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…見極める者、は、怖いですわ。
だから名乗り出てくれれば――
[随分昔のその懺悔の内容を
覚えていたのもまた――眠る血の為す事か
名乗り出られての先に想いを馳せて
伏せた眸の奥に 赤い血の色を隠す]
[死なせない]
[力強い言葉に、嬉しそうに笑む。
視線を投げる事は無く ただ繋がりの気配を離さない]
あの、…どうして。
殺させないように、して下さるのですか?
レイヨ…さん、は。
人間ですのに。
[ふと 昨晩から浮かんでいた疑問を投げた]
いえ、必要tという訳ではありませんわ。
ただその…
…人に害成す存在な訳ですから
不思議に思ってしまいました。
[釘打ちつけられてこうして閉じ込められる程。
目覚めてすぐにそれを考えて、
あまりに酷ければ自殺でも考え兼ねない、
それほどのものだと思うのに――
レイヨの言葉は甘く優しく、ひどく嬉しい]
わたくしが、怖くはないのですか?
[自分はまだ今 じぶんが、怖い]
お母様の…。
――それは
長老様はご存じだったのでしょうか。
[知って居て、閉じ込めたのだろうかと。
ユノラフの言葉を聞きながら視線は石へ
一族だけが使い得るのであろうそれを見遣る。
レイヨの問いにユノラフへと視線を戻した]
…ヴァルテリ、様……?
[聞こえた小さな呟きに思わず視線を向けた。
そうだ。思いだした。
懺悔にきた男は確か
遊牧の隊が来た少し後にきたのだと]
ヴァルテリ様も、でございますか?
[声帯震わさず コエを想う]
ヴァルテリ様。
狼として――はい、わたくしは。
まだ…その、初めてのことで。
喉が渇いてしまいます。
[とても年上の彼の落ち着きが頼もしい。
想う声には、高い声に低い音が同時重なった]
――レイヨさんは、食べませんわ。
受け入れて下さる方を、
食べる理由はありませんもの。
[静かな声で告げる――口許は弧。
夜に現われた爪や牙、そしてきっと耐えなければ
もっと訪れたであろう変化を見ても。
彼なら怖くないと言ってくれそうな気がして
小さくこくりと 頷いた]
はい、その、…ヴァルテリ、様。
わたくし…――
その、ドロテアが…
大事、なのに。
死んでほしくないのに…――
ひどく、その、……
[それはきっと長老が供儀となる少女にかけた、
星詠みを始めとする不思議な力なのだろう。
彼女の白い肌が目に焼き付いて
思い出すのは酩酊そうな程の――甘い匂い]
狼とは、そういうもの――なのでしょうか。
大事だからこそ、食べたい…?
そんな、では。
狼は、狼同士でなくては
生きていけない…という事、に
なってしまいませんか?
[ヴァルテリの言葉に俯いた。
表情を変えてしまうのが気付かれないように]
…大事だから、食べてしまう。
血肉に…――、
[落とす呟きは小さく高く低く 重なる]
[ヴァルテリが台所に向うのに付きそった。
彼が作るスープを邪魔せず、
地下から持ってきたソーセージを茹でて切り分け
干した肉と卵を炒める。
日持ちのする、料理。]
空腹はいけませんわ。
悪い事を考えてしまう―――
その、元だと聞いていますもの。
[それらを居間へと運ぶ準備]
ヴァルテリ様いいつもなら旅の楽しき話を聞かせて頂きますのに―――
今は、そんな処じゃありません、のね。
大丈夫ですわ。
神は見ていてくださいますから。
試練ばかり、与えられる事はありません。
[不安気なウルスラを見て。
その手指を上から包むように握り、
細い目を更に細めて力付けるように言う]
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