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[へたり込んだちかの目の前で、すうっとスイの姿が消えた。ベックの腕の中にいたアンも、同様に。
いつもの衝撃が、ちかの脳を打ち据える]
・・・う、ううぅ・・・・。
[ちかは、はらはらと涙を流しながら、笑おうと。無理にでも笑おうとして、果たせず]
うん・・・わかってる。
きっと、わかってるの。
これはわたしの、ただひとりの、わがままなの。
・・・でも、わかりたくない。
わかりたくなかったの・・・。
ずっと、ずーっと、みんなと一緒にいたかっただけなの。
こ…この流れで、生存したままエピ突入して、既に書いてある生存ロール落としたら…。
物凄いブーイングが起きそうだ…ッ!(汗)
[やっとのことで涙が止まると、頬に涙の筋を残したまま、三人三様の言動をじっと見ている]
・・・・そうなのね、みんな、もう準備ができてるのね。
わたしだけが、ここにこだわっているのね。
[淋しそうに呟いた]
[皆の一斉の返答に、戸惑うように俯く]
でも、ならばどうして、そんなに落ち着いていられるの・・・?
だって、こわいよ。
”向こう”がどんなところか、わからないもの。
ここにいれば、みんなここにいれば、ずっと楽しいのに。
淋しかったり、寒かったり、暗かったり、しないもの。
じいじ、こわいの・・・?
[自分のことのように辛そうに、唇を噛む]
じいじは、忘れてないのね。
わたしは覚えてないの。
たまに、ふっとかなしいきもちになるけれど、なぜなのかはわからないの。
・・・わからなくてもいいと思っていたの。
[わかってしまえば、全てが崩れ去るから・・・。
ベックの瞳に吸い込まれ、そんな言葉を思わず飲み込んでしまう]
[ベックの言葉は、ちかにはちょっと難しくて。
しかし何度も意味を考えながらじっと聞き入っている]
じゃあ、えっと、思い出せるようにがんばったほうが、いいのかな・・・?
[消えていった人たちを思う。
どんなに嫌でも、もう引き止めることはできないのならば、思い出すべきなのか、どうなのか]
[ごめんねと言うベックに、かぶりをふって]
ううん、わたしがものわかりがわるいだけなの。
おべんきょう、できたら良かったのに。
みんなのことは、ちゃんと覚えてる。
わすれないよ。
わすれたくないよ。
[そして、ベックとユウキのやり取りを、不思議そうに見ている]
ユウキを吊ると三人残っちゃうから、ユウキ以外を吊る必要があるのか?
今のメンツって、どういう組み合わせなんだろう?
ヘタをすると6日目があるってことに…。
[ちかは、じっ・・・とベックの目を見てしばし考え込んで]
あのね、お願いがあるの。
こんばん、じいじといっしょに寝てもいいかな?
わたし、一人で寝るのが、ちょっとこわい・・・。
[何かの予感に震えて、ベックに懇願をする]
[ほっとした顔で]
ありがとう、じいじ。
[それ以上は何も言わずに、取られた手をしっかりと握り返す。
やがて小さくあくびをすると、眠たげな目をこしこしと*こすった*]
― 夢 ―
「ちか、お前さんももう十三。嫁に行く手筈を整えたぞ」
「お嫁に・・・?じゃあ、だんなさまができるの?家族ができるの?ゆうちゃんのねえやが着ていたような、まっしろな着物が着れるの・・・?」
「ああ・・・そうだな。ちかが嫌われないようによく言うことを聞けばな」
「聞く!言うこと聞くから。庄屋さま、おねがい」
「そうか、それは話が早い。今までお前さんを育ててきた甲斐があったというものだよ」
***
[白無垢に身を包んだ”ちか”は、籠に乗せられ、しずしずと山道を運ばれていた]
「ねえ、どこに行くの?わたしのだんなさまは、どこにいるの?」
「もうすぐだ、もうすぐ会えるぞ・・・」
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