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んー…―――
窓を覗いた、部長さんじゃないかな?
たぶん、だけれど
私達は、誰を連れていく?
[じっと、周りを見ている]
ん、そうだね
シンヤか、ナオじゃないかな
器の感情は、関係ないけれど
あまり積極的でない人は、困る、かも
[連れ込むのも、楽ではないし]
どうする、私が連れ込む?
それとも、君…―――
あ、名前、なんだっけ?
実際は、もてませんけどね
なんや、嫌味かなんかかね
[はぁ、と息を吐いた
まずは、何も起こらなかったようだ
リウが移動するのに合わせて、移動する]
仁ね…――――
等しく降り注ぐ、優しさの名前
覚えたよ
私は、紅(くれない)
勿論、偽名
[本当の名は、魂の端
掴まれる事は、服従を意味してしまうから
本名は、普通は名乗らない]
もててたら、こんな時間にこんな所いません
彼女と遊びに行くわ、放課後くらい
[リウに、そう答えたけれど
マシロに気を取られて、ほんの少し
目を離した途端に、覗かれた次の窓]
…――――?
[振りむいた時には、リウが震えていて]
思い切りよくって、のぅ
なんかあったら、どうするん
心配は、かけたらあかんぞ
[リウの様子がおかしい
やはり、嫌な予感は間違いではなかった]
マシロ、さがれや
[リウの方に、ゆっくり歩み寄って]
[リウが、何かを叫んでいる
叫んでいるのに、窓から離れようとはしない
何か、絶対におかしい]
っち…―――
[リウに向かって、手を伸ばしたけれど
届くかどうかは、わからない]
大丈夫…―――
任せておいて
[ふぅ、と器に息を吐く
異性の体に宿った時の、代表的な霊障
異性から避けられるようになる、という物]
来ちゃ駄目って、おい
でも、リウ・・・先輩
[伸ばした手は、宙で止まる
頭では、伸ばしたいと思っている手が
これ以上、進まない]
な…――――
[触れられない]
…――――
情けないね
[そう、言ったけれど
笑ったりは、しなかった
ふわり、器の肩から離れて
仁の頬に、触れてみる]
ほら、男の器は不便でしょう
こういう事、男の器じゃ出来ないもの
やから、マシロ
お前は、さがれっちゆうたろうが
[来るな、と言う言葉を聞いた時から
体は、言う事を聞かなくなっている]
お前になんかあったら、困るやんけ
二人同時は、流石に無理やし、俺
人にとって、言葉は道具
魂にとって、言葉は契約
契約を、守れば
リウの魂は、あそこへ引き込まれていく
[ゆらり、器の肩に戻って
ふぅと、息を吐いた]
意味、あるよ
精神体であるからこそ
自分がなんであるか、と言う事に意味がある
自分の信じる、自分の姿が
精神体の、姿になるのだから
感謝するなら、目を見ていいなよ
[じぃーっと、仁の方を見てみる]
ちょ、リウっ
こっちに来いや、手伸ばせって
このままやったら、落ちるやんけ
[体は言う事を、聞かないけれど
手を伸ばそうとする事は、辞めずに]
落ちたら、困るやろ
謝る前に、頑張らんかい
じゃ、シンヤ君、連れていくね
男女二人なら、寂しくないよ、ね
[ふぅ、と息を吐くと
シンヤの後ろから、見えない手が伸びた]
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