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おきゃくさまではない。ちかのさまだ。
…出て行けと…言われると…
居座りたく…なるのが…わたしの信条…だ。
[追い出せと名指しされたと思う程度には、自分のはた迷惑さを自覚しているのかもしれない。言いながら、少女は腰に巻いていたオモリを取り外し、無造作に床に投げ捨てる。]
やれやれ。
クレーマー役など引き受けるものではないな。
[役…なのだろうかと、私でなくとも思うだろう。]
暑い。
疲れた。
[そう言って、先刻投げ捨てた黄色い荷物にどかりと腰をおろした。
不作法にも制服の長いスカートを少したくし上げると、はたはたと揺らして風を作る。ふとオペレータの立ち位置に居るナオの方を向いたかと思えば、その手を止め…]
…エアコンディショナのボタンはこれか?
[…ナオの脇から腕を伸ばし"非常呼出"ボタンを連打し始めた。
少女も少し不安なのだ……私の解釈は好意的にすぎるだろうか。]
むしろ。ひとりしか出てはならぬ…ということではないのか?
[何百連打目か、あろうことか少女は舌打ちをして、何の反応もないボタンから手を離した。なにやら一斉にねめつけられるなかで少女は胸を張ってみせる。]
私はお役目を務めただけ。追い出される謂われはないな。
[だけ…だろうか。私は思うが。]
"ひとり"なのだろう?オモリをそうは呼ぶまいよ。
[そう、うそぶいて
少女はアンの向けるカメラに、ニヤリと笑って親指を立てて見せた。]
誰の悪戯かな…。私の目は、ごまかせない。
[おまえだろう…
不敵な笑みを浮かべて辺りを見回す少女に私は、思ったものだ。]
いやん
[…。しばし沈黙の後、恥じ入るように咳払いをひとつ。]
サヨ。きさま。
……まあいい。
このテントは私物。うち捨てられてはかなわないな。
それとも、クレーマーを実力行使で叩き出した。
と実習報告したいのか?
[黄色い荷物はテントらしい。私は言うことばがない。**]
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