning... end.
うわああああ!
[とっさに、頭をかばうように腕を上げる]
……?
[身構えた痛みも衝撃も、いくら待っても訪れず、そろりと目を開く]
な、なに、が。
[からからの口で、うめいて。
サイレンの鳴り終わった夕暮れの村を見回した**]
[サイレンが鳴り響く。]
ネぇぇ ギぃぃ ヤぁぁ くぅうううううん
[ネギヤが境目へ達する直前に、その肩へ青白い手が喰い込んでいた。]
[やがてネギヤの自身の意思により首が軋る。
頭を巡らせ、さいごに何かを見ようとした態だった。*]
…?
つかまえるだけの心算だったのだけど。
[大の男をくびり殺せる程の筋力はない。
なのに少し力を込めただけで、ネギヤの身体は呆気なく崩れ落ちていた。
彼の道中のどこかで、深手を負っていたのだろう。
草を踏む音がする。
そこに現れた赤い涙を流す者たちに、ネギヤの身体を任せた。*]
……――っ、
[集落を半ばまで来たところで、突然、サイレンが鳴り響いた。そして、頭痛を覚えると共に、視界が歪んだ。目を瞑る。しかしそれは見え続ける。放送を終了したテレビのような、ノイズに満ちた画面。
ラジオをチューニングするように、画面が鮮明になっていく。――ノイズ交じりのスクリーンに、映し出されるのは、見覚えがあるような廃屋郡。視点が移る。遠くに聳える火の見櫓へ。手元へ。異様な暗い色をしたその手に握られた、拳銃へ――
呻き声を零して目を見開く。そこでぶつりと画面は途切れ、元の視界が戻り]
……っは、……今のは……?
[頭を押さえながら、辺りを見回す。気付けば空は赤くなっていた。夕暮れにしても赤過ぎるようにも思えた。赤い水と、同じように。眉を寄せつつ、男は歩みを再開し]
― 集会場 ―
アンちゃん、早いなあ。
[少女の姿を見つけるとそう溢し、懐から読み損ねた茶封筒を取り出し、読み始めようとした。**]
……!
[すぐに、立ち止まる事になった。前方から蠢く気配を感じた。咄嗟に廃屋の影に隠れ、様子を窺う。緩慢な足音が聞こえた。そっと覗くと、人影が見えた。それが此方を振り向いたのに、どきりと身を引っ込めて]
……な、……何、なんだ。
何なんだよ……
[心臓が強く脈打つ。息が上がる。一瞬見えた人影は、人ではなかった。異様な肌。白目を剥いたような目。流れる赤い涙。封じる板が頭を過ぎる。あれは、もしかしたら。この村は――?
惑乱の中、*身を潜め*]
―集会場―
ねー、カズキ、従兄くんは…?
[弟のカズキから明確な答えはない。
アンの隣へ腰を下ろすとジャム煎餅をくわえる。
そのまま、小首を傾げ、]
アンちゃんって、腕細いよねー。
ね、これ使う?
[カズキの持つ金属バットを取り上げ、それをアンへ差し出した。
バットには大きな凹みがあり、何かが変色したらしき染みも所々に付着している。
咀嚼音を立てて、少女へ密かにウインク。
開いた側の片目が紅色を一筋流す*]
―村役場―
[轟いたサイレンの余韻が去りゆく頃――耳を
押さえうずくまっていた少年が漸う我に返る。
能面のような表情はそのままに、額へ薄い汗。]
ぁ…
隠れないと、また
[ふらりおぼつかぬ足取りで歩き出そうとする。]
美津保おねえちゃんが …こわくなる
[耳の奥へ、短く連続したノイズ音]
[―ざ―] [―ざ―] [―ざ―]
[切り替わる視界の幾つめか、端に
少年が―自分が―映る其れがある。
オトハ女史を見遣る相棒の、視線。]
.
…トカイの人
おばさんじゃ なかったんだ
[都会でなくトカイ(@ハンガリー)の発音で
オトハ女史へそう言いながら振り返る。]
ごめんね
あんまりよく 見えてないんだ
[甘酸っぱい匂いと周囲から澱んだ匂いがした。]
アンちゃん…?
[唐突に腕を握られるが後ろは振り向かず。]
気分が悪いなら一度外に出るかい?
―――…っ…、
[ジ..ザ....視界に混入し分割した視界の中に見えるのは、アンの視界。]
は…?
[一瞬、思考停止する。ホズミの片目から血のような液体が流れ出している。その意味らしきものが、脳に染み渡る、次の瞬間。ノギは、アンの手を握り引き寄せようとしながら]
ホズミちゃん、あんた…。
[自然、距離が置いた。**]
じゃ 俺、行くよ
[少年は、外へうろつき出す異相の村人たちに
見咎められぬよう身を低くして…役場を出る。
オトハ女史らへ告げる別れはみじかくも重い。]
…隠れる前に 忘れ物を取りに行かなきゃ
[道行きは、村の宗教施設―教誨所―の裏手を
抜けて、旧家たる少年の生家を目指し、辿る。
赤い涙を流す美津保嬢が、再度彼女の弟へ
ギンスイ―彼らの従弟―の行方を訊ねたなら、
戸籍を持たないあの少年が、幽閉されていた
土蔵から逃げ出したままだと聞ける*だろう*]
―― →路地裏 ――
やっぱり、怖いよ……
[使った跡のある金属バッドを抱えて、路地裏に入り込む。
乾いた笑いを一つ。それから息を*潜めた*]
[ザ
ザ――――
その視界の位置は、村役場を遠くに収めるように。
やがて、隣に立つ 誰か を見た。
両の眼から紅い涙を流す、土くれのような色の肌をした人影を]
[ノギはアンとミズホの顔を視界に収めていた。手に獲物持つ村民がいればそれも。アンと共に路地裏へ。]
アンちゃん…。
[アンの双肩に手を置く。]
(“屍人”がいる)
[長雨を思わせるノイズ音の合間に、声が拾えないかと耳を済ませるが、何も聞こえなかった]
(この村は、もう手遅れかもしれない。
それでも私は――――)
[やがてノイズ音は引いていき――――]
テキトーに振り回せば何とかなるよ
ね、いいこのアンちゃん、それでさ、部外者の乃木さんを、村の
[距離をそのままに置くうち、二人の姿は外へ。集っていた村人達―いつしか異相混じり―が笑声奇声をあげ、うち幾人かは二人を追い始めた]
[集会場外の広場で、誰かの悲鳴が空気を裂く。
古びた排水溝へ流れゆくは赤を増した水。それは排水溝から川へ、川から海へと]
…いいこ、か。ま、一番のいいこは、ギンスイだけどね。
………何か言った?
