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一生懸命、空気を緩和しようとしたのに。
[心外そうに言った]
明日か、一息ついたらか、また車出してもらえますか?
明るい時にみんな乗せて、それも何度でも試しましょう。
[ずっと待ってるわけにもいきません、と後をついて歩きながら]
[人形を受け取ってくれたルリに]
こちらこそ。ありがとう。
ルリちゃんなら、きっと大切にしてくれると思うわ。
[『ママみたい』の言葉に]
そんな風に言ってもらえて、お人形も嬉しがっていますよ、きっと。
そう。そうよ。もう絶対、怖いことは起こらないからね。
[ルリの小さな体をふわりと抱いて、よしよしするように背中を撫でた]
何をどう和めばいいのかわからん。
車はいいけど、俺ハンドル握ると人格変わるんだよなあ。
[窓から建物に戻り、洗面所で手をゆすいだ。
いつまで誤魔化すのかと考えながら]
ただいま。
[そうして、食堂へと顔を出した]
ハンドル握った途端オカマになったら、ぼく、どうしよう。
[呟きつつゼンジの後ろから顔を覗かせて、どうも、と挨拶した。
ふっと思う。自分の手紙の消印はいつの日付なのか]
とりあえず。今日留まるしかないようなら戸締りに気をつけましょう。
バリケードとか作るのも一興かもしれませんね。
[おばあちゃんに背中をなでられると、どこかほっとします]
だいじょうぶ…だよね…
[しばらくの間、小さな小さな声で繰り返しつぶやいてました]
[ゼンジおにいちゃんの声がします]
あ、おかえりなさいー。
[お婆ちゃんから離れ、お菓子を手に取ります]
あのね、お菓子あるから、一緒に食べよう!
[できるだけいつものように、話しかけます]
地図見てみたけどやっぱわかんないですね。
[苦笑しながら空いている席に腰掛けて、ルリの様子を見ると]
いいねおやつ沢山だ。
どれがオススメ?
えっとね。どれもおいしいのー。
みんな食べてみるといいと思うよ。
あ、おばあちゃん、お茶ありがとう。
[お茶をのみつつ、鈴カステラをぱくり]
ああ、いいですよね酢昆布と緑茶。
[言ったものの、酢昆布を飲み込むことは中々出来ずに、やけに長い咀嚼を経た]
落ち着いたら、明るいうちにみんなでここ出ませんか?
そんな長居する予定じゃないんでしょう。
[ゼンジの提案に、大きく頷く。このペンションを覆う、重い雰囲気に胸がざわついていたのだった]
そうね。一息ついたら、出ましょうか?
このまま電話も繋がらないんだとすれば、町まで行くしかないでしょうし。
あ。大丈夫よ。
ジロウちゃんたちやパパには、町に行く途中で会えるかもしれないわ。
何しろ、一本道ですからね。
[ルリに向かって言う]
スピード狂じゃないから心配しないように。
[ルリにそう言ってから、外を見つめる。
木陰に、鳥の姿が見え隠れした]
ん、そうだね。
[緑茶を飲み干すと立ち上がり*車へ向かうことにした*]
私は荷物といえばこの鞄くらいだから、すぐに行けるわよ。
セイジくん、ルリちゃん、用意が済んだら玄関へいらっしゃいね。
待ってるわね。
[ゼンジの後をついて、食堂を*出て行った*]
[ゼンジおにいちゃんもボタンおばあちゃんも、準備をして出ていってます]
うん。るりもお部屋から荷物とってきます。
準備ができたら玄関ね。はい。わかりました。
[さっきもらったお人形をぎゅっと抱きしめて、*食堂を出て行った*]
ぎゃーーーーー!
[木綿のハンカチーフを引き裂いたような悲鳴が木霊した。
車のボンネットに、嫌がらせのように鳥の落し物が]
撃ち落とすぞコンニャロー!
[バサバサバサと、鳥が羽ばたく*音がした*]
[立ちあがり、ゆるゆると歩き出す。
自分の部屋へ行く前に、奇妙なオブジェが合った場所を見る。]
ひとおおかみ。かいぶつ。
[物憂げに呟き、一人言をはじめる]
ひとが考えるかいぶつは、いつもひとだ。
と、ぼくは思う。
常に怪物にならないように気をつけなければならない。
深淵を覗き込むものは、深淵にも覗き込まれているから。
[言って、思いなおしたようにノミを適当な場所にそっと置く]
というか、間違えて自分に突き刺しそうだ。
[くすりと笑った]
似合わないことをせずに、とんちで何とかしてみよう。
――ね。お姉さんたち。
駄目だったらゆっくり歌でも聞かせてよ。
[自分が死ぬのは悪くない。と思わなくもないしね。
とか言って、部屋へ向かった。
準備ができたら、すぐに玄関に行くだろう*]
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