さぁ、出来た。
おかーさーん。浴衣出来たから、チカちゃんに持ってってあげてね。
[仕立て上がったばかりの浴衣を撫でながら、台所の母に声をかける]
お祭りに間に合って良かったぁ。
[と呟いて。箪笥の横に置いてある反物に目を遣った]
まぁ、私のは、また来年で良いか。
[溜息ひとつ]
[浴衣を受け取りながら『アンタは祭りに行かないのか』と母が言う]
うーん。……暑いし。それに。
[着古した服の裾を引っ張りつつ、何となく窓の外を眺める]
あれ?
何だろ?あれ?
[窓の外を行く人々の背に、あるいは足元にちらちらと見え隠れするのは……?]
何だろ?目が疲れちゃってるのかな?それとも……。
[それとも、何なのか?気になって、そして]
うん。やっぱりお祭り行ってきます。
[母に告げると、人々の後を追うように家を出た]
はぁ。見失った……。
[盆踊り会場に辿り着いたけれど、人々の間を見え隠れしていたモノは見失って]
何だったんだろ?あれ。
……焔?
綺麗な色してたけど……。
[もう一度見られないかな?と思いながら、祭りの様子をぼんやりと眺めている*]