― 商店街 ―
「あら、もうこんな時間!
ちょっと配達行ってきて!」
……はいよ。
[出来上がった弁当を(04)個、銀バッグに入れて肩に掛ける。忙しそうな店頭は避け、裏口から外に出た]
「今日もありがとねえ、ギンスイちゃん」
ちゃん付けは止めて欲しいんだけど、オソメさん。
[ギンスイと呼ばれるのはいい。むしろ祖母と読みが同じで、女っぽい名前だと感じてしまう本名より自分でも好きだ。が。
24にもなってのちゃん付けは、いただけない]
「明日もよろしくねえ、ギンスイちゃん」
はいはい、また明日。
[とはいえ、こうしたやりとりも毎度のこと。
ニコニコと変わらない祖母の親友に勝てるわけないので、肩を竦めて流して終わる]
こないだ貰ったの、これか。
[帰り道、ゲームセンターの店先にて。
ふてぶてしい猫のマグカップが箱に入っているのを見つけて何となく止まる。
ちなみに貰った奴は今、店先で割箸入れとして鎮座ましましている]
黒い奴のもあったんだな。
[ポケットの中を探って、硬貨を1枚投入]
ああ、そんな名前だったっけ。
[少女が呟いた声は、小さいのに何故か良く通った。そうだそうだと頷きながらボタンを押す。初心者設定なら、普段は(07)割くらいで取れるが、今回は]
……あ。
[思いきり外れた。掠るどころじゃない]
これ難しいな。
[ギャラリーの前でこれは恥ずかしい。
店内から出てきたところらしい少女の顔を確かめて、頭を掻いた]
ああ、いや、君のせいじゃないよ。
俺が下手なだけだから。
[独り言でもなく話しかけるでもない中途半端な言葉にも反応してくれた少女に首を振る。
ギャラリーがいても気にしたことはこれまでにない。本気で欲しいと思ってはいなかったのが敗因、かもしれない。
揺れる髪に、俺もこんな時代があったっけなあ、なんて年寄り臭いことを考えていた]
こっちの方が取れそうだったし。
でも同じの2つあっても仕方ないんだよね。
[リベンジはしたいけれど、邪魔になっても困る。
彼女が顔を上げるまで少し悩んで]
君は、これ好き?
取れたら引き取ってくれたりするかな。
[顔見知りでもない男がいきなりこんなこと言ったら怪しまれるかもしれない、と思い至らなくなってるくらいには悔しかったらしい**]
アッ…
[先ほどは押しすぎたから、今度は手前を狙う。
じっと見て間合いを計っていると、にゃんこ師匠のニンマリ顔が、藤色のすだれの向こうに霞んだ。
ありえない。驚いて予定より早くに離してしまい、小さな声を上げた]
…っと、セーフ。
[狙った場所より手前になったが、初心者設定に助けられたようだ。アームの端がしつこく引っかかってくれて、ゴロリと回転させることが出来た。
そのまま転がった景品は、ゴトンと重たい音を立てて、取り出し口までやってくる]
[軽いファンファーレが鳴る中で、戦利品をしゃがんで掴み出す]
はい。
[そのまま無造作に、少女に向けて差し出した]
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気付いたらもう開始30分前になってた。
というわけで、ちょっとお久しぶりかなの兎猫です、こんばんは。
例によって色々決まらず迷いつつ。まったりこんとお邪魔します。
キクコちゃん可愛いなあ。
にゃんこ師匠とかよく分かっていらっしゃる、ですしw
縁故とか他の人が上手く拾われてるので、ぼんやり眺めてるターンになってて。絡んでもらえてすっごく嬉しいです。でも、もさっと怪しい奴でごめんなさいww