[無機質な声音で訊きながら、相棒と少年の顔を交互に見やる]
「トカイの料理は美味かったって教えた。」
[確かに昨年二人で欧州方面に旅に出たけど。何故ここでトカイの話が?
首を傾げる視線の先、相棒の表情はどこか陰のあるものだった]
「美津保おねえちゃん、…か。」
[少年と別れた後、隣から聞こえた重苦しく呟く声には肩をすくめて]
他人の家庭の事情を暴くのは探偵か三文記者のやること。私達のやることじゃないわよ。
行きましょ、ソラ。
[やがて村役場から、二対の足音が遠ざかっていった**]
―穂積本家・土蔵―
あった、…よかった
[逃げた少年を探したのか、踏み荒らされた其処で
格子窓越しの薄明かりを頼りに探すふたつの忘れ物。]
… う
[「其れ」を拾い上げた途端、軽い眩暈。
用心のために時折視界を切り替えることには
慣れているのに切り替える先にノイズが走る。]
…視界酔いしてる場合じゃ ない
[混乱と焦燥を努めて抑えながら、男は考える。あの化け物は――男は屍人という名を知らない――ゾンビの類のようなあれは、何なのだろうかと。状況からすれば、あれがこの村の「秘密」の顕現であるのは、間違いないだろう。先程の視界の異変も、それに纏わるものなのかもしれない]
……本当に、こんな事になるなんてなあ。
十年以上オカルト調べてきて、初めてだよ。流石に。
[手帳に文字を書き込みながらぼやく。足音に気を付けつつ、近くの物置らしい廃屋に入り込み]
……お。
[其処には金属の棒状と、赤黒く汚れたバインダーとが、空箱に紛れて落ちていた。棒状は伸縮性の警棒のようだった。バインダーの中には、幾枚かの紙が挟まれていた。黒ずんだ赤色で象形文字のようなものが記されていて]
……
[紙群を写真に収めてから、警棒を手に取った。これであれに適うかは怪しくも――ないよりはましだろうと。
物置を出、*歩き出す*]
[まず視えたのは、振り被るように上げられた、右手。
それを何とか交わそうと自らも腕を上げる。]
五十年前の音楽室の次は、
理由なく襲われる映像かい?
強ち噂は噂じゃなかったとか、
言うクチかね? これは。
[耳を劈くようなサイレンに、頭を振るう。]
まぁ、あたしとしては、この状況、逆に好都合だね。
[瞳を貸した右目と、左目で辺りを見渡す。
血のように赤く、そして紫色に染まった視界の中で、
握り締めた古びた新聞紙がくしゃりと音を立てて。
自らの存在の意義をアピールした。]
[しかし何故、この村は未だ存在するのだろう?
握り締められた新聞は、三十五年前のもの。
古い地方紙にも一面に大きく躍る文字は、
四辻村と呼ばれる村が事実上、
姿を消した事を告げていた。]
そしてあたしは五十年前、この世には居ない。
[一瞬にして消え去った音楽室。
跡地にはただの草むらが広がる。]
――…この地に伝わる密教と、
何らかの係わり合いが有るのかね?
この、赤い視界は。
[貸していない左目を軽く手で覆う。
また、誰かの視界であろう。
ノイズ交じりの映像が、紛れ込んできた。]
教会、とやらを探してみようかね?
――…その前に、この生き永らえた者に
捕まえられないように、逃げる方が先かね?
[くっと喉で押し殺した哂い声が、跳ねる。
一度も訪れた事が無い土地。
しかし記憶には存在する道標。
息を殺して地を蹴る。
そうすべきだと教えてくれるのは――]
[女は、走っていた。隣に相棒の姿はない]
まずったわね……。
(まさか、屍人が集団で行動しているところに出くわすなんて。)
[とっさに二手に分かれて逃げた先には、古い家屋が立ち並ぶ一区画があった。
隠れる場所には困らなさそうだと、束の間、安堵の息を吐いた。
ザ――――
追っ手の一人、素手の男性の視界に、女の姿は入っていない]
誰だ、ここにアンテナ建てるって決めたのは!
[汗をぬぐい、叫ぶ、小声で。
足をゆるめて、周囲の安全を確認するため首を巡らせると、見覚えのある建物に気づいた]
あれは――
[不思議な印のある扉――近づいてよく見るとそれは赤黒く沈んだ色をしている]
血……だったりして。
[印をなぞるように指で触れて、そっと扉を押し開けた**]
誰かいますか ?
……逃げ切れた ?
なら、探さないと。ソラの視界は、どこ?
[思い、探すも、映るのは砂嵐ばかり。
だから壊れたラジオを直そうとするかのごとく頭を叩こうとして――その手が止まる。
女は駆け出した]
助けてください!
[焦燥を滲ませた声は、物置を出て歩き出した人影に向けて**]
